A-2の着こなし記事にて少し触れましたがフライトジャケットのサイズ選びについてもっと詳しく。
サイズは間違うとちょっと怖いところもあるのは事実、安いものではない。
結論はきつい・ギリギリがベストであります。必ず長く着られます。
実際にどう選ぶか、そして実際に10年後どうなったか。
自分の体験そして友人の事例も。
「タイトなサイズ」とは前が閉まるかどうかスレスレの大きさ
ギリギリのサイズとは?
基準について具体的に申し上げます、前が閉まるかどうかスレスレのもの。
これがベストサイズです。
もし肩幅がスリムな方であれば、お腹をへこませてギリギリ閉まるぐらいでもいいほどです。
このサイズ感こそ、そのフライトジャケットが手元に長く残るかどうかの最大のポイントであります。
フライトジャケットの着こなし・ファスナーを閉めるとカッコ悪い
ここでひとつ
- ファスナーをぴったり閉じたA-2のコーディネート画像
- 前を開けてインナーを見せた画像
この2つを想像したとき、何をお感じになりますか?
おそらくですが、初見でカッコいいと思われるのは
前を完全に開けてインナーを見せたコーデじゃないでしょうか。
無いわけではありませんが、ネットでも雑誌でもどちらかといえば開けたコーデ例が多いはずです。
フライトジャケットの着こなしは、前のファスナーを開けていたほうが明らかにカッコいい。
閉めるとたとえそれがバズリクソンズであっても遠目にはワークマン化します。
中年おっさんが着るA2のサイズ感(実例)・メタボでいい
なお体型は、実はそんなに関係ありません。
皆様の気休めにもなりゃしないのですがアタクシもちゃんとメタボです。
体型はあまり関係がない・腹が出ていてもOK
なお実際に着ているサイズでありますが
- 身長:170cm
- 体重:83kg
- 肩幅:いわゆる日本のLサイズ
- 腕の長さ:日本のMサイズ
上記の上で中田商店A-2(ホースハイド)の『サイズ40』を着ております。
前が閉まるかどうかギリギリでOK・エージングが進むと着やすくなる
10年前、お腹のところで閉まるかどうかギリギリを買いました。
正直ちょっと緊張しました、失敗するかもと。
そしてエイジングをすすめた今は、もうちょっとタイトでもよかったと思っております。
エージングで肩とハラ周りにゆとりが出たので、むしろ袖の長さが少し気になる。
なんでしたら以前買ったフライトジャケット、特にA-2なんてそうですが
腹が出て前閉まらないなんてことになっていたらそれはいいことなのです。
A-2はご自身の感じかたと周りの評価がかなり違うウェアだったりします。
確実にカッコよく見えます。
完全に前が閉まらないA-2をオーダーしたスティーヴマックイーン
後述する「King of Cool」スティーヴ マックイーンが着ていたA-2にいたっては、わざと前が全く閉まらないサイズが選ばれています。
これは彼自身のリクエストによるものです。
そこまでやる必要はありません、ギリギリでいい。
なぜタイトを選ぶのか・フライトジャケットは元々動きやすいデザイン
前も閉まらないかもなんてそれじゃキツくて着られないじゃないか、いい加減なことを言うなとお思いでしょう。
フライトジャケットをカッコよく魅せるのは「ちょっぴりのハードさ」・ワークマンとの違い
もっともなご意見です、こんなことをお勧めするのはなぜか。
フライトジャケットは
「ほんのわずかハード」に見えるかどうか
これが全てを分けるからです。
ここにゆったりした着心地が入るとかなり微妙になります。
ワークマン化する。
「ヘビーデューティー」がフライトジャケットの魅力・ユルめサイズで消えるもの
フライトジャケットはいわゆる「軍服」や「制服」には見えません。
ほどほどのヘビーさが魅力なのですが、ユルいシルエットはこのわずかなハードさが薄くなる。
一言で言えばジャンパーとかブルゾンになる。
切れ味が消える。
そしてコーデしづらくなります、フライトジャケットらしさが薄くなるから。
フライトジャケットはワークウェアです。
しかしぎりぎり作業着にならないのはどこかに命懸けのヘビーユース感があるから。
「研究開発された」結果の動きやすさ・民間にはない特徴
またそもそもが動きやすさを第一に考えた造りです。
それも企業の商品開発レベルではありません、多額の予算をかけて「研究」されています。
実際にワンサイズ下を試着して見てください、意外なゆとりがあることにお気づきになると思います。
背中のプリーツや肩のアームホールのかたち・大きさがいわゆる「民間向け」よりゆとりがあり大きい。
動きやすいのです。
サイズに表れないゆとり・少ないサイズ展開で多くの兵士の身体に合わせるため
たとえば米軍には143万人の兵士がいるそうです。
これだけの人数全員にサイズぴったりの軍服を支給するなんてそもそも無理です。
1サイズ増えただけでも膨大な追加予算が必要になる。
数種類のサイズ展開だけでさまざまな体型にとって動きやすい服を作る。
そのためサイズ表記にないゆとりが各所に作られております。
それでいて裾丈が短い、ここがカッコ良さにつながるのでゆったりサイズを選ぶのはもったいないです。
USサイズは日本より大きい・フライトジャケットは二回り小さいサイズも試したい
なおUSサイズは日本人向けには一段上、つまりUSのMサイズが日本人のLに相当すると言われますが、フライトジャケットだとSサイズでもピッタリになる場合があります。
試着の際は2段下のサイズも確認されるべきです。
以下のとおりアタクシはMA-1で失敗し、以来かならずSサイズを確認しております。
エイジングでもかなり変わります。
ユルいサイズはコーデが難しい・(なぜか)手元から去っていく
では大きめサイズのフライトジャケットを買うとどうなるのか。
着なくなります、A-2だけでなく全て。
繰り返しますが、コーディネートはしづらくなる。
革ジャンは更にそうなります。
ゆったりサイズのフライトジャケットや革ジャンは着こなしが難しい
コーデが決まらずいずれは処分する。未だに苦い思い出です。
MA-1、CWU-36P(アルファ正規)・ゆったりサイズは手元から消えた
初フライトジャケットはお恥ずかしくも黒のMA-1でしたが、愚かにもUSサイズのLを買ってしまった。
国内で言えば完全にLLレベル、ダボダボでした。いくらも着ないで処分。
またその後購入したCWU-36P(アルファ)も性懲りもなくL買い。相当ねばりましたが(25年以上)結局人にあげることに。
アラミド(ノーメックス)のCWU-36Pは当時でもかなり高かった。
貧乏性のアタクシがあれをあきらめたとは、いかに使いきれなかったかご理解いただけるかと。
ユルめ大きめは隠しようもなく「ブルゾン」になっちまう。
確実に着なくなります。コーデもなにもあったもんじゃない。
体型が変わってもタイトなサイズだけは手元に残った・かっこいいシルエットが成立する
その後は小さめ買いに徹しています。
試着して迷ったら小さいほうと決めてすらいます。
10年以上経ったものもあり、アタシの体型も大きく変わりました。
しかし無惨なメタボと化した今も、タイトなサイズのモデルで捨てたものは一着もありません。
ハラが出ていてもコーディネートとしては成立するからです。
捨てたのは常に「ゆったりサイズ」でした。
スティーヴ・マックィーン「King of cool」はタイトを選んだ・A-2のベストシェイプとして
なおフライトジャケットA-2といえば「大脱走」のスティーヴ マックイーンです。
「大脱走」のマックイーンは明らかに小さいサイズをあえてリクエスト
「King of cool」と呼ばれ、自身の演出にも徹底的にこだわりました。
そして「大脱走」撮影のとき、
サイズの明らかに小さい(一説には2サイズ下の)A-2を自らリクエストしたそうです。
完全に前が締まらないサイズだったことは確かです。
それが現在マックイーンの重要なアイコンです。彼は画面で自分がどう見えるかを直感できた天才といわれていますが、
撮影用のA-2を手に取ったとき、このフライトジャケットを着た自分がどう見えるか即座にわかったらしい。
スティーブマックイーンにとってA-2のベストとは「タイトに見せる」ことでした。
マックィーンには到底なれそもないアタクシですが、せめて分相応のカッコはつけたい。
フライトジャケットはファッションでかつホビーにもなる素敵なアイテムです、普段の生活の中で本物を楽しめます。
買った以上は長く手元に置きたいもの、何かのご参考ともなれば。