Luminaを見ているとソナスファベールは本当に勢いがあります、ただこの会社は独立系ではない。今やマッキントッシュと同じグループに属しています。互いにかなり重要なブランドらしい。
連休ですしね、これだけ違うものがどうして一緒なのかと気になった。
最初に申し上げますと、お互いに音質のことを相談したりはしていないようです、安心。
McIntosh Groupはマッキンとソナスを経営管理
ちょっと複雑な経緯です。McIntosh Groupという企業がソナスファベールとマッキントッシュの経営母体ですがこの会社、長く「Fine Sounds Group」という社名で活動してきた会社です。
なおB&Wにとって2020年はもっと大変だったらしい。調べて驚きました。
McIntosh GroupはLBOFrance/Yarpaという2社の影響下
このFine Sounds Group(McIntosh Group)自体が昔も今も独立系の会社ではない。資本面ではLBOFranceそしてYarpaという2つのファンドの傘下です。
現在も影響力を持ちマッキントッシュやソナスファベールなどの経営方針や人事にはこの2社の意向が強く働いています。
なおMcIntosh Group(当時はFine Sounds Group)創設時に最初に手に入れたブランドがソナスファベールですが、直接買収交渉を行ったのは違うイタリアのファンド(Quadrivio SGR)です、しかし実際の資金はLBOFranceとYarpa2社から出ていたとか。
何か複雑ですね。フランコセルブリンがソナスファベールを喜んで売ったとも思えませんが。
買収の経緯を調べてもこればかりはわからなかった。
McIntosh Group・ハイエンドオーディオ専門の買収
McIntosh Groupの目指すところはハイエンドオーディオ専門の企業グループだそうです。JBLやマークレビンソンを有したハーマンインターナショナルと同じとか。
ソナスファベールを買収後、Audio Reserch(真空管アンプ)・Wadia(デジタルプレーヤー)などを次々に買収し、2012年にD&Mホールディングズ(DENON、マランツの会社)からマッキントッシュを買収して今に至っています。
今を去ること9年前に、音としてはちょっとなじみのないソナスファベール・マッキントッシュという組み合わせが出来上がった。
マッキントッシュは北米で有名な歴史のあるハイエンドブランドですが、昔から経営が少しヨロヨロしている会社で1980年にクラリオン傘下に入ってから2012年にD&Mを抜けるまで資本面でいえば日本企業のグループです。
面白いのはマッキントッシュとソナスファベールが開発面で会話した様子が今のところ見えないということ。もしかしたら「ブランドとして色が違う」とお互いに思っているのかもしれません。
そのほうが安心です。
McIntosh Group自体、全てのブランド責任者を集めてディスカッションやミーティングをすることが数年に一度ぐらいしかないらしいのでそこは大変よろしい。
マッキントッシュによく似た音のWadiaとか考えただけで倒れそうですから。
McIntosh Group・看板はマッキントッシュとソナスファベール
Fine Sounds Group(現McIntosh Group)の創設以来、中核はソナスファベールでそこにマッキントッシュが加わった、そういうことのようです。
IRの資料が公表されていないのでよくわかりませんが、その他のブランドは買収したもののあまり調子が良くなく実質2ブランドで会社を支えているような雰囲気があります。
例えばAudio Reserchは真空管アンプでは長い歴史をもつブランドですが、McIntosh Groupではどうやらモノにならなかったらしく2020年に売却されています。日本ではほとんど話題になりませんでしたが「ガリレオ」シリーズのテコ入れは失敗したという意見も海外にはあります。
2011年に立ち上げた高級ヘッドフォンのPrymaも大してメジャーではない。B&Wを目指したらしいのですが比較するほどの規模はない。
今のイヤホン・ヘッドフォンの商売で数が出ないのは厳しいです。B&Wもハイエンドヘッドフォンの統計ではSONYと並ぶほど売りますから。
WadiaはCD時代はハイエンドプレーヤーの筆頭であり、特に北米ではThetaとならんで大定番でしたが今や見る影もありません。
McIntosh Groupに批判的な海外のファンからは、Wadiaはファンドに買われて堕ちたという意見も強い。
McIntosh Groupの2本柱は名前通りマッキントッシュとソナスファベールということらしい。
この2ブランドに関する限りは日本での印象よりもはるかに派手にアピールしています。
ハイエンドオーディオ版Apple StoreのWOM(World of McIntosh Experience Center)
ニューヨークにWOM(World of McIntosh Experience Center)という直営店があるそうです。ここでマッキントッシュとソナスファベールをかつ見せかつ売る。
マンハッタンに送電していた古い発電所を利用しているとか。
リンク先をご覧頂ければわかりますが、強烈にハイセンスです。
小売だけでなく多目的なホールとしての用途もあってとにかく豪華、ビヨンセも使ったそうです。テレワークの昨今は貸しオフィスのようなこともしているらしい。
こういう形態のショップは我が国ではなかなかなくて、アタクシもよく理解できません。
ただ建物は古いしインテリアは豪華でしかも粋ですから「Sonusfaber/マッキントッシュ」の組合せはもう平押しであります。
現地ではベストなカップリングと認知されています。
こういう古くて重々しい中に置いたほうがマッキントッシュはサマになる。ただ真空管アンプのラインがそうなんですが個人的には今のマッキンはちょっと厳しいところもあると思います。
あまりにもあの黒いガラスパネルで伝統ってのを強調しすぎているような気が。WoMも(本当にわずかですが)狙いすぎているかもと思わぬでもない。
真空管の下にわざわざグリーンのLEDを入れたのはさすがにいただけない。MC275は確かに有名だしいい音ですが、正直半導体アンプのほうが「マッキントッシュらしい」気がします。
アルプスアルパインと車載で協業
なおこの2ブランドはカーオーディオでも主力になります、数年前から世界のハイエンドブランドは車載向け採用を目指しています。無論高級車向け。
この方面ではMcIntosh Groupは先頃アルプスアルパインと提携を発表していますが、テーマはマッキントッシュとソナスファベール。
ソナスのほうがよりハイエンドらしく、マゼラティMC20へスピーカーを供給しています。2,650万円のクルマ向けですから堂々たるものです。
マッキントッシュはJeep(米ステランティス)のワゴニアへ。2000万円はしませんが、これも700万弱とイイ値段です。
その昔(といっていいほど時間が経ちましたが)スバルのレガシィにも載っていましたがあちらはクラリオンでした。
マッキントッシュ/ソナスファベールを組み合わせると
この2つ、実際に組み合わせるとどんな音なんでしょう。
最新のStereosound誌(219号)はなかなか面白い企画で、最新ではなく定番スピーカーの音を探っています。
その中でも評論家の黛健司氏が紹介しているOlympica NovaⅤの記事(P104ー115)は興味深いのですが、マッキントッシュとの組み合わせは実際に聴いてみたいと思わせるもの。
考えたら国内では輸入業者も違った。
- マッキントッシュ:エレクトリ
- ソナスファベール:ノア
なおソナスファベールが一番最初に売れ始めた国は実は日本ですが、ノアは黎明期のソナスを見出したという功績のある輸入商社です。
自粛が終わったら聴いてみたいものであります。
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