JBLはしばらく東京インターナショナルオーディオショウへの参加がありませんでした。理由はわかりません。
今回久しぶりなので楽しみと思いきや、最大ホールでのデモ。
結果からいうと価格比だけでなくホームシアターラインのスピーカーはいい。驚くほど安定感ある鳴りです。
一方でフラグシップ系は確かに最近ちょっとご無沙汰だったなあと思わせるもの。
SA750やL100頼みがよくわかりました。
HDI-3800は東京国際フォーラムの大ホールでパーンと鳴った
なんだか景気の悪い出だしでございますが理由があります。
場所選びからしてそもそもチグハグです。
あまりにも巨大なホール・家庭用スピーカー向けではない
誰が選んだかブースは「D棟 Hall D5」
これまでアクシス株式会社がほぼ占有状態だった大ホールです。
156畳・天井高6mは体育館で鳴らすようなもの
ファインオーディオ、ダン・ダゴスティーノ、MSBテクノロジー、そしてFMアコースティックスを並べまくっていた。
- 面積:285㎡、つまり156畳
- 天井高:6.35m
小型の体育館並みです、広すぎて一番鳴らしづらい。
音は出ます、しかし基本的な評価以前に音が散って薄くなる。
これで音の良し悪しなんてかわいそうです。
そんなつもりで聴いてきました。
PLATINUM Air Pulse 3.1を鳴らした(国内外で)唯一の公共施設
なおここは国内で「PLATINUM Air Pulse 3.1」を鳴らした、多分唯一のオフィシャルな場所でもあります。
高さ1,800mm、重さ400kg(1本)のオールホーンスピーカー
今「Air Pulse」ブランドを主催するフィル・ジョーンズ畢生の大作。
ともかく壮観でした。
30cmウーファー2基から伸びる数メートルのホーンから低音を噴き出させ、それで会場に音が満ちた。
一方でJBLは今回ここでミドルレンジのホームシアター用モデルを鳴らした。
最初こりゃ無理だと思いました、DD67000やK2 9900でもキツいはず。
ホームシアター向けHDI-3800は大型ホールで鳴った
結論を申し上げますとJBLのホームシアターラインは大した出来です。
まずきっちり鳴った、ちゃんと聴かせた。
繰り返しますが156畳、天井高6m
迫力が不足している印象は全くない、大したものです。
人気がある「Studio6」シリーズの上位版「HDI-3800」(¥275,000/本)です、これをメインで鳴らす。
無理だろうと思いながら聴くと、意外やいい感じではありませんか。
JBLは特にエージング必須ですが、こんな広さでしかも置いただけでここまでならば。
「Studio6」シリーズの、特に698はシアター用だけじゃもったいないと感じておりましたが、あのアップグレード版は更にいい。
映画用と言いながらJBLらしくいい音楽を聴かせます。
D2410H-2・D2コンプレッションドライバーは素性がいい
この機種はドライバー(ホーン部)の造りがD2系列であります。
コンプレッションドライバーの正式型番はD2410H-2
「Studio6」もそうですがこれがなかなか出来の良いドライバー。「4367」「4349」と同系統。
会場で今後の拡販モデルとアナウンスされていた「4309」も同じドライバーを採用しております。
JBLのコンプレッションドライバーは歴代出来不出来があり
D2はいわゆる「当たり」であります。
D2と同じ「Teonex(テオネックス)」という樹脂製ダイヤフラム。ドライバーのダイヤフラムといえばドーム状ですが、これは円錐形。
積極的にイコライザーの役目もさせて30kHzまで伸ばそうということらしい。
Teonexなんて言っておりますがつまりはプラスチック。
これまでチタンとかを使ってきたのに大丈夫かと思っておりましたがどうしてなかなかのものです。
元々の剛性とV型のかたちが反応をよくしている模様。
D2ドライバーは基本からして本物であります。
レスポンスが速いのにしなやか。ナチュラル。
しかもあの広いホールに音を飛ばしております。
繰り返しますがHDI-3800・3600・1600をホームシアター専門にするのはもったいない。
音楽用として十二分かと。
「JBLでクラシックはダメ」は30年以上前の話
なお今でも「JBLでクラシック」というと拒否反応を起こすマニアはいます。
随分前からそういうものではなくなっているのですが、80年代あたりで音を覚えた方はやっぱり聴く気になれないでしょう、人情です。
「HDI-3800」「4309」「4306」・JBLはクラシックもいける
だからといってK2とかEverestでないといかん、というのもヤボです。クルマ買いたいって相談してきた人に「せっかくだからいいクルマ買いなさい、ポルシェだ」って説くようなもの。
HDI-3800は
「現在のJBLはなんでもいける」それを端的に現しています。
なお会場でアピールが少なかったのですが、
この3機種は長く付き合える佳品、特に4309は低価格と言い切れないほどホーンの良さがよくわかる音であります。
アンプやプレーヤーを相当アップグレードしてもなかなか底が見えない懐の深さがあります。
「問題作」SA750・練り上げ不足「名機へのオマージュ」
問題は入り口に展示のSA750であります。それとL100の組み合わせ。
視聴機もマークレビンソンとこれが並びました。
リモコンに素性が出た・見物のこちらが不安になるデザイン
まずは以下を、何に見えますか。
JBLのアイデンティティをお感じになるでしょうか。
「JBL!」マークがなければJBLに見えない
アタシはどうしてもケンウッドやONKYOを連想します、それもミニコンポ。
単純に受け入れ難いセンスです。
これにJBLマークがついてはじめてメーカーがわかる。
確かにアイコンは素敵ですが、これでSA600のオマージュとは。
恐れ入った。
中華DVDプレーヤーみたいなリモコンがキビしい
せめてリモコンぐらいなんとかならないものか、これじゃ¥9,800のDVDプレーヤーみたいじゃございませんか。
リモコンって深圳とか東莞ならもっといろんな作りをしてくれる業者がたくさんいます。
頼めばもっとマシなものになるはず。
サムスンの調達網で知らないはずがありません。一声掛けたらさばききれないほどの電話とメールが殺到するはずです。
SA750は高音質・「往年の名機」狙いすぎが惜しい
あれほど多機能で音は確かなんですから。いっそのことクラシックラインではなく、超未来的なデザインで操作は全部スマートフォンのアプリでやるとか選択肢もあったのでは。
前面パネルのスイッチ機能なんて100円マイコンで全部操作できるのですから。
LEDインジケーター1個だけのフラットパネルとか。
中身はいいものなのです、無理やり懐古調やSA600に似せたカッコやリモコンで盛り下げるのはもったいない。
なお1年限定生産と聞きましたがそれはチークのサイドウッドVerだけ。
木目を違えた上でその後も継続販売するそうです。
そこいらへんもなんだか拍子抜けしました。
ARCAMはシブい・HDI-3800にはむしろこれが合う
ARCAM「SA-30」も発売開始しておりました、いささかこぢんまりと展示。
でもこちらの方がいい。
断然いい。
特にHDI-3800と合わせてならばアタシはARCAMです。
SA750と同じ内容ですから性能はいい。
元々ARCAM使ってみたかったし。なかなかいい顔してます。
レトロというより昭和・B&Wとは比べものにならない
SA750とL100のペアってレトロ以前にオシャレじゃない。
古いというならSA600に似ているからではなく、むしろ昭和系デザインだからです。
SA750とL100は「昭和」「トヨタ マークⅡ」
80年代の白いトヨタマークⅡを連想しました。
ワインレッドのビロード調シートと木目『調』パネルの組み合わせのような。
あの頃のダッシュボードに刺さったシルバーのカセットデッキを見ているようです。
家具調っていったら今海の向こうで評価されているのはSonusfaberとかです。
ARCAM「SA-30」と基本同じ内部構成はむしろいいことです。
ただSA600のオマージュなんてハナから無理がある。
そもそもオマージュって何をしたいのでしょう。そっくりを作るのか。
アーノルドウォルフとは関係ないデザイン・完全独自がよかった
それとも更に上げようとするのか、「アーノルドウォルフの更に上を作ります」なんて言い切るのは結構勇気が要ると思いますが。
工業デザインの世界には「パクリ」という言葉があることを思い出して欲しい。
思いきりよくきれいなアルミの箱に納めたほうがはるかにカッコ良かった。第一このデザインじゃシリーズ展開もできないではありませんか。
繰り返しますが、音質や機能はいいのです。
B&Wは相当に練り込んでレトロモダンを作っている
レトロモダンは簡単に見えて難しい、あっという間に飽きられる。
しかも必ずモチーフがあるわけでパクリ疑惑をもたれやすい危険がついてまわります。
だからデザイナーは慎重になる。
B&Wの快進撃が始まったとき、きっかけとなったあのデザインをB&Wがいかに入念かつパワーを掛けて練り上げたことか。
L100のセールス好調が怖い・復刻パラゴンとか考えるのはやめて欲しい
正確な数字が発表されていませんからアナウンスを受け売りするしかありませんが、L100シリーズは販売好調だそうです。
SA750を見ていると、そのうち『復刻Paragon』とか本当に出しそうでファンとしては不安になります。
JBLは歴史が長いだけに「オマージュ」「復刻」シリーズのネタには事欠きません。
でもこれをやるのはタコが自分の手足を食べるようなものです。
必ずブランドの価値は落ちます。
IT・テック系メディアにウケるものは先が短い
実際L100はこういうバリエーションがある。
ファンの不安をあおる商品です。
SupremeとJBLがコラボ・何もかもアイデンティティゼロ
「Supreme」ですから、どう理解すれば。
クリエイターとかテック系メディアが喜ぶネタです。
いっぽうで「本物」のスピーカーであるLumina1はこれ
しょうもない話ですがこちらのほうが値段もはるかに安いんですよ、海外でも「最高のインテリア」と言われています。
どうかしてるとしか思えません。
IT・テック系メディアのSA750絶賛レビューに不安を感じた理由
なおSA750も発表時にテック系メディアの記事が多かったことはすでに穏やかじゃなかった。
判で押したように「レトロでおしゃれ」の記事が並んだ。
軽めのレトロが好きな彼らのお好みに合うというのは危険であります。
一瞬持ち上げられたあと、次第にブランドの重みがなくなっていく。
テックメディアは「軽めレトロ」「かわいい」が大好き
案の定、現物が出てきた今それらにはもう無関心です。実機を詳細に確かめたなんて記事は皆無。
見た目の珍しさだけです。
かわいいとかレトロは定番です、しかしハーマンは「Supreme」なんてなんで断らなかったのか。
過去の遺産を喰いつぶしているようなものです。
「極端に賞味期限の短い」話題を好むメディアにウケるものなんてJBLに作って欲しくない。
バズればなんでもいい・ITならアダルトグッズすらほめる
ネットで一瞬膨大な閲覧数が取れれば(「バズる」と言います、嫌な言葉です)他はなんでもいいメディアです。
流行には乗るだけ、SA600やParagonのように時代に挑戦する気はハナからない。
ネットで勢いのありそうなキーワードに乗るだけです。
しかもセンサーが入っていてITやテックと名がつきさえすれば、アダルトグッズさえもクリーンイメージで書く
はっきりいって薄気味悪い。
そういう趣味のオーディオメーカーが(もしもあればですが)、少なくともこの分野では最低と思われるでしょう。
だからすぐ捨てる、今回のJBLがいい例です。
例えばサステナビリティ(sustainability)を主張しながら、造りが甘くてすぐゴミになるクラウドファウンディング家電を平気で持ち上げる。
SA750とL100・L52頼みの事情・ハイエンドスピーカーの開発が止まっている
繰り返しますがホームシアター向けスピーカーは良かった。
しかしそれ以外で今JBLを積極的に選ぶ理由がありません。
ハイエンド他社にとってJBLは眼中にない・最近は開発提案がない
ハイエンドスピーカーの開発姿勢が見えないからです。
MAGICO、YG Acoustics、MARTEN
あるいはB&WやSonus faber
これらと比べればイメージからして違うとお分かりかと。
彼らは文字通りしのぎを削っている、音だけでなく造りも本物です。
B&Wに至ってはデータに現れないバラつきまで揃えようと、ペアとなる二台のスピーカーを同時に作る製造ラインを構築をしているほどです。
本当に残念ですがJBLは今眼中にないでしょう。
まったく残念です。
JBLの方針にはハイエンド開発が無いように見える
問題は当のJBLがハイエンドのスピーカー競争に入っていこうとしていないことです。
フラグシップが伸びないと下のレベルも切り上がらない。
少なくとも音を実際に聴く機会のない人に対して、HDI-3800が良くてもその好印象を伝えることは難しい。
他人はJBLの現在のラインナップを見て状況を判断しますから。
フラグシップがアップグレードするとシリーズ全体が良くなる・HDI-3800のように
ホームシアターモデルが別なのは、この分野の競争はハイエンドとは別種しかも激しいから。
JBLはここにD2コンプレッションドライバーで得られた知見を生かしています。
D2ドライバーの良さがホームシアターモデルの音質に
繰り返しますがD2ドライバーはかなりの良作です
HDI-3800は「上がよければ下もまた佳し」の法則通り。
SA750とL100 classic・L82は「昔はこんなに良かったです」という以外に伝わるものがない。
JBL ProfessionalとMark Levinsonの「オレ流」デモなら盛り上がるのでは
いちファンにすぎないアタシとしては甲斐なき夢でもみている他ありません。
ヒビノJBL Professional/マークレビンソンは聴きたい組み合わせ
ただもし来年も出展する気があるならばいっそのこと
「JBL Professional」も同時にデモをしたら面白いと思います
ヒビノプロオーディオDivも引っ張り込んで
同じJBLではありませんか。
かつてJBLは「圧倒的パワー」が特徴・他社が追いつけない高性能
その昔、原初のJBLとはこういうものでした
D67000 “Everest”には最上級の映画館サウンドが受け継がれている
「圧倒的パワー」
他社スピーカーならとっくに壊れる音量も楽々再生する。
実はこの性能が他社にないデリケートな表現を可能にした。
映画館向けですが、当時から小さな音量もリアルでテンションの高いサウンドでした。
それが今、D67000 “Everest” に結実しています。
背面から同モデルの内部を見るとJBLのルーツがよくわかる。
ヒビノ扱いのJBL Professional『M2』は原型のJBLに近い・かなり面白い
JBL Professionalはプロモニターと大規模映画館向け。特にこの「M2」はよろしい。
原初のJBLがそのまま進化したかたちです。
JBLが基本にしてきた「優秀なユニット」を元にシステムを組んだ2ウェイです。
JBL Professionalは全て「ホーン+ウーファー」の2ウェイ
D2ドライバー技術がいかんなく発揮されている「ホーンの切れ味」で聴かせるスピーカー。
昔と違うのは小音量での表現力、音を絞ってもキレのある音が出せる。
コンソールと業務用パワーアンプで鳴らすモデルですが、それこそマークレビンソンなんて当てればもっとよく歌うでしょう。
「超」高能率ホーンスピーカーは別物・「10年間遊べる」スピーカー
こういうものもある、映画館専用です。ちゃんとネットワーク付き。
「超」のつく高能率
部屋にあったらギョッとしますけど嬉しくなる、キリンやゾウを家で飼っているようなものです。
これ完璧に趣味・ホビーです。
間違いなく10年遊べます。
「200 series」は38cmウーファー2基のバーチカルツイン
最近はモデルが変わり(200 series)以下のようなバーチカルツインの仮想同軸&面音源で攻めています。
ほんとに面で音を押し出してくる。
ウーファーは上下で音域が異なり、新開発のリフレクターのようなものをつけ、こいつも気になる工夫。
ホビーとして完璧なルックス、しかし意外なことに奥行30cm
コンプレッションドライバーも2基搭載でそれぞれが違ったリスニングエリアをカバーする仕様。
しかもこの見た目で奥行きが30cmぐらいです。
目的に鋭く特化した、しかも重さで叩き切るナタのようなスピーカー
無理やり部屋に引きずりこんでみたくなる、とにかくワクワクします。
JBLの名機は全てホーン・強力コンプレッションドライバー+高能率ウーファー
販売は法人専用で購入に工夫が必要なようですが、繊細にデカい音を出すという「原初のJBL」と申してよろしい。
デリカシーがあるのに切り裂くサウンド・JBL歴代ハイエンドすべて
メディアやネットでは「癒しの音」を求めている記事が多いのですが
ミュージカリティとデリカシーたっぷりの切り裂くような音
こういう音のデモンストレーションはなかなかありません。
御用繁多でありましたと思いますが、ご関係の皆様は他社ブースへ偵察には行かれましたんでしょうか。
人の集まっていたデモは必ず
「他所はどうでもいい、オレの話と音を聴いてくれ。最高を作ったから」
という主張がございました。
「今日はバリバリ鳴らすのでひとつよろしく」というプレゼンなら新型マークレビンソンももっと光る
アキュフェーズで熱弁をふるった若手エンジニアならばいうでしょう。
「腹に響かせる音を目指しました」とか
そのぐらいのプレゼンをやって欲しい。マークレビンソンの新型ももっと光る。
「レビンソンをフルパワーにするから風圧を感じてくれ」ぐらい言っていい
例えばです、
「今日はC222を通常のAMCRON(映画館用パワーアンプ)ではなく新型マークレビンソンのフラグシップで鳴らしたらどうなるかをお聴きいただければ・・・云々」
「マークレビンソンは映画館のパワーアンプに比べ音の伸びがあるため、前席のお客様は少々風圧らしきものをお感じになりますが、何卒しばらくのご辛抱を」
なんて調子なら、辛抱どころか前席に殺到する。あのD5ホールとて大入り満員請け合いです。
と半ば真面目であります、あの豪華な広さに対してK2以下を横並べにして終わりだったのは寂しすぎる。
「聞き疲れのしない音」をいうひとほど刺激を求めている
今更映画館スピーカーかよと思われるかもしれません。
巷間あふれる「聴き疲れのしない音」とか言ってるレビューはこの際気にしないでください。
ライブで「刺激感のない、暖かい」演奏はない
あれ、レビューの定番ポーズでして
皆さん内心では結構刺激的なものを求めています。
でなきゃMARTEN(ゼファン)ブースやSOULNOTEに人が集まるわけがない。
「癒し」のカケラもないかなり辛口の音でした。
演奏のリアリティや気迫は大変な勢いで伝わっていましたが文句を言う人は誰もいなかった。
どころかずっと居続ける人もいたほどです。
考えればライブの演奏って「刺激感のない、暖かい」音じゃありません。
逆にアーティストが酷評される事態になるでしょう。
スピーカーですから生演奏の音は出ませんけれど、飽きさせないのはリアリティや気迫を感じさせる音がするものです。
JBL流「仁義の切りかた」は常にアグレッシブであるべき
JBLは好きです、言うにいわれぬオーディオの楽しさ・凄さがある。
コンプレッションドライバーを「新しく見せて」ほしい
ミドルエンドですらホーンをシリーズ化できるブランド。
これこそ75th Anniversaryであります。
懐古趣味は似合いません。
前回は確かまだ菅野沖彦氏が存命だったような、久しぶりで期待しましたがとにかく今回のデモは特徴がない。
厳しい言い方ではありますがモデルが並べてあって順に鳴らした、それだけ。
繰り返しますが、勢いがいいブースはマイクパフォーマンスからして違いました
これじゃいけません。
来場者が興奮で汗をかくぐらいアグレッシブでないと音に揺さぶられたとはいわれない。
「JBLのデモは凄かった、行ってトクした」という評判が得られない。
名機の復刻より「最新技術のフラグシップ」を
フラグシップのK2 S9900やDD67000に価値がないということではありません。
K2 S9900やDD67000はもう2世代ぐらい進んでいるはず(ちょい旧い)
ただあれらは
「800D4シリーズを聴いて自分の好みは主流と違うということがよくわかった。他人がどう言おうがオレはこれでいい」
と自覚した人が買うもの。
カッコいいのですが、少し枯れてます。
選ぶ人の強さが見えて逆にそこがいいのではありますが。
それに今頃はもう2世代ぐらい進歩していてもおかしくないモデルなのです。
実際ハイエンド他社はその勢いです。MAGICO・YG Acousticsの首をカッ切ってやるぐらいの勢いで新興が追っているのですし。
レトロJBLは誰も望んでいない・SA750は見た目がどうにも
オマージュで枯れてる場合じゃないです。
しかもSA750のあのデザイン、繰り返しますが正直厳しいと思います。
多分5年後ぐらいに「ああ、あれね」と言われるでしょう。アーノルドウォルフとか言い張るとますますとんちんかんなことになる。
レトロ路線自体中身ではなくカッコ勝負といってるようなものですから。
JBLは三流クラウドファウンディングじゃありません。
ファンがJBLに求めるものはそういうものじゃない。
他社ハイエンドにないハイエナジーとデリカシーで勝負・ホーン/高能率が武器
なんと言いますか、「JBLで音楽聴くとグッとくる」と言わせるような。
他人にその場を見られたら恥ずかしくなるぐらい感動するような。
ハイエナジーとデリカシーが両立した音。
デリカシーは現代ハイエンドの得意技ですが、ハイエナジーの優先順位は幾分低い。
こちらには数十年磨いたホーンと高能率ユニットという武器があります。
新興ハイエンドができないようなそういう重いパンチをJBLに求めております。