Bluetoothでは空間オーディオは再生出来てもハイレゾ再生は難しい。
良さの一部を聴けるのみです。
「今買おうと思っているんだけどハイレゾと空間オーディオってどっちが音良いの?ワイヤレスで教えて」
知人からの質問です。こういう比較も起こるでしょう。
空間オーディオはハイレゾである必要がない
空間オーディオとハイレゾ、おおまかに言えば二つの違いは以下です。
- 「空間オーディオ」とはサラウンドのこと
→ 高音質でなくとも効果は出る。 - 「ハイレゾ」は高音質技術
→ 取り囲むような音のひろがりはない
Bluetoothについては
ハイレゾ再生は不可能ですが、空間オーディオは再生可能です。
これはヘッドホン・イヤホン・その他オーディオコンポの別無く同じです。
価格の上下も全く関係ありません、フォーマットとしてそうであります。
空間オーディオはサラウンド・Dolby(ドルビーサラウンド)と同じ
空間オーディオを知るほうが早い。
Appleが提唱するサラウンドオーディオであり、基本技術もDolby Atmosと同じようです。
ライブ会場にいるような、または後ろに人の気配を感じたり、頭上をヘリコプターが飛んだりするような。
サラウンド、つまり立体音響であります。
最近はサラウンドといわず「オブジェクトオーディオ」や「イマーシブオーディオ」と呼ぶものもあり、SONYでは「360 Reality Audio」ですが名前が違うだけで同じ効果を狙っています。
空間オーディオとハイレゾ・ロスレスは関連のない技術
ここは本質的な部分ですが、
空間オーディオは音楽データが高音質である必要がありません。
「Dolby Atmos」「360 Reality Audio」はハイレゾ(ロスレス)非対応
CDかそれ以下の音質でも完全な立体音響になります。
実際に空間オーディオ・Dolby Atmosや360 Reality Audioは規格としてハイレゾ音声には対応していません。
(サンプリングレートは48kHz/24bit)
ハイレゾとは全く関係ない技術を利用するからです。
ごく簡単にいえば
- 位相差
- 距離差
- 音量差
と呼ばれるものを利用して遠近感や音の聴こえる向きを再現する。
50年前からこの基本は全く変わりません。
ハイレゾでいうサンプリング周波数や超高域・ビット数となんの関連もない項目です。
仮の話としてAMラジオに近い音質であっても空間オーディオは実現できます。
AMラジオの音質でも空間オーディオになる
繰り返しで恐縮ですがCD同等の音質も要らない、ハイレゾロスレスはなお必要がありません。
強調するのはワイヤレスイヤホン・ヘッドホンの音質で一番誤解されているからです。
つまり「ハイレゾではないが空間オーディオである」音源は成立するし
実際に沢山ある。
サラウンドオーディオの音質について例を挙げれば、かつて主流だったDolby Pro Logicという規格はデジタル処理ですらなく完全なアナログ音声技術でした。
当時でも高音質ではありませんでしたが、でもサラウンドは成り立っていましたし実際に最大メジャーで売れていた。
普通に音質批評が載っていたほどです。
ハイレゾは情報密度の高い音楽データ
対するハイレゾは今までにない高音質な音楽データです。
CD(PCM録音)よりも情報の密度が高く容量も大きい上位規格であります。
- データとして解像度が高く(サンプリング周波数:96kHz〜768kHz)
- 超高域まで高音再生
- 音の強弱を細かく再現(24bit)
録音された音をより正確に伝えるので結果としてリアルな再生音になりますが、
サラウンドのように足音が後ろから聞こえたり、頭の上をヘリコプターが飛ぶことはありません。
なんといいますか、HD画質のテレビが4Kから8Kになろうが、仮に16Kになっても
画像を本物と見間違えることはないに近い。
なお結果としてデータ量はCDの数倍になります、ここがワイヤレスでは問題です。
Bluetoothで送れるデータ量はハイレゾをはるかに下回る
Bluetoothに大量のデータを送る能力はない。
LDACの有無で音の良し悪しが比較されますが、CDのデータ量よりはるかに少ない。
LDACでもハイレゾの2割・ワイヤレスは規格としてデータ転送量が低い
ワイヤレス規格は時間あたりで送れるデータ量の限度が決まっています。
そして現状最も音がいいとされるLDACさえハイレゾ比較で最大20%、CDと比べてすらはるかに少ない。
残念ながら、3万円のBluetoothヘッドホンより¥5,000の有線ヘッドホンをDAPで聴くほうが情報量は比較にならないほど多いです。
SBMの頃から聴いてきて、「あんまり変わって聴こえないのは耳が悪いせいか?」と思ってきましたが、現実にAACやLDACの能力が低すぎたのです。
CDの音質より低いatp-X、LDAC
実際どのぐらいの違いがあるのか。
◉データ転送量の比較(1秒間あたり)
- Bluetooth(LDACの場合):400〜990kbps(AACの場合は128〜320kbps)
- CD :1,411kbps
- ハイレゾ :4,617kbps
CDとの比較でもBluetoothは最大70%ぐらいしか元データを伝送できない。
少なくとも必要なデータ量とはかけ離れている。
解像度を下げるとデータ量が下がるのでそうしております。
音の良い悪いはさておき、ハイレゾデータのうち8割が欠けた再生音はハイレゾとは違うというしかありません。
LDACの音質は明らかに良くなったがハイレゾとは違う
数値を見るとちょっと驚く、情報量が全く違いすぎます。
個人的にBluetoothは便利さ第一で音はそんなに気にしておりませんでしたが、それにしてもであります。
実はCDとハイレゾの差もサンプリング周波数とビット数ぐらいしか知らなかったのですが。
スピーカー(ヘッドホン・イヤホン)とアンプの音楽性のほうばかり気にしていた。
ハイレゾ対応としたBluetoothイヤホン・ヘッドフォンは確かにあります。
イヤホンに限らずオーディオで個人的に「ハイレゾ対応」を確認しない理由でもあります。どういう対応をしたのか技術説明したものをみたことがない。
むしろLDACをうたう製品群はコストの高い部品を使い念入りに音作りをしていることが多く
そのほうが音質に効いているように思います。
ワイヤレスイヤホンは空間オーディオで選ぶほうが確実
ワイヤレスイヤホンやヘッドフォンを買う場合、ハイレゾ対応より空間オーディオ、つまりサラウンドなどの立体音響のほうがメリットがある。
Apple music、Amazon musicの空間オーディオは全て「対応品」・ハイレゾのような「実はCD音源」がない
サラウンドはヘッドフォンやイヤホンのほうがいい、Airpods Max高いですが。
- 右/左chの音が混じって聴こえることがない。
- 対応音源が多い(Apple MusicやAmazon Prime music)
位相差をつけるにはスピーカーと耳の距離や向きをかなり厳密に決めなければいけないのですが、ヘッドフォンは直接耳に音を送りこむ構造なので条件がいい。
ホームシアターで5本のスピーカーをベストの位置へ置くなんて至難です。少しでも首を振れば音も変わるし。
ハイレゾ配信にはフォーマットだけで音源はCD同等というちょっと嫌なものもありますが、空間オーディオ・Dolby Atmos対応音源はもれなくリマスタリングされているのがいい。
かつてとの一番の違いは音源が圧倒的に種類があって、しかも安いこと。
以前は数枚のレコードやLD(レーザーディスク)を繰り返し聴く、それしかなかったのです。
ハイレゾ再生にもよろしい・売れ筋だけにオーディオ性能が高い
なおAirPodsに入っているH1チップ、あれはとても効くんじゃないかと。位相差とか音量差をリアルタイム処理するのはかなりの負荷です。
専用チップを作れるのは売れているから。ハイレゾオーディオ専用に作ることは到底無理です。
空間オーディオ向けデバイスは、結果として作りにお金がかかっております。
オーディオとしての性能が高い。
ただノーチェックで買えるわけではありません。サラウンドや立体音響は定期的に流行ってはいつの間にか廃れるもので少々注意が必要です。
映画のサラウンドと音楽のサラウンドは本来違うんじゃないかと思うのですが、この辺りがあいまいなことが長続きしない理由のようです。