ゼンハイザー(Sennheiser)のヘッドフォン・イヤフォン事業が売却されました。
買収したのはソノヴァ(Sonova)という会社、補聴器で世界シェアトップの会社です。
公式サイトで発表が出てからと思っていたのですが、日本国内サイトではいまだアナウンスがなく(本国あり)、ソノヴァという会社も馴染みがないのでちょっと調べてみました。
補聴器最大手のソノヴァ社傘下へ
開発から製造・販売まですべてがゼンハイザーからソノヴァに移ります。
(関連情報:Phile Webより)
聴覚医療の分野に音響技術を生かすらしい
より正確にはソノヴァ傘下のフォナックという補聴器の世界最大手と関連して活動するグループ企業となるようで、本国サイトにもこの社名が頻繁に出てきます。
聴覚関連の医療機器分野でゼンハイザーの音響技術を生かしたいとのこと。
売却対象はゼンハイザーがコンシューマー部門とする民生オーディオ分野の事業です。 時期としては今年(2021年)末までに事業譲渡を完了するらしい。
- ヘッドフォン・イヤホン(プロ用除く)
- サウンドバー
これらのブランド・販路・従業員(約600名)・工場をソノヴァに売却。金額は非開示。
年内の完全移行とはさぞ大変かと。
個人的に自社でも顧客でも経験させられましたが、数ヶ月で事業内容全てを譲渡とはとんでもなく忙しいです。
HD25・IE Proはゼンハイザーに残る(今のところ)
気になるゼンハイザー社に残る製品、つまり「プロ用のヘッドフォン・イヤフォンは除く」くだりですが、大枠では日本サイトでプロフェッショナルヘッドフォンのカテゴリ表記されているものがそれにあたるようです。
ただまだサードパーティの報道なので詳細はわかりません。一応明確に機種名が上ったものは
- HD25
- IE PROシリーズ
とのことであります。
ソノヴァに譲渡される製品群は?
一方でソノヴァに移される製品群としては、
HD600・800シリーズ/MOMENTUM True Wireless
が挙がっています。つまりほとんどです。
ソノヴァ(Sonova)は聴力関連の医療に強い
買収したソノヴァはスイスにある複数の医療機器メーカーを擁するグループです。
特に補聴器の分野では世界シェアの3割を占めるとか。人工内耳でも有名とのことです。
売上規模では単純に円換算で年間3200億円ぐらいの会社。
売上高だけなら日本でいえばJVCケンウッドあたりと同じですが、税引前利益率が19%だそうですから収益は優秀、さすが海外の医療機器メーカーです。
この会社は傘下に収めた企業はとりあえずその得意分野で伸ばす方向らしい。主力の補聴器も買収時のブランドそのままに併売しています。
恐らくどんなかたちであれゼンハイザーという名前が残るでしょう。
と少々故意に上げてみました、いい歴史をもつメーカーですから。
本当は買収された後って大変です、優れた伝統ほど収益との兼ね合いで悩む。
特にあの少々現代離れしたサポート体制が続くのかどうかは今ちょっと見えません。といいますか難しいかもしれない。
今市場でのゼンハイザーの本当の支持がどの程度なのかちょっとわかりませんが、ソフトウェアに頼らないハードウェアの本質勝負が持ち味の会社は貴重です。
クラシカルなラインは残しつつ堅実な造りとサポートを新しい製品で生かしてくれれば最高なんですが。