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新作アキュフェーズは若手が理想を追う、しかもプリアンプで

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フェアで最も人目を惹くブランドのひとつがアキュフェーズです。今回はプリアンプC-2900を筆頭にDC/DP-1000、そしてE-5000といったヘビーな新型のお披露目。

若手がマイクパフォーマンスであります。ベテランはハラハラしているでしょう。
しかし音は経験不足どころかたっぷりの音楽性。

なおアキュフェーズは老舗でありながら数年前から「音がかなり変わり始めた」といわれてきています。

パワーというか音がうねるような感じがある。

「こういう音にしたい」連呼・最も難しいプリアンプでC-2900の説得力

昨年はネットではE-800とC-3900について溢れんばかりのレビュー。
今年もブースはかなりの熱気でありました。

C-3900とE-800・何をすればあのハイエナジーな音になるのか

同社についていえばプリメインアンプE-800はここ数年ではかなり衝撃の音でした。
アキュフェーズがこれを作ったことにも驚いた。

E-800・セパレートアンプと比べて良い悪いとは完全に別系統

プリメインアンプとしてとか、セパレートアンプと比べて、といったいわゆる比較のラインから明らかに外れた音質。

独特の音色と絶妙のパワー感、つまりインテグレーテッドアンプでありながらセパレートも持ち得ないような力感の表現がある。
明らかにハイパワーのセパレートアンプと差別化したと感じるしなやかさ。

それまでアキュフェーズで聴いたことのない音です、同社はセパレートを超えるプリメインは作らないからです。
高音質でも刻みはきっちりつけてきた。

しかしどういう理由かE-800はその法則を破りました、50周年ならではの例外と思います。

C-3900より高音質が欲しいとは、違う音色が欲しいというのが正確

その後にリリースされたプリアンプC-3900は「これの上に行くときはいくら払えばいいんだ」と思わせるもの、3850を完全に旧型にしました。

これはもう世界的にみてトップエンドといえるもの。ハイエンドではない。

値段のことをいえば身もフタもありませんが、米国での販売価格は50,000ドルです。
内外価格差というのは日本だけのことじゃない、幸せなことにうちらは200万円で買えます(アタシ以外)。

名機と呼べるものが極めて少ないのがプリアンプという分野。
評価は今後に待つことになりましょうが、C-3900が280Vそして290V以降の節目として語られることだけは間違いありません。

わかりやすく言えば『C-3900以上の高音質を求める!』という希望は、現実にはC-3900とは違う音色が欲しい、という希望なんだなと理解するのが正確でしょう。

プリアンプは「良い」か「良くない」しかない・C-2900の難しさ

その下位機種としてのC-2900であります、実に難しいポジションです。

繰り返しますが「プリアンプ」は難しい、「凄い」か「たいしたことない」しかない。

国内に輸入されたプリアンプをシビアに評価したら、歴代10機種ぐらいしかないのではと思うほど。
センスがはっきり出るから怖い。

普通は経験を積んだベテランエンジニアの案件です。

そのC-2900、アキュフェーズは若手を登用しました。
パワーアンプにメーターがついている会社がです。

C-3900の下位機種だが音色が違う

C-3900は初回ロットからいきなり完売と飛ばしておりました。

C-3900は厚みがあるのにソリッド・200万円はバーゲン

厚みがあるのにソリッド、落ち着きのある(というより古い)見た目と音がちょっと重ならないといってもいいぐらいです。

200万円ですが、ありゃトッププリとして完全にバーゲンです。

C-2900は3900にない自然さ・しかし「うねる音」

一方のC-2900は、アタシにはかなりナチュラル系に振った音に思えました。
ソリッドとは違う。

なお会場の東京国際フォーラムは建築デザインは一流です、会議室としては最高。

でもしょせんは会議室、ピュアオーディオ再生を想定した作りではありません。防音こそ問題ありませんが、壁も天井もビンビン鳴る(共振する)。

聴き手は部屋の響きとオーディオコンポの音を慎重に聴き分けながら聴く必要があります。

「聴き疲れがしない」のとはひと味違う・ハイテンションな音楽

その条件での話です。

鳴らした「Fyne Audio F1」は導入後もう1年半ほど経つはずですからエージングはすすんでいるはずですが、それを差し引いてさえナチュラル。

ただ、いわゆる「聴き疲れがしない」とかいう音ではなかった

テンションは高い。聴き込まざるをえません。

ダイナミックレンジの広さを感じさせながら密度の高い音なのです。
C-3900よりも暖かさに振ったかのよう。

この水準から高い安いが通用しなくなるのがプリアンプの難しさ。
その意味でひとつ世界があります、うねって音が出てくる。

エンジニアは30代にしてシブい音・フォノイコC-47を設計

エンジニアの小谷野氏は「自然」「暖かさ」というタームを多用し「自分が作りたい音を目指した」と言い切りました。

まだ30代らしい、それでプリアンプってアナタどうなんでしょう。
ピュアオーディオでも相当年季の入ったエンジニアでないと手をつけられないカテゴリのはず。

しかしながらこのかた、音について実にシブいことをおっしゃるのです。
伺えばフォノイコライザーC-47を設計されたエンジニアとのこと。

C-2900のポイントは微小信号とノイズの扱い・相当悩んだらしい

素人っぽい高音質テクニックの話はゼロでした。
なんとフォノイコ設計の際

微小信号とノイズの扱いという点で

「リアルさの再現」について得るところがあったとか

悩みがいきなり高次元です、特性の良さと高音質の矛盾を認識したと。

なんと、きれいにしすぎると「音楽」が聴こえなくなると言い切った。
フォノイコライザーC-47では相当悩まれたようです。

傾向は異なりながらSOULNTEを思い出してしまいました。

納得できるC-2900の音です。

いささか訥弁(とつべん)ながら好き嫌いと目的をはっきり言い切る、実に説得力あるプレゼンだったと申し上げます。

すでに途中からC-2900への感情移入が始まってしまった。
いけませんな、こんな調子で散財が始まる。

DP-1000・DC-1000はCD・SACDの終わりがみえた

アキュフェーズで初の「超」物量投入型トランスポート

プリのいっぽうでDP-1000/DC-1000はとにかくゴツい存在感でありました。
送り出しの音質はこれはさすがに評価できない。片々たる私見よりも以下の内部画像をご覧ください。

なおDP-1000/DC-1000の開発エンジニア氏も30代とおぼしき若手。

C-2900のご担当である小谷野氏とはまた違う語り口の、スマートな印象のかた。
ただうなずいて聞いていると、この方も「ゴツい話」を恐れげもなく口にする。

なるほどDP-1000/DC-1000がこういう物量投入になるはずだわと。
一応申し上げますと、語りはスマートながら、設計については年季の入った中高年エンジニアのように用心深い手法を語ります。

創立50周年記念モデルは精度が高く重いセパレートプレーヤー

付け加えますとドライブ部とシャーシのみで11kg
内訳は、

ドライブ部分:7.2kg

シャーシ(カタログ上では「ボトムプレート」):3.8Kg

しかもこのボトムプレート、ドライブ部をぴったりはめ込む大きさに凹みを削り、それでいながら±0.1mmの平面公差に収めております。

金属部はほとんどが削り出しか、高精度金型(砂型ではない)による成型です、トレーから何からであります。

DP-1000/DC-1000が「異常」の理由・前例のない物量投入

ここで新型のある種「異常さ」について申し上げねばなりません。

アキュフェーズは「物量投入型」というコンセプトはまずやりません。

「物量投入型」、具体的には他社によくある「シャーシ何十kgの鋳鉄(または新素材)ベース使用」的なアプローチです。

天板の重み3㎏とか
フロントパネルの厚みがどうとか。

カスタムコンデンサー使用なんてまずやらない。アタクシも仕事で仕方なくつかいますが、本当にメンテナンスが困る。

ここは誤解しておられる方が多いのではっきり申し上げますと、標準量産に比べて品質不良が起きやすい。品質管理担当からは嫌がられるパーツです。

本来アキュフェーズは物量投入をしない・回路勝負のブランド

アキュフェーズはそういうことはしてこなかった。

どちらかといえばそういった手法は避けているようにすら。
箱もごく普通にプレス鋼板。部品も枯れた、安定したものを定格よりはるか下の条件で使う。

代わりに回路などトータル設計でハイエンドのリファレンスたりえてきた。

この点でDP-1000は極めて特殊です。

DP-1000はCD/SACD向け最後のトップグレードかもしれない

正直に申しますと、手堅さでは業界随一のアキュフェーズがこういう手法を取ってきたことで

回転メディア

具体的にはCDそしてSACDの再生プレーヤー

この分野のハイエンドは、このモデルと派生シリーズあたりをもって打ち止めになるのではないか

と思わざるをえなかった。
市場はどんどん縮小しております、これほどの物量投入モデルを新規で開発することは今後難しいでしょう。
同じものもかなりの高額になると思われます。

「アキュフェーズとして続ける方針です」というコメントがありましたが、データ配信の今、CD・SACDはレガシーメディアなんだと感ぜざるとえなかった。

過激を嫌うアキュフェーズの物量投入セパレート型プレーヤー

そんなふうに思いながら見るとこの物量投入設計は印象深い。
今までもセパレート型プレーヤーはありましたが、他社と異なりアキュフェーズは落ち着いていた。

そのエキセントリックを嫌い中庸を是とするアキュフェーズにして

回転系の精度向上、そして回路(ESS9038PRO)の追い込み

これらをやり尽くしたような、そんな印象を持たせるプレーヤーであります。

配信マニアが注目・DC-1000はESS9038PROを8回路並列駆動

なおすでに販売店経由での問い合わせは入っており、DAC部分であるDC-1000への関心はハイエンドユーザーの音楽配信向け再生において注目度が高いようです。

アキュフェーズのESS9038PRO使いこなしスキルは国内トップ

なおESS9038PROが使いこなしの難しい石であることは以前触れていますが、アキュフェーズの使いこなしは国内でも随一。

ESS特有の高精度同期にまつわる対策やノイズ・熱問題も対応の実績多数であります。
世界のハイエンドメーカー中でも高スキルでしょう。

後代「ESS9038PRO搭載の名機」と呼ばれる可能性大

一説には他社DACチップを検討したものの相手先のトラブルからESS Technology製を継続使用したらしいですが、ファンとしてはそちらのほうが良かったかも。

このDAコンバーターは後代「ESS9038PRO搭載の名機」という位置付けで語られそうな気配大でありますから。

実際このDACを音楽配信の送り出しとしてプレオーダーする音楽好きが多いとのこと。

『ESS9038PRO』+『Accuphaseの設計・製造スキル』

これなら配信データの音楽性をドンと引き上げるでしょう。

音に必要なら作る・アキュフェーズはいちいち金型を起こすらしい

なお現場では耳を疑うようなコメントも聞かれました。
無論マニアのアタシらにはいい話ですが。

共用部品は実は少ない・金型は新規開発がほとんど

各モデルで共用金型がほとんどないらしい。

常識集団のアキュフェーズですら製造業カテゴリーでは異質であります。

正確にはプリメインアンプの一部ではごく少数あるそうです。

製造業で新規金型は忌み嫌われる・償却もメンテナンスも大変

このあたりがオーディオメーカーです、「いわゆる常識」が通用しない。
(申し訳ない、ホメてるつもりです)

規模が大きければなんでもありですが、金型を起こすことほど製造業で嫌われる話もありません。
マジメに稟議書にハンコをおすことすら嫌われる「誰々のから、先にもらってきてくれ」と
みんなそういう。

疫病神のように嫌われる。「責任逃ればかりしやがってこのヤロー」と思ったことも一度や二度じゃない。
腹立ちのあまり稟議書の書式こうしてやろうかと思ったほど、これならヤツらも満足でしょう。

開発費は想像をはるかに超えていた・ユーザーには朗報

いっぽうでアキュフェーズはそうではないらしい。

ただあの部材群はどうみても200や300万なんてものじゃない、ざっとみてもあの大きさのものを抜いて曲げてと数型必要です。

金型は償却すりゃおしまいじゃありませんから(そもそも償却が大変ですが)。
あれ計上は資産ですからね。
使わなくてもメンテナンス費用かかりますし、これが高い。

DP-1000のドライブメカ周りについては流石に砂型だろうと思ったら違うと。何台売る気なんでしょう。

しかしながら一方ではアキュフェーズのメンテナンス力は最高レベル(たぶん世界的に見て)なわけです。

この会社がカスタム部材を起こすからにはそれなりの覚悟を持ってやっている。

しれっと言い切った『ウチは音にかかわる部分では基本反対がないのです』

ただ繰り返しますがコストはかかる、作るだけでなく維持も。
その時ご担当(DP-1000/DC-1000開発エンジニア)はさりげなく言い切りました。

「弊社は音に大事な部分のコストは経営も営業も反対しないんですよ」

これは他のエンジニアの方もさらりと仰っておられたので若手だけの錯覚ではない。

コスト表を睨んで胃痛に苦しみ続けたアタシとしては、そんなことあるわけねえだろと心の中で叫びましたが、ブースを出てちょっと考えた。

誰に聞いてもそうってことはどうやらあの会社では常識なんでしょう。
怖え集団です。

協力会社さんもさぞ大変だろうなあと関係ないことを考えてしまいました。
繰り返しますが、これ全てユーザーには大朗報です。

プリメインアンプE-5000とE-800は併売(よかった!)

つい話が逸れました、製造関係なもので。

A級はE-800/AB級はE-5000で棲み分け決定

新製品に話を戻しますと

E-5000とE-800は併売決定

とのこと。

E-800は2020年の発売ながら前述のとおり歴代のアキュフェーズにない音であります。

お披露目の際、納入したてのFyne Audio F1を美音ともハイエナジーとも言えない見事な音楽性をもって鳴らした。

E-800が無くなったら大損失・「得体が知れない」音楽性

いやはや本当によかった。
価格帯もほぼ同レベル、どうする気なんだろうと気を揉んでおりました。

無くすのはどうしたって惜しい。
E-800は見事の一言です。

プリメイン/セパレートアンプの区別を超えて語りぐさになるモデル

メーカーには申し訳ないのですがE-800のあの得体の知れないトーンが気になってしょうがなかったので実に喜ばしい。
一代限りなんて言われたらショックです。

あれはひとつ語り草になるモデルでありましょう。

なお開発状況についての情報ですが

E-5000とE-800はエンジニアが違う・プリ部はC-2900関係者の手による

E-5000とE-800は異なるエンジニアが担当しています。つまりテイストは「完全に」異なります。
ただプリ部については両モデルとも今回「C-2900」を作り上げた小矢野主査も関わったとか。

これは・・・E-5000については聴き込み必須です。
C-2900は生々しいというか音楽が弾ける音でありますから。

繰り返しますがE-5000を見た今もE-800のことが気に掛かる。

マジメな話、あれからアップグレードするとき、セパレートは何を充てればいいんだという話であります。

そこにE-5000です。
半ばマジメに資金の工面も考える今日この頃であります。

若手ならではの熱意が隠せないアキュフェーズ

なお最後に、あるエンジニアの方から伺いましたが

「ここでは好きなことをやらせてもらえる」

ハイエンドブランドが創立50周年で若手エンジニアを大量投入

すいません、アタシは人材紹介業の人では全くないことをこの際強調させていただいた上で、

最近のアキュフェーズは若手のパワーがすごい、ベテラン諸氏はハラハラしてご覧になっていることでしょう。

しかしいい感じです、今ハイエンドオーディオは動きが速い。
アキュフェーズはむしろリードしています、実際前回のC-3900とE-800、そして今回も相当の出来でした。

販売好調というのも実に喜ばしい。

他社ではブランド力がありながら不安になるようなトピックもある。

アキュフェーズが嬉しいのはユーザーが戸惑うような分野への進出はせず、「メンテナンス」などひたすら地味な投資を続けていることです。

変えないのもアキュフェーズの「ブランド」・枠には見事に収まっている新モデル

いっぽうでこのメーカーの財産が「ブランド」であることも事実です。

難しい時期に差し掛かっていると思います。

任せきりでもまずいし、かといって締めてもいけない。
古参の皆様の手綱のとり方が試されている。他社ハイエンドも数年で様変わりの時代です。

ただ僭越ながら
ファンとしてはここまでのところ「Well done」であります。

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