これまでは常に流行だったサラウンドですから空間オーディオが長続きするのか不明ですがハードウェアそのものは買いです、実にお買い得。
アタクシも欲しいであります。
空間オーディオ普及のためメーカーがコストを掛けた製品、ステレオサウンド向けとして高音質かつお買い得だからです。
なお15年ほど前SACDとDVD Audioでマルチチャンネルオーディオが流行った。
簡単にいえばハイレゾ+空間オーディオの豪華仕様で「これしかない」ぐらいの勢いでしたが今は皆無です。
しかしプレーヤー自体はいいものでした。今Usedでも高値取引です。
空間オーディオはよくわからない・感じ方に個人差あり
その昔ドルビーサラウンドを聴く前、こういうものなんだろうと勝手に思っていました。部屋がホールやライブのアリーナになるとか思いたいではありませんか。
目をつむれば自分が会場やスタジオにいるような。
ホールの反響とか人の気配とかが周りから感じられるような音がきっと出てくるんだと。
ホームシアターと音楽では「臨場感」が違う
ごくわかりやすくいえば実際はこうでした。
プレーヤーが真横近くに回り込んで演奏が聞こえた。ホールの響きが天井から聴こえたり人の気配が後ろから聴こえることは皆無ではないもののあまりないと言ってよかった。
後に理由がわかりました。自分の周りを音がぐるぐる回るようなホームシアターと音楽再生は違うものでした。
映画を見るぶんには良かったのですが、音楽向けではなかった。
アタクシ自身はといえば実は嫌いじゃなかった、どころか結構好きでした。ちょっとわざとらしい包まれ感ですが曲にどっぷり浸かる感じが好きだった。
マニアから見れば変な音かもしれませんが自分好みに変えられるところも気に入ってました。
音楽ですからな。ここだけは強く聴きたい、あとはどうでもいいってときもあるわけです。なんだか厨二病みたいですが。
SACDマルチチャンネルオーディオは結構不自然だった
では新しいサラウンドは、空間オーディオや360 Reality Audioのようなイマーシブサウンドによってリアルな音として定着するのか。
ハードは残るわけですし、メーカーの都合で止められたら損をするかもしれない。先行きを想像するのです。
実際AVアンプは中古になると値段がドカンと落ちます、ドルビーの新方式に対応していないことが理由です。
それと録音、ここは重要です。対応する音源が必要になる。
冒頭のSACDマルチチャンネルオーディオでいえば「ホールにいるような感覚」「ライブ会場の雰囲気」とはちょっと違った。
後ろから前に音が吹っ飛んでくるようなことはありませんでしたが、不意に逆方向から響きが聴こえたりしました。それ専用音源が作られていましたが、録音もマイク配置やミキシングなど試行錯誤が続き制作の段階で正解がなかったようでした。
多分皆さんも違和感があったのではないかと。
あれほど騒いだのに現在新しい録音がマルチチャンネル制作が行われているかどうかもよくわからない状態です。
DVD Audioに至ってはソフトすら生産されていません。
そもそもハイエンドのピュアオーディオにセンタースピーカーはありません。入れれば音が良くなると考える人も今のところ皆無です。
効果を聴き取りづらい・不発に終わる可能性もある
アタシごときがおこがましくも空間オーディオの先行きわからんなんて言えるのは他にも特有の事情があります、サラウンドの感じ方はそもそも個人差が大きい。
同じ音を聴いてサラウンドがすごく聴こえるって人と全然聴こえないって人がいます。
サラウンドを感じる人とあまり感じない人に分かれる
音の方向感や距離感は感じ方にかなり個人差があります。聴覚自体はあまり関係がないところも難しい。
同じ音源を同じシステムで聴いて、全く拡がりが感じられないという人もいれば逆にリアルすぎて気持ちわるいという感想までかなり幅があります。
ですからメーカーとしてはどうしてもわかりやすい音源を用意します。360 Reality Audioのデモ音源を聴くと、あーこれ20年前と同じ、であります。
音がわかりやすく前後左右へ天井へと移動する、サラウンドのデモは昔からこれです。
これぐらい強調すれば個人差は減りますが、このままの音で音楽を制作することはない。仮に作られても不自然ですし飽きられる。
「優秀録音の」対応音源が増えるには時間がかかる
無論SONYもわかっているはずで実際の録音やミキシングではもっと自然な雰囲気を出そうとするはずです。
真横や後ろ・天井から音が聴こえるのはエフェクトとしては面白くても音楽表現としては馴染みがない。
ここが問題ですがSACDのときはマルチチャンネル、といいますか立体音響の制作方法が確立される前にブームが終わったようです。
空間オーディオで違和感のない自然な雰囲気の音源を作るには製作側の試行錯誤があるはずで現時点は正解がないと思います。
AppleもSONYも「優秀音源」がそろうにはしばらく時間がかかるでしょう。
360 Reality Audioでいえばステレオマスターからは制作できないとの公式アナウンスですから新録音中心でしょう。
Amazonはじめ配信サービス全てで今1,000曲ぐらいと聞いています。Appleの空間オーディオは数千曲らしい。
むしろ対応音源が1000曲以上もあることにちょっと驚きました、早々増えないと思います。
空間オーディオ向け機器はステレオ再生がハイクオリティ
では空間オーディオや360 Reality Audioはしばらく様子見するべきなのか。
逆です、少なくともハードは買いたい。アタシが狙っているのはこれです。
理由は単純にステレオサウンドつまり2チャンネル音声のクオリティが高いからです。仮に立体音響がイマイチに終わった場合でも充分価値があります。
人の悪い言い方ですが、これまでのサラウンドのように空間オーディオや360 Reality Audioが結局不発となり、対応製品が在庫処分で投げ売りされるようなことがあるなら急いで買ったほうがいいと思います。
(特に360 Reality Audio)空間オーディオ機器はバーゲンプライス
現在この分野の製品にはかなりの開発費と広告宣伝費がかけられています、製品そのものへ掛けるコストもかなりのもの。
メーカーはアタシふぜいが知るようなこれまでの失敗は百も承知の上で同じテツを踏まないようにやっています。
対策のひとつは「ステレオ再生をさらに高音質にすること」です。つまり普通の配信を気持ちよく聴けること。
もう悪い音なんて探すのが難しい昨今に何をよくするのか。わずかなクオリティアップにもとんでもないコストが掛かりますがやっています。
空間オーディオとか360 Reality Audioなんて理由がつかないとなかなかここまでコストをかけられないものばかり。
ですから音源があるかどうかにかかわらず買って間違いはない。むしろ関連のイヤホン・ヘッドフォン・スピーカーは立体音響と関係なく音のクオリティで買いであります。
360 Reality Audio対応の機材でいえば専用音源でなくとも充分高音質です。
360 Reality AudioでなければSRX−RA5000は10万円を超えているはず
SRX−RA5000がいい例で、空間オーディオなんて理由がなければ10万円ぐらい平気でしているはず。
無指向性スピーカーは本来売れない方式ですが、音場補正のソフトウェアまで作り込んだあの音質は超のつくバーゲンと言ってよいと思います。
個人的にステレオスピーカーとして使いたい理由でもあります、SRX−RA5000は今ワイヤレスステレオとしての機能がないのですが、本当に残念。
SRX−RA5000へのクレームからわかるサラウンドの個人差
なおそのSRX−RA5000について「7個のユニットのうち音が極端に小さいものがある、製品不良だ」というクレームを見かけます、同様の指摘は少なくないようです。
こういう話を聞くとサラウンドは難しいものだなあ、と実感します。正直いうと空間オーディオでもイマーシブでも終わってみたらあまり普及しないのではないかとすら。
先に結論をいえば音量が小さいユニットがあるのは全く正常です。
SRX−RA5000の7つのスピーカーはこういう音量差をつけないと360 Reality Audio、というよりどんな方式のサラウンドも成立しません。
サラウンドは位相差と音量差で方向感や遠近感・立体感を出します。
空間オーディオ・イマーシブサウンド・Dolby Atmos・360 Reality Audioと名前が変わっても基本の原理は全部同じです。
SRX−RA5000で内蔵スピーカーユニット全部から同じ音量で音が出たらただのモノラルスピーカーになりますが、そのほうがリアルで臨場感があると感じる人がいるのも事実です。
あれらのレビューは実際に音楽を聴いた上で納得がいかないという感想だけに、サラウンドについて個人差の大きさを感じる記事です。
空間オーディオでも恐らく似たようなクレームが出ると思います。なんだか思ってたみたいに拡がらないとか、スピーカーから音が出ていないとか。
ただ繰り返しますがこれは立体音響の原理にまつわる話なので、全く正常なのです。
製品不具合のレビューととらえるとお買い得を逃します。