海兵隊ウェアはちょいモッサい。そういうところもありますが、なんかそれだけじゃ申し訳ない。
考えたら海兵隊ムービーは独特、元気が出たり頑張れたりするものがたっぷり入ってる。
ということで独自チョイスです。
基準は日曜の午後3時あたりから効くこと。
基準は漢気(涙・友情・勝利)・日曜日の午後に元気が出ること
アメリカ海兵隊って独特の言葉があります
- “Semper fi”「常に忠誠」
- “Retreat, Hell !!”「退却クソくらえ!」
- “Oohrah”(ウーラー)「押忍!」
- “Gung-Ho”「闘魂」
全部根性系ばっかり。
陸軍からは「ちょっとおかしい奴ら」と言われるそうです。
その代わり理屈を超えたパワーが重んじられる集団でもある。
入ったら「一生海兵」だそうですし戦友は「家族」、ヤバい奴ら枠でも映画はそこがパワー全開の源になるわけです。
以下選んだ基準、
- アタマを使わないで観られる
- 元気がないときに効く
- ちょっぴり泣ける
- 仕方ねえ、自分も明日会社でがんばろう
です。どれも一度は観た映画だと思うので今更ネタバレはしません。
クリントイーストウッド『ハートブレイクリッジ 勝利の戦場』
朝鮮戦争以来海兵ひとすじの古参兵(クリントイーストウッド)が若者たちを鍛え上げていくお話。
大半は訓練シーンで戦闘も訓練の延長という演出ですから、わざと緊張感がありません。
実話のグラナダ侵攻も公衆電話で応援呼んだって話ですから。
ただ、この老海兵隊軍曹がイイ。
実にカッコいい。
多分クリントイーストウッドがダイレクトにダーティーハリー系キャラを演じた最後の作品です。
筋金入りの昔かたぎで現代と折り合う気もない、新兵たちとの世代ギャップにも全然ひるまない。
男の価値はケンカの強さとか完璧ズレてるわけですが、生き死にの土壇場を経験してきた迫力のせいでピンチにも動じない。
ただ海兵ひとすじだったために前の奥さんには苦労させたと内心後悔している。
そしてそんな彼の本物の生き方に新兵の若者たちもひかれていく。
アート一本やりになる直前のクリントイーストウッドが作った人情モノです。ハデなアクションはないですがちょいと味がある。
スジを通す生き方のカッコ良さに疲れているこちらもグッときます。
戦いの最後に一人前の海兵になった新兵たちを見ながら葉巻をふかすシーンとかベテランの味わいを魅せる。
前妻のマーシャメイソンが可愛い。今までイーストウッドのことをどんなに心配してきたか怒鳴りつけてビンタをくらわした後、泣いちゃったり。
アメリカよりもむしろ寅さん入ってますね。
なお観るとわかりますがすごいしゃがれ声で最初はイーストウッドも歳とったなーと思いましたが、役作りだったそうです。
主演エド ハリス、助演マイケルビーン『ザ・ロック』・その他:ニコラスケイジとショーンコネリー
パケ写がこれで、何で主演が「ニコラスケイジ」でも「ショーンコネリー」でもないのか。
もはや悪役とはいえないイイ漢(おとこ)すぎるエドハリス扮するハメル准将が泣けるからです。
海兵隊出身の彼は仲間の死に報いるため望まないテロ計画を起こします。
オープニングからハンスジマーの名曲でもう泣き始めるわけですが、
特にアルカトラズ刑務所のシャワー室で特攻隊を率いるアンダーソン中佐(マイケルビーン)との漢気対決は、もう涙と鼻水が止まらない(最低20回は観てますが)。
なにしろ監督がマイケルベイですから得意の3点セット
- USA! USA!!
- 星条旗
- 命がけの男たちが流す涙と友情
であくどく涙腺崩壊を狙ってきます。ベタな手ですがアタシらはもう無力です。
男泣きするしかありません。
おかげでショーンコネリーよりマイケルビーン(B級映画専門)がカッコいいという前代未聞の作品。
なお吹替なら個人的に日本テレビ版(津嘉山正種)がベスト、残念ながらパッケージソフト化されていない。
これと内海賢二版「Uボート」だけは吹替の帝王シリーズでリリースしてほしいんですけど。
アーロンエッカート(あるいはミシェル ロドリゲス主演)『世界侵略: ロサンゼルス決戦』
あえて完璧にネタバレします
地球を侵略してきた悪い宇宙人を海兵隊が努力・涙・友情でやっつける話です。
それだけ。
中学生でももう少しマシなもん考えるだろってぐらいのバカストーリー、フツーの映画基準ではこうなる。
でも「漢気」フィルターをかけたとき、まったく違うものが視えはじめます。
これでもかってぐらいの自己犠牲、そして戦友の死での涙。それを乗り越えたときに発生させるスーパーパワーでわんさかいる敵(エイリアン)に立ち向かう。
仲間は数人しかいないのに勝っちゃう、それもボコボコにやっつける。
元気なときはこういう映画はどうでもいいんですけどね、くだらない人間関係とかでうんざりするときあるじゃございませんか。
そういうときこういうのが効くんですのよ。本物はちゃんとあるんだって。
評論家から酷評された血も涙もない(体液は海水の設定だし)残虐なエイリアンというベタ設定のおかげで勧善懲悪ストーリーも光りまくります。
考えたらリドリースコットの「エイリアン」でも海兵隊頑張ってましたから。
あとミシェルロドリゲス姉さんが準主演格でめちゃくちゃ頑張ります。
ドロドロになりながら悪鬼のごとく暴れまくる活躍はブラックウィドウの比ではありません。
つまりマーベルやDCよりも多様性ははるかに上で、こんにち世間的にも申し分がない。
そして最後は海兵隊スピリットでバリバリ勝ちます。
なぜか今までなかなか当たらなかったライフルやピストルがパワフルに当たりはじめる。
調子こいていた残虐エイリアンの腕やアタマが気持ちよくブッ飛びます。
脳内のある部分を集中刺激してくる映画なので、日本人なのに「USA! USA!!」と叫んでしまうことでしょう。
多様性とサステナビリティについて考えたいときはなんの役に立ちませんが、やなことがあっても明日会社に行こうという漢気だけはがっつり注入してくれる作品です。
ジョンバーンサル『パニッシャー』
これとデアデビル(特にデアデビル)は映画ファンにとって
「何度リブートしても最凶にヤバい」
「TSUTAYAのレンタルキャンペーンでいくら安くても絶対に借りてはいけない」
「実写版ジョジョと同じぐらい寿命を無駄遣いする」
作品でしたがNetflixは見事にやってのけた。
映画通にも認められた完成度。
しかも主演はジョンバーンサル
「Fury」を観ても分かる通り漢気(おとこぎ)以外いかなる表現もできない俳優です。
個人的にはトーマスジェーン版は好きですがバーンサルのあの雄叫びはもう。
常にボロボロ・血みどろになりながら戦う姿は「月曜からオレも頑張ろう」って気にさせてくれた時期がありました。
今回取り上げた作品の中ではドラマとして確実に名作です。
なおペアになるデアデビルについてひとつだけ。ベンアフレックのデアデビルを最後まで観たひとって生きている人間では出会ったことがない。
ある意味ありゃすごい作品(観ることは絶対におすすめしません)。
ネトフリのリチャードコックス版は全く違います、「ニンジャ」は出てきますが名作です。
デアデビルとパニッシャーだけのためにネトフリ入る価値はある。
デミムーア『GIジェーン』
初めての女性特殊部隊兵士として志願したデミムーアが最後に隊員として認められる話。
架空の特殊部隊という設定ながらシールズを想定しているので本来海軍なんですが、訓練シーンはほとんど海兵隊のシゴキを参考にしたとか。
スジはつまらないです。映画としてのデキは普通。
でもデミムーアの鬼気迫る根性の演技が普通じゃない。
そこだけを観る映画。
そこだけで元気になれる。
有名なバリカンでセルフ丸刈りシーンから始まり、周りが止めるほど本人が撮影に入れ込んだ。
この人俳優でモデルですが、そのデミムーアがマジで鼻血垂らしてます。
一瞬ですがアタシも丸刈りすれば少しは気合入るんじゃねえかと思わせるような狂気を感じた。
ヴィゴ モーテンセンとのやりとりも生々しい。
お約束のエンディングに映画通からの批判殺到ですが、あのデミムーアのままで終わったらかなりおかしな映画になりますよ。地獄の黙示録じゃないんだから。
頭悪いのでジェンダーとかのことはまるでわかりませんがこの作品のデミムーアの気迫は正直グッときます。
元気のでる映画のみチョイス
本当は「アメリカンスナイパー」や「ジャーヘッド」「ブラックホークダウン」などがありますけど週末はちょっとねえ、重い。
少なくとも日曜の午後3時以降に観る映画は気持ちが明るくなるようなもんでないと。
故 淀川長治氏はそこをちゃんとわかっていて日曜洋画劇場の解説をしてくださった。
ということでこれで「しょーがない、明日会社でまた頑張るか」というお気持ちになるかたがいて下さったら嬉しいです。