ヘッドフォンやイヤーモニターはどんどん高額化しています。イヤホンじゃない、インイヤーモニター(In-Ear Monitor)です。
実は最初ちょっと笑ったんです、フカしすぎでしょって。
でも音は大したもんでした。音も価格もオーディオファイルから見ても全く真面目の世界。
奥が深くていい趣味なんですがただ不安があります。保証切れたあと修理は可能なのかと。
新品・中古にかかわらずユーザーができることはなるべく長期の保証契約を自分で確保することしかないと思います。
B&Wの保証期間中対応は新品交換のみ・修理しない
数年使った限り、初期不良以外では簡単に壊れるものでもなさそうです、どの機種も基本の造りはちゃんとしてる。
しかし上述の通りD&Mホールディングズでは修理作業をしません。全て本国対応との説明で、他の機種でも少なくとも保証期間中の不具合対応は交換でした。
今何の問題もないのでサービスのお世話にもなっていませんが、これからどうなるんだろう。
これB&Wだけの話ではないのではないかと思います。
ゼンハイザーがヘッドフォンから降りる?
サポート体制の充実が全くカネにならない世の中です。
個人的な話で恐縮ですが、製造業にいて補修部品の再生産ぐらいモメる話もちょっとありません。
一方でイヤモニやヘッドフォンはカスタムパーツ満載。あの部品はそこいらじゃ売っていません。
買ったはいいけど気づいたら面倒見てもらえなかったとかありそうで。
サポート優秀のゼンハイザーが苦しいご時世
老舗のゼンハイザーがヘッドフォン事業(同社ではコンシューマー部門)へ外部からの出資を求める(ゼンハイザー公式)、あるいは部門を売却するんじゃないかなんていう話(Gigazine 2021.2.17)があります。
家族経営を標榜して他の資本を入れず、自社工場にこだわってきた会社です。補修部品の備蓄や再生産、修理前提の設計。知る限りパーフェクトだと思います。
でも今のご時世これでは商いが保たない。
イヤモニとかヘッドフォンも競争の激しい業界だなあと感じます。
どのぐらい思うかといえば部品を納入する業者にはなりたくないなあという。身体壊しそう。
PhilipsなんてFidelioとかいいもの作ってましたがGibsonやら今のTP Visionなどどんどん経営が変わり、今や何を出しているのかすらわからなくなってしまった。
かなり残念です。
海外メーカーのサポート力はインポーターとの力関係が決める
なお製造業では輸入代理店・ディーラーの力が弱い場合、日本のサポートがとんでもなく低レベルとなることがあります。
日本のメーカーと違い海外メーカーって力でねじ伏せて言って聞かせないと言うこと聞かないところがある。
品質第一とか真顔で語る連中が「要求されないからやらなくてもいいと思ってた」とかシレっといいますから。
その意味で本体記載のシリアルのことは分かりません、なんて輸入元のコメントはちょっと不安。
アタクシのP9以下は今後修理可能なのか。
あるいは事実上の新品交換となる、つまり買い替えたほうが現実的なほど高額な修理費となるのか。
ヘッドフォンの修理専門業者はまだいない
カメラやオーディオは修理専門業者があります、料金次第で相当のことをやってのける。ヘッドフォンやイヤモニはまだありません。
ヘッドフォンの修理で探すと幾つかの業者が見つかります。ただ修理は限定的。断線やリケーブル程度しか対応できません。
イヤーパッドにカバーをかぶせるレベルは残念ながら応急手当てでしかありません。
ハイエンドになるほどキーコンポーネントや外装の修理が重要になると思いますが、その点で専門の修理業者はまだ無いといっていいのではと。
エレクトロニクスの修理と違うのは専用パーツの多さです。
ヘッドフォンは専用パーツが多すぎる
修理が難しいのはなんとなく感じます、部品メーカーの眼で見ればヘッドフォンやイヤモニは専用部品のみで作られているといってもよいぐらい。
しかも再生産の難しそうなパーツばかりです、現実的にはストックしかないと思います。
ノイズキャンセリングやBluetoothヘッドフォンは音を第一で(機能は二の次)
こうつらつら考えていて、無意識ながら自分が最近ヘッドフォンを買っていない理由が何となくわかりました。
アプリは究極の専用部品
特にノイズキャンセリングがそうなんですが、ソフトウェアやアプリで機能を付け加えるものが多い。
ソフトウェアとかアプリって究極の専門部品です。
あんなもののアップデートなんて販売が終わって後、何年も続けられない。製品の動作確認までやるとたいそうお金掛かりますから。
販売の儲けがあらかた吹っ飛んじゃうので。
アプリによる機能、あれは販売用のPRぐらいにとらえたほうがよさそうです。
ノイキャンやワイヤレスのヘッドフォンでは素の音の良さで選んだほうがいいかもしれません、自分は機能の話は二の次にしたいと思っております。
しかしそうすると選べるものが少なくなっていくんですな。
数千円なら3年ぐらいで終わりでもいいけれど、数万となるとだんだん笑えなくなってくる。
ITは本質的にサステナブルにはなれない
NTTドコモが「わたしムーヴ」の提供を終了したことでオムロン等の製品が使えなくなるとしてなんだかいっぱい怒られてます。
個人的にはよく9年も提供したもんだと逆に感心してますが。
ただハードに問題がないのにソフトのせいで動かないというのは確かに気持ちがよくない。人情としてほとんど受け入れ難いでしょう。
繰り返しますが「わたしムーブ」は異例の長期です。
これは製造業関係としてはっきり言えますが、ITに「丈夫で長持ち」という要素はありません。
例を挙げれば10年以上は当たり前の産業機械向けでは嫌がられる、というか採用例が極端に少ない。特性上「数年経ったら全面更新」は出来ませんから。
稼働中の効率は良いのですがどうしても製品寿命は短くなります。仮に部品が生きていても、ソフトやアプリの更新期間が短い。
アタシなんぞのいうことはとるに足りませんが、長持ちしないものを沢山作るってことは環境にはよくないです。
AirPods Maxも大変に興味があるんですが、あれもソフトウェアあっての音だと思うとちょっと悩むんですな。
数万のヘッドフォンがソフト更新終了で終わりは勘弁してほしい。