ここ一連の記事テーマは
「ゴワゴワのA-2をエイジングさせてTシャツみたいに着こなしたい」
です、端的にいえば柔らかくしたい。
しかし禁断のレザージャケット水洗いは全くエイジング効果がありませんでした。
次は何をすればいいのか、オイルを塗ってみましょうというわけです。
すべてのレザーに共通の「おすすめのオイル」「ベストのメンテナンス方法」はない
散々調べた挙句、やってみてわかったことがあります。
レザージャケットに関して
全ての製品に共通する「おすすめのオイル」とか「ベストのメンテナンス方法」
はない
ということです。
全てに共通の「ベストメンテナンス」はない・プロすらレザー次第でやり方を変える
絶対にない。
おすすめのオイルは存在しません、レザーの種類とコンディションで決まるのです。
プロでない限りイチかバチかであります。
それでなくともアタシにはスキルも道具も不十分です。
だからしくじってもいい、と思ってやりました。決心にかなり時間がかかった。
どうせやるならとことんと思い、洗ってみたぐらい覚悟してやった。
レザーへのオイルアップは常に危険・今回は失敗覚悟でやった・リスクを冒した理由はタイトに着たくて我慢できなくなったから
なおこの記事はおバカさんの無茶な体験記とお考えください。たまたま何事もなかっただけで全くお勧めしません。同様の行為に対し結果への責任を持てないことをお断りさせて頂きます。
それほどの危険を冒したのはもっとグニャグニャにしたかったからです。
タイトに、シャツみたいに着こなしたかった。
もう少し違うコーデをやりたい、強くそう思ったのです。
馬革にこだわる必要はない・カウハイドのA-2は早くなじむ
アタクシのA-2はホースハイド(馬革)少しでもオリジナルに近づきたかった。
いっぽうで友人のカウハイド(牛革)
このA-2はなじむのにあまり時間がかからなかった。
明らかにカウハイド(牛革)は柔かい・ホースハイドよりも
(後悔すると傷つくので)あまり考えないようにしていますが、無理にホースハイドにする必要あったのかなと。
レザージャケット、特にA-2はしなやかで身体にピッタリしているのはカッコいいですから。
(友人は肥満型ですけどかなりいい感じです)。
ホースオイルを塗ってみた・(偶然)仕上がりよし
ホースハイドのA-2ですからSEIWAホースオイルを塗ってみた。
選んだ理由は「評判がいい」、それしか根拠はありません。
オイルはわかりやすくグニャグニャになる
まずは結果、以下の通りです。
塗布直後から明らかに柔らかくなりはじめました。
正直な感想を言えばもっとグニャグニャすることを期待していましたが、そこまでいかなかった。
オイルアップ作業は15分ぐらい・準備は人肌レベルに温めて、大事なことは「ごくごく(繰り返し)薄く」塗る
なおもの凄く緊張して作業したのですが、呆気ないぐらいの短時間(15分ぐらい)で済んでしまいました。
準備は以下
- 馬油(人肌程度に温めたもの)
- 室温は25度程度
- 床にはオイルの浸透しないビニールを敷く(ゴミ袋)
ムラになったら自分では回復できないので水のようにサラサラのものを選んだ。
室温を暖めるのは、レザーについたとたんに冷えて伸びが悪くなることを防ぐため。
このA-2もホースハイドですから馴染みが良さそうという理由もあります。なお既にサラサラでしたが更に人肌ぐらいの温度で温めました。
うんと薄く塗るためです、本当に塗るオイルはわずかに。
オイルは浸透する・床に付くと滑って危険・シート必須だが新聞紙は絶対不可
塗るためにジャケットをフロアに広げます、お手軽にゴミ袋を敷きました。
なお新聞紙などオイルが染み込む素材は絶対に敷かないでください。
ジャケットに紙が張り付いて取れなくなる可能性があるし、床にオイルが付くと滑ってとても危ない。
まず目立たないところで試した上で、全体に塗ります。
スポンジを使いましたが、本当にごくごくわずかで全体に伸ばせます。あっという間に終わり。
レザーへのカビ対策・ポケット内部は塗らない
なおポケット内部にはカビ対策のためあえて塗りませんでした。
着心地は完全に変わりました、かなりグニャグニャします。
ダラーンとしてきた、いい感じであります。
本来はトルソー(人型のハンガー)が欲しいところ。
オイルの浸透にはしばらく時間が掛かるのでもう少し柔軟になることと思います。
フライトジャケットのお手入れは難しい・目立たない部分でオイルを試すしかない
オイルを塗れば柔かくなるのか、程度の差はあれど確実にそうなります。
ただしリスキーです、とてつもなくと申し上げます。
レザージャケットへのオイルアップは「怖い作業」
ただかなり怖い作業です、シミになるかもしれない。
しかも合わなかった場合、オイルを完全に取り除くことが不可能です。
結果としてどうやらわかったことは以下です。
塗るオイルの量はごく少量で・本当にごくごく少量で
- 塗るのは「わずかな」「ごくごく」少量
- 万能のメンテナンス方法はない、つまりおすすめのオイルはない
- オイルは必須だがカビが生えやすくなる
「ベストのオイル」は革の種類や仕上げではっきり違う
繰り返しますが使ったのは馬油、ホースオイルです。
固形のミンクオイルとはだいぶ違います。
サラサラしていてよく延びる。
選んだ理由のひとつに出来るだけ少量で、薄く塗り伸ばしたいと思ったことがあります
ミンクオイルはフライトジャケットにはよろしくないとも聞きますが、それ以前に固形のものをムラなく塗る自信がありませんでした。
感じたのは、このA-2はこれまで自分で手入れをした他のレザー製品とはだいぶ違うということ。
多分、といいますよりそれが当然なんでしょうが、レザーの材質や仕上げによって使うオイルやメンテナンスの方法は完全に違う、そしてさまざまな手段と経験があることがプロとの明らかな違いです。
レザーメンテナンスはDIYできないスキルが必要・プロが存在する理由
スキル、そして準備する道具の多さが求められるゆえんです。
プロとDIYが一番違う分野のひとつでしょう。
色々調べましたがどんなレザーに対しても万能のメンテナンス方法はない。つまりオイルについて「フライトジャケット向けオイルのおすすめ」は成立しないと考えたほうが良さそうです。
個人がレザーメンテナンスやオイルアップで絶対に失敗しないためには
数種類のオイルを準備し目立たないところで試す
その上でレザーに悪影響のないものを探す
それしかない。
繰り返しますが「ベストのレザーメンテナンス方法」「おすすめのレザーオイル」はありません。
オイルを塗るとカビは生えやすくなる・クローゼット保管は危険
また感じるのはオイルアップによりカビが生えやすそうだということ。
オイルアップしたフライトジャケットはカビやすい状態
材質や仕上げの違いも関連するのではないかと思いますが、明らかに靴よりも危険度が高い。
ポケット内部に塗ることを避けた理由でもあります。
なおどんなオイルであれ塗布後の保管は室内に掛けておくのが無難です。
クローゼット保管はカビる危険大です。
レザーの水洗いは乾燥に最低1週間・オイルは乾燥にもっと時間がかかる
水洗いした時もこの部分は1週間は水気が抜けなかった。多分不用意にオイルを塗れば1ヶ月程度では油分が抜けないように思われました。
バブアーのダーハムジャケットがありますが、あのソーンプルーフドレッシングとちょっと感じが似ています。
あれも油断しているとカビが生えます。
もう20年手元にありますが、カビた時は結構ショックでした。
レザーのオイルはカビの好物・あっという間に広がり除去も困難
服がカビるとき、特にオイルのような「カビの好物」が塗ってあるとあっという間に広がります。
なおカビると落とすのは難しい、拭いて除去は初期中の初期でして全体がカビるまで短期間ですから大体間に合わない。
カビ除去は困難でありクリーニングでも断られることがあります。
レザージャケットのオイルアップは年1回でもやりすぎ・メンテナンス、お手入れどころか「カビ」の原因
無論全てを読むことは不可能ですが、みたところ「メンテナンスしすぎ」のユーザーが多いように感じました。
ですからカビ防止の点からもオイル塗布は年一回ぐらいで充分だと思います。
着る機会が少なければやらなくてもいいのではないかとすら。
積極的にメンテナンスを勧める記事もありますが毎回雨にでも濡れない限り必要ないです。粗悪なフェイクモデルならばまだしも、正統なレプリカを謳うモデルはレザーの質もかなり高度です。
塗らないシーズンがあってもいいと思えるほど。逆に塗りすぎると確実に悪影響があります。
今回は失敗して元々というつもりでやってみたメンテナンスです。
A-2というヤレたほうがサマになるフライトジャケットだったという理由もあります。少しぐらいしくじってもあまり気にならない。
デリケートなレザーのDIYメンテナンスは本当におすすめできない
逆に僅かな曇りやシミも気になるような仕上げのジャケットやバッグで、オイルアップはかなり難しい作業だと思います。
こんな素敵なモータージャケットにオイルアップなんて、まあ、ひるみます。
少なくともアタクシはやるつもりがありません。
デリケートなレザーのメンテナンスはプロでない限りちょっと無理だというのが実感です。
覚悟が必要です。