CWP-27Pは中田商店の独自アレンジですが実にいい感じ。
なんでだろと考えながら手元のトレンチコートを見ていたらなんとなくわかった。
オリジナルが空軍モノだからです。
ミリタリーウェアは空軍か海軍モノを選ぶとだいたい間違いがない、コーデできます。
なおこのトレンチコートは海兵隊仕様。ちょいと野暮ったい。
海軍はスマート、空軍は直球のカッコよさ(どの国も)
アタシもそうですが日本では軍隊はそんなに身近な存在ではありません。(コロナ対策や災害のたびに自衛隊の皆さんには感謝です)。
海外は違います、軍人は普通に制服で街中を歩いていてかなり日常的な風景です。これはどの国でもほぼ一緒らしいですが、
- 海軍はスマート
- 空軍はカッコいい
というのが常識です、子供のころ自然にそう思うらしい。
空軍はどれぐらいカッコいいのか・空前のMA-1ブームと織田裕二
フライトジャケットでいえば空軍、あれをトムクルーズが着たとたん空前の(本当に当時はスゴかった)MA-1ブームが起きました。
今はあまり想像がつかないですが、1945年に進駐軍が日本にきて以来といっていいぐらいダイレクトに米軍スタイルが入った瞬間。
80年代中盤では考えられないぐらいのカッコ良さだったのです。
どのぐらいカッコよかったか、これを制作しちゃうほどのパワーがあった。
「BEST GUY(ベストガイ)」
織田裕二主演、共演は財前直見(とF-15とMA-1)。
※ご注意:以下はあくまで画像のご紹介、AmazonPrimeは他に観るものがたくさんあるんでレンタル(いわんや購入)でのご利用は計画的に。なお本編より作品解説のほうがワクワクするぐらいの出来。
本家はこれ、今ともなれば並べても許されるかと。当時織田裕二のファンに言うとキレられました。
米軍は6軍構成・陸軍と海兵隊はワーク度強めの服装
それでは他軍はどうなのか。そもそも米軍って6つの軍隊から成り立っています。6つの組織が莫大な予算をかけてミリタリーウェアを研究・調達している。
米軍ウェアのカッコよさランキング
カッコ良さ、それと平均的アメリカ人がふつー思っていることを順に上から並べると(あくまで一部世評のご紹介ですよ、アタクシはどれも大変なお仕事と思っておりますよ)こんなであります。
みんな自軍が一番と思っていますから当然仲は良くない。
- 空軍(超絶カッコいいし軍隊では一番のプロ集団だと思っている)
- 海軍(空軍みたいにチャラチャラしない、本物のスマートさはうちら)
- 陸軍(他が何を言おうが本流は陸軍、アメリカの独立は自分たちが勝ち取った)
- 海兵隊(よそとは根性が違う、あと普通戦友は仲間だが海兵隊では『家族』)
- 沿岸警備隊(自分らが一番忙しい、毎日麻薬と違法入国の取り締まり)
- 宇宙軍(職場は一番高級、宇宙服だから。一着1億円)
※(おわび)宇宙軍は本当は宇宙服は使ってないです。
とまあこんな感じです。
これがフライトジャケットのセンスにも現れる。
G-1・ピーコートなどネイビーは名作ウェアの宝庫
海軍でいえばそもそもピーコートが代表、あの定番度。
もうミリタリーとすら誰も思っていない。
作業専門のウェアですらN-1(デッキジャケット)は毎年欲しくなるアイテムです。
海軍はG-1支給を継続している
なお海軍は大戦中からずっとG-1の支給を続けています(一時期中断あり)。
米軍らしいのはユニフォームについて「将兵の士気にかかわる」という理由を真面目に検討すること。市民軍出身といいますか。
A-2は第二次大戦終了後、1988年まで正式支給は中止されていますから、海軍では「ウチらは空軍とは違うんだよね」とか思っているんじゃないでしょうか。
空軍は・・・もう言うまでもないです。MA-1から始まってフライトジャケットといえばここのものばかり。
陸軍・海兵隊系の服はちょっと注意・M-65など「軍用」感あり
これが陸軍と海兵隊に近づくほどウェアのワーク度が高まる。
例外中の例外はタンカースジャケットです
オリジナルは19世紀の労働者の作業着で、ジーンズとかに近いらしい。
しかしその他は明らかに軍服とわかるような格好。
フィールドジャケットとか着こなしが難しいなあといつも思っております。
お仕事の都合上というべきでしょうか。オリーブドラブ(濃い緑)が多いのもハードさが強めでコーデが難しい。
M-65に至ってはイメージが強すぎてどうにも手が出ません。
トレンチコートで海兵隊コーデのキビしさを知った
仕事柄コートはいくつかありますが、トレンチコートは使いやすい(ただお客様へのお詫び訪問のときは使えません、白のステンカラーコートがよろしい)。
手元にはアクアスキュータムのほかに海兵隊仕様のトレンチがあります。これも好きなんですがちょっと野暮ったいというかビミョーにハードさ強めなんです。
クールな武骨さじゃなくて本当に山とかいけそうなアウトドア系ハード。これを着て撃ち合いとかできそうです。まあ確かにトレンチコートは陸軍出身ですが。
ほとんど同じはずなのに空軍仕様のトレンチコートはめちゃくちゃカッコいいのです。
Via”AS-247 米軍実物 空軍用 トレンチコート 紺色”(中田商店公式ウェブサイトhttps://www.nakatashoten.com/contents/as-247.html)
一度空軍トレンチを細身に着こなしている結構なお歳のオジ様を拝見したことがあるのですが、濃い赤のタートルにグレーのパンツと黒のポストマンシューズ。完璧なコーデでありました。あれは海兵隊トレンチでは無理です。
A-2は「陸軍」生まれだが完全な空軍ファッション
A-2でいえば大元は陸軍航空隊。しかしその後空軍に採用されているだけにオーセンティックなカッコ良さです。
他のウェアがそうであるように米軍の博物館にも正式に収蔵されています。
初期実物は1931年から1943年まで
ただ知名度のわりに正式採用されていた期間はあまり長くない、正確にいえば第二次大戦が終了した後、1988年まで正式採用は中断していました。
オリジナルA-2に高額のプレミアムがつく
そしてレプリカの中でも生産工程から忠実に再現した『The Real Mcoy’s』『BUZZ RICKSON’S』が特に高価である理由です。
米国ではどうかといえば採用終了後もオリジナルと同一のレプリカモデルが継続して生産された。
空軍関係者の要望多数で45年後に支給再開
興味深いのは空軍が正式に設立されたとき(1947年)A-2はとっくに正式供給が終わっていたことです。しかし1988年までずっと空軍関係者によるA-2支給再開の運動が続いていたとか。
45年ものあいだ「A-2をまた正式ユニフォームにしてくれー」って運動が続いていたということ。時間的には親子2代で空軍にいて(向こうでは軍人の子が軍人はごく普通の話)運動したはず、ものすごい支持です。
最後は空軍も認めるしかなくなったとか。こういうのはアタクシは好きな話。
なおオバマ元大統領はA-2を着て選挙を戦っていました。
(ご参考)海兵隊ってなんですか?
ところで海兵隊(USMC)ってなんでしょう、よく海外ドラマで「Marines(海兵)!!」とか言われている人たちです。
陸軍でなし海軍でなし。ましてや空軍であるわけでない。
内容は歩兵、そして戦車と航空部隊(飛行機・ヘリ)の混成です。船とミサイル以外は全部ある。
上陸作戦のようなとき、一番最初に前線に投入される「どんなこともできる」軍隊だそうです。
任務がハードな分米軍でも一番荒くれですごく根性がある。
腕っぷしの強さ自慢から正直海外の駐留地でも問題が起こりやすい集団だそうですが、一方でことのほか仲間意識が強いそうです。
なおどうしても装備は陸海空の3軍が優先されやすいらしく、ウェアのようなものも後回しになりやすいとか。
以下の海外ドラマの影響でなにかアイテムがないかしらと探していますが、カモジャケットのような「軍服」を除くと今のところトレンチコートしか見つかりません。
NCIS -ネイビー犯罪捜査班・海兵隊がわかる作品
なお海兵隊が特にそうだとのことですが、米軍は(というかどの国軍も)仲間意識が強く、ローカルルールを大切にする。
そして同じ国軍でも他の軍集団とは犬猿の仲。この辺りがエピソードの宝庫になっています。
かつては空軍ワッペンつきMA-1でうっかり陸軍や海兵隊の基地に入ったらガタイのでかい兄さんたちに囲まれたりすることがあったそうです。
『Top Gun』(1986年)のMA-1ブームのおり、当時売れたワッペンベタベタのMA-1を着て米国取材をした日本人ライターが実際にそういう目にあったと聞いたことがあります。
マジメに「お前どこのモンじゃ」って。
かなり怖かったそうです。
とにかく独特の個性があるのが海兵隊。ワーク度強めなんて話題で終わらせると申し訳ない。
というのも半年ぐらい「NCIS-ネイビー犯罪捜査班」にハマっているから。
2003年から現在シーズン19まで続いている超長寿番組です。
観るととまらなくなるのでご注意を。
主人公のジェスロー・ギブス捜査官(マークハーモン)の寡黙パワハラ気味キャラクターがなぜか好きになってしまって。海兵隊の元一等軍曹、しかも狙撃兵です。
あちらでイメージされている海兵隊員しかも軍曹と、いわゆるこわもての「古参兵(Veteran)」そのもの。
長いシリーズだけに米軍をみるアメリカ国民の考え方や社会情勢の変化などがよくわかるのも面白い、この時期家で過ごすにはおすすめシリーズです。