趣味関係、特にオーディオ書籍は書店にほとんど入荷しなくなりました。
入っても数は少なくすぐ売り切れ。
それで終わりです。
廃刊すら気づかない、困ったあげくオーディオ関連の月刊誌・季刊誌を中心に最新号のリンク集を作ってみました。
なお以下リンクはお急ぎの皆様のためのショートカットと目次、冒頭は飛ばして新刊の発売日情報をご覧ください。
- ●オンラインストアの理由・発売日前に最新号を予約「初版のみで絶版」への対策
- 季刊『ステレオサウンド』・1966年以来つねにハイエンドオーディオの中心
- 季刊『Audio Accessory(オーディオアクセサリー)』・音元出版
- 月刊『Stereo』・オーディオ付録の元祖・真空管アンプでリカバリー
- 『HEADPHONE BOOK(ヘッドフォンブック)』・CDジャーナル
- 『プレミアムヘッドホンガイドマガジン 』・音元出版
- 『Sound & Recording Magazine ・(サウンド アンド レコーディング マガジン)』
- 『管球王国』・ステレオサウンド編集部
- 『アナログ(analog)』・音元出版
- 『HiVi (ハイヴィ)』・HiVi編集部
- 『季刊ホームシアターファイルPLUS』・音元出版
- ●評論(オピニオン)でコンポを選ぶ理由・ネットレビューとの根本的な違い
- 『MJ無線と実験』・誠文堂新光社
- 『ラジオ技術』・インプレス
- 『ステレオ時代」・ネット情報とは違う唯一無二の「オーディオ同人誌」
- 『トランジスタ技術』・デジタルアンプ、DAC系の情報
- 『トランジスタ技術 SPECIAL』・CQ出版
- ●セール情報・電子書籍/紙ともに(更新日:2022年6月10日)
- ●その他特集書籍・初版のみ、または絶版が近い単行本
- ●廃刊情報(定期刊行誌)
- 『レコード芸術』・音楽之友社・「クラシックは頭がいい」という問答無用のスタンス
- ●【リンク情報ご利用について】対象・フォーマット・更新ルール
- ●電子書籍は趣味・ホビー、つまり自分の時間が増える
- 「本をセールする」のが電子書籍・Amazon Kindleほか
- オーディオ絶版本が高額の理由
- ●電子書籍化は「ステレオ時代」が休刊しない理由
●オンラインストアの理由・発売日前に最新号を予約「初版のみで絶版」への対策
最近は雑誌付録がつくようになり、発売日では入手が難しいものすら出始めた。
いっぽうアタクシはなんとかヒマなし。これまで買い逃したことすら気づかなかった。
オーディオがその典型ですが、趣味関連はまず重版しない、1回の返本でも一気に赤字となるからです。
近所に書店はなく取り寄せも在庫検索も難しい、付録付き雑誌は発売日の入手が面倒
単価の高い付録つきともなれば更に少数になります。人気も手伝って結果発売日の入手は割とむずかしい。
そもそも本屋さんが少ない、経路に書店がない人のほうが多い。
だから在庫検索も取り寄せも面倒。
以下情報集めにご活用頂ければ。
紙の本と電子書籍両方・各誌内容のほか通販サイトのセール情報も
本稿のカバージャンルはピュアオーディオからポータブル・ビジュアル(AV)まで全て。
- ハイエンド・ピュアオーディオ
- オーディオヴィジュアル(AV)系
- ヘッドホン・イヤホン
- プロ音響
- 音楽評論
- 電子工作
- 趣味系のライフスタイル雑誌
各社並べてみますと同じ分野でも編集の違いがわかって面白い。
なお電子書籍のセール情報についても順次更新予定です。
返本がある紙の本では不可能だった「本のセール」が電子書籍では頻繁に行われます。
オーディオというニッチ分野すら半額セールがあったりする。
季刊『ステレオサウンド』・1966年以来つねにハイエンドオーディオの中心
- 刊行形態:季刊誌
- ステレオサウンド社公式ウェブサイト(https://www.stereosound-store.jp/fs/ssstore/ss222)
メッセージ性・実は世界的にグラフィックの評価が高いオーディオ誌
ハイエンド専門オーディオ誌の草分け、というよりオーディオ関連メディアでは中心であり続けてきました。
とにかくグラフィックの質が高く、実は海外で昔から高評価だった。
オーディオでこういう編集は海外になかったため、来日した時に買って帰る人が多かったそうです。
デザイン性第一が最大の魅力であり、創刊当時から続く編集方針。
それは現在も徹底されています、他誌が追随できない部分です。
田中一光からはじまるクリエイティブデザイン
田中一光のロゴデザインに始まり長く安齋吉三郎が撮り続けたグラフィックなど、いわゆるクリエイターとは次元の違う構成が伝統です。
長く撮影を担当した安齋吉三郎はオーディオを電気製品ではなくオブジェとしてとらえ、「奥行き」を表現しております。
音楽を感じさせたいという極めてメッセージ性の高いグラフィックであり、写真として高度であります。毎号が同氏の作品集といってもいいほどの入れ込みようでありました。
日本語がわからない外国人が買った理由で、今も続く本誌の魅力です。
繰り返しますが世界的にこれだけ高品質かつ大量のグラフィックで満たされたオーディオ誌はない。
眺めておりますだけで「ひたれる」、まさに趣味の本。
海外誌はがっかりするほど地味です。
「美麗グラフィック」は音楽を聴きながらの愉しみ
なおおかげで「カタログ雑誌」と一部で言われます。
言い換えればグラフィックは群を抜いて美麗と認めたともいっていい。ですから毀誉褒貶(きよほうへん)はさておきます。
日本で新型のオーディオが登場するとき、常に中心であり続けてきた評論誌であることは確かです。
なおアタシはカタログだろうがちっとも構わない。今の編集が続く限り買い続けます。
機器を買い替えた直後にステレオサウンドの新刊を買ってきて聴きながら、なんてのはもう最高であります。
アタシのようにごくごく普及機種で聴いているものにとってもそれは特別です。
ものではなく体験にカネを払う時代とか、ほんとかどうか知りませんが。
もしそうならばお得もいいところじゃございませんか。
音楽を聴きながらオーディオにあれこれ思いを馳せることができるというアイテムです。
バックナンバーも引越のたびに捨てては買い直しを繰り返した。古書にも一定の価格がついており、恐らく読み手と古書店を往復することの最も多い雑誌だと思います。
なお最近社屋の移転に伴ってリスニングルームの条件が変わり、評論もこれまでと異なる試行錯誤を感じさせています。
季刊『Audio Accessory(オーディオアクセサリー)』・音元出版
- 刊行形態:季刊誌(2月/5月/8月/11月)
- 音元出版公式ウェブサイト”https://phileweb.shop/magazines/quarterly/aa/182/“)
ケーブルを「オーディオコンポーネント」に変えた
ある意味いちばん影響力のある雑誌。(恐らく)コンテンツの3分の2はアクセサリー関連じゃないかというぐらいのレビュー量。
毎回よくネタが続くなと感心するほどです。
アクセサリーによる音の変化はデカい、と世間に広めました。
特にケーブル。
おかげでアンプやスピーカーと並ぶオーディオコンポーネントの仲間入り。ケーブル・インシュレーター・ラックに関して膨大な量の記事が読めます。
本誌は最新号以外はKindle Unlimited対象、読み放題となるためバックナンバーを含めた情報量がすごい。
見尽くすのに2〜3ヶ月では不可能です。
一貫したスタイル「アクセサリーによる劇的な音質変化」
なお
現在ネット上のオーディオレビューで使われる文章表現は、ほとんどがこの雑誌からのものです。
「アクセサリーで劇的に音が変わる」と伝えるために、ありとあらゆる修辞を総動員しました。
ケーブルだけでは飽き足らず「インターコネクトケーブル」なんて謎用語まで引っ張り出した。今初めて文字にしてみましたがこっぱずかしい。
リケーブルの原点・この本なしにありえなかった
ともあれ影響力は大きい。オーディオの1つのジャンルを確立した編集なんですから、これはたいしたものです。
ヘッドホンやイヤホンのリケーブルもここが原点。
本誌なくしては誰一人省みることがなかったと思います。
月刊『Stereo』・オーディオ付録の元祖・真空管アンプでリカバリー
- 刊行形態:月刊
- 発売日:毎月19日
- 音楽之友社公式ウェブサイト”https://www.ongakunotomo.co.jp/magazine/stereo/“)
DIY・自作企画と地味にして付録アンプ転売騒動の発端
紙媒体のみの発刊、月刊誌。
国産マニア向けと見られておりますが、実際には国内外まんべんなく紹介という内容。
7月号は常に自作特集と決まっているなど庶民派オーディオの編集。
- コンポーネント評価
- アクセサリーレビュー
- 使いこなし方法
これほど地味な雑誌が付録アンプのプレ値転売騒動を招くのですから世の中わからない。むろんStereo誌に責任はありませんが、本誌はいつか最新刊リンク集のようなものを作ってみようと個人的に思った理由です。
「長岡鉄男」以降はキヨトマモル氏ほかDIY層むけ付録企画でテコ入れ
記事の配分としてこの3点を最もバランスよく扱っているメディア。しかも国産・海外もわけへだてしない。
それだけに他誌に比べ特徴が薄い、きわめて良心的なだけにここは残念なところです。
「よそはなんと言おうがウチはこう評価するよ」というスタンスがもう少しあれば。
それを担っていたのが評論家の故 長岡鉄男氏でしたが同氏が逝去されたあとパッとしない時期が続きました。
それで付録戦法に打って出た、有名な「Luxman真空管アンプ」などあくまで自作オーディオ中心ながら話題作りを始めています。
付録はさておきキヨトマモル氏(Vintage Join代表)による連載(「クラフト・ヴィンテージ」)は一読の価値がありです。
付録の高額転売はLuxman真空管アンプ(LXV-OT6)から始まった
なおオーディオ誌の新刊が高額転売されるきっかけをつくったのはステレオ誌です。
これです(2012年1月号)、ラックスマンとの共同企画したデジタルアンプで当時¥2,800でした。
これがいい感じに売れた、多少のプレミアもついた。
- ケースを自作するぐらいで手軽にミニアンプが出来る
- 音はLuxman(実際には監修程度ですが)
ネットにも作例があふれた、楽しいホビーでした。
一応申し上げますと、その後の真空管も含めて発想自体はむしろ好きです。
トートバッグや安っぽい万年筆の付録じゃなかった、独自性がある。
自作ホビーとしての「楽しみ」を入れていました。ただその後がちょっとした騒ぎになってしまった。
真空管ハーモナイザー(LXV-OT6 )/真空管アンプ(LXV-OT7)は狂気のブレイク
どういういきさつがあったかわかりませんが、いきなりこれが出た。
(参考画像掲載のための広告です、高額な転売価格ですから参考情報としてご覧ください)
(広告ですが高額な転売価格です・参考情報としてご覧ください)快音! 真空管サウンドに癒される 特別付録:ラックスマン製真空管ハーモナイザー・キット (ONTOMO MOOK)
私はまったく知らず、友人が知らせてくれた。「とにかく持っとけ」と。
定価¥14,300でしたがこれに数倍のプレミアムがついた。
その翌年が真空管アンプ「LXV-OT7」、これはおそるべき勢いで売れました。
数日で完売したそうです。
これまた持っておりますので出来ばえをみましたが、アンプとしてはごく普通のいい出来です。多分ですが編集の独自アイデアではなく持ち込みの企画ではないかと思います。
¥15,000でしたがあっという間に4万ぐらいになった。
第3弾はFMチューナー。
さすがにこのあたりからネタ切れの模様で、以降の企画は在庫もある正常さに戻りました。付録商売も落ち着いたし、そろそろ評論のほうを新しくして欲しい。
(2024.6)と思ったら、やはりプレミアムがついてしまう。現在Yahooオークションの中古オーディオは全般的に値上がり傾向ですが、廉価で高音質なオーディオは根強い人気らしい。
(参考画像掲載のための広告です、高額な転売価格ですから参考情報としてご覧ください)
(広告ですが高額な転売価格です・参考情報としてご覧ください)電波を受信せよ! 真空管FMチューナー: 特別付録:ラックスマン製真空管FMチューナー・キット (ONTOMO MOOK)
『HEADPHONE BOOK(ヘッドフォンブック)』・CDジャーナル
紙媒体のみの発刊、毎年6〜7月に発売の年間誌。付録がつくことが多く、その内容次第で店頭入手が難しくなる時があります。
『プレミアムヘッドホンガイドマガジン 』・音元出版
不定期刊行のため、いつの間にか出て気づくと店頭から無くなっていることが多い。
メーカー情報が面白い雑誌・製品レビューよりも
音質評価よりブランド・メーカー情報のほうが面白かったりします。
中国・深圳のOEMベンダー発メーカーなどは早くから掘り下げています。実際その方面を見たものとして正確な取材だと思います。
なおこちらは不定期キャンペーンでバックナンバーが期間限定のKindle Untitled定額読み放題になります。
『Sound & Recording Magazine ・(サウンド アンド レコーディング マガジン)』
プロオーディオ系ではありますが、レコーディングだけでなく聴き手の音に直結するアイテムを紹介する記事が多い。
新フォーマットの技術情報に強い「サンレコ」
しごく単純なことですが、たとえ数千万円のオーディオであっても「録音された音」以外は聴こえません。そう思いながらサンレコを読むと興味深い。
今プロがみているものがわかるので、買うべきものがなんとなく見えてくる。
録音・音楽制作側からの情報発信ということもあって最新フォーマットからスピーカーやイヤホン・ヘッドホンまで「プロの感じ方」を読めます。
空間オーディオやDolby Atmos関連情報は最新かつ充実
なおDAW・アコースティック両方にわたっているので空間オーディオのような最新トピックのキャッチはある意味オーディオ専門誌より早い。
フォーマットがどのぐらい普及するかは、レコーディング側の対応を見るほうが正確です。
なお2021年11月号(発売日:2021年9月25日)で40周年とのこと。
『管球王国』・ステレオサウンド編集部
ステレオサウンド社が「更にハイエンド」向けと位置づけるビンテージ中心のオーディオ誌。
「季刊ステレオサウンド」と同じくバックナンバーの情報価値が下がらない
音楽配信やハイレゾなどこの世にはまるで無いかのように、保守本流ビンテージオーディオ向けの誌面構成を続けています。
なお「ステレオサウンド」誌以上の文学的評価、しかもビンテージがメイン。
感心するのはあんなに語り尽くされているものに毎回なにかしら新しい解釈を入れてくること。
数十年経った機械ばかりですから本当は新しいことはなかなかいえない難しさがあるはずなんですが。でも簡単に「激変」とか言ったら二度とその評論家にお座敷はかからない。
かなり知恵を絞る。
「ステレオサウンド」と並んでバックナンバーの情報に価値があります。
ビンテージという性格上どうしても「これはこういうもんなのです」的な表現があってとっつきは悪いのですが、音の分析が深いことは確かです。
『アナログ(analog)』・音元出版
- 刊行形態:季刊誌(1月/4月/7月/10月)
- 発売予定日:各月1日
- 内容紹介(音元出版公式ウェブサイト”https://phileweb.shop/magazines/quarterly/-analog-/analog-vol72/“)
アナログレコード(ヴァイナルレコード)専門誌。
アナログプレーヤーのハードウェアと録音ともに評論対象ですが、音元出版の企画らしいところはアクセサリー類へのレビューが多いこと。
掲載アイテムが「Audio Accessory」とほぼ同じであるため、今後の差別化に期待です。
『HiVi (ハイヴィ)』・HiVi編集部
- 刊行形態:月刊誌(発売予定日:毎月17日)
- 内容紹介(株式会社ステレオサウンド公式ウェブサイト”https://www.stereosound-store.jp/fs/ssstore/c/bss_reg“)
ステレオサウンドの姉妹誌ですが、本家に比べるとかなり幅広い層を対象にした編集。
なおあくまで機器とコンテンツの画質評価が中心で、部屋そのものの施工などシアターインストールについては珍しく「ホームシアターファイルPLUS」に譲ります。
だいたい2号遅れぐらいからKindle Untitled読み放題の対象になっていきます。
『季刊ホームシアターファイルPLUS』・音元出版
- 刊行形態:季刊誌(3月/6月/9月/12月)
- 内容紹介(音元出版公式ウェブサイト”https://phileweb.shop/magazines/quarterly/-plus/-plus-vol10-/“)
オーディオ・ビジュアル専門誌ですが、ステレオサウンド社「Hivi」との差別化を図るためホームシアター構築について実際のインストール例について大幅にフォーカスしたものとなっています。
施工等についての具体的な事例紹介が多いので実用性があります。
●評論(オピニオン)でコンポを選ぶ理由・ネットレビューとの根本的な違い
ところでオーディオ雑誌のメリットについて。
各誌おのおの流行を取り入れようと探していることがわかる。
しかし悲しいかな、情報の早さではネットに全くかないません。B&WのD4情報が2ヶ月遅れです。
ただひとつだけ強みがあります、「オピニオン」、つまり評論です。
評論はいまだアテになる・自宅で聴けない素人レビューより正確
もし確実な高音質情報を求めるならば「評論家の意見」を一読されたほうが結局確実です。
多少の色がついていても、手がかりになります。
アタシがそうですが、素人レビューの弱点は聴く経験が圧倒的に少ないこと。
この場合の経験とは自分の部屋で聴くことです、しかも全てのジャンルにおいて格安から高額製品まで。
卓越した音感などのスキルの持ち主か好条件のもとでないかぎり、店頭視聴は残念ながらさほど意味がありません。
いっぽうネットのおすすめ情報やレビューはオーディオコンポの売れ筋ランキングを比較形式で並べただけのものがとても多い。本題からはずれるので詳しくは後述。
そして買ったあとも楽しめる、至極当たり前ながらオーディオは買う前の検討よりも買って聴く時間が圧倒的に長い。
持ってみて初めて気づく音が評論で更に面白くなる。買った人だけの特権です。
『MJ無線と実験』・誠文堂新光社
話が逸れた、リンク集続きであります。
- 発売日:毎月8日前後
創刊1924年(大正13年!)と戦前に始まった老舗中の老舗オーディオ雑誌であります。
恐らく廃刊の危機にあった経験がそうさせているのだと思いますが、Kindle以下の電子書籍化にも積極対応などいろいろチャレンジを図っています。
誠文堂新光社が経営危機に陥った時はどうなるかと心配でしたが残ってよかった。
ラジオ技術よりも更に技術情報寄りの内容、アンプ自作派に寄っていますから素人はとっつきづらい。
しかし的外れの評論はひとつもないです。製品の解説は回路からはじまるので確か。
『ラジオ技術』・インプレス
「無線と実験」と同じく古株です。音質評価はこちらのほうが力が入っている印象がありますが、惜しいことに紙媒体のみ。
「耳のいい本」・リッピング再生は高音質であると一番最初に主張
あまり知られていませんが
ハイレゾやリッピング(当時はSACD)という概念がない頃から
CDはプレーヤーで再生するよりも、データコピーした音源(PCM)をDATやHDDから出力したほうが音がいい
と主張していた雑誌でもあります、つまり「耳のいい」雑誌
リッピングという言葉がない時代です。技術トピックへの先見性と音質評価では、他誌にはない力量があります。
ただしそれほどの見識がありながら、電子書籍化に全く関心がない。
いい意味でも悪い意味でもオーディオという分野の体質をよく現した編集です。
最近は表紙にSLの写真を使うとか、もう時代錯誤。よしゃあいいのにとなまじい内容がいいだけに惜しい、誤解されているでしょう。
高品質グラフィックのステレオサウンドが最強の理由が良くわかる雑誌です。
長岡鉄男と菅野沖彦が同意する「本音の編集」・音のよくないオーディオとはっきりいってしまう
なお鬼籍に入った評論家が健在だった頃の年末号ベストバイ討論は、同誌の性格をよく表していました。
広告主やメーカーとどう調整を図っていたのか不明ですが、他誌にない評論家の本音が聞けたかなり貴重な企画。
ほめないのではなく「ここがよくない」とはっきり語ってしまう、年末必ずやりました。
新製品のレビューについて菅野沖彦氏と長岡鉄男氏の意見がたびたび一致するという不思議な対談が毎回見られた。
二人とも正反対の評論で水と油と思われていたひとたちです。
そのためかベストバイ討論の載ったバックナンバーは高額取引。
ここは繰り返しますが、驚くほど率直な対談です。
今も変わらない。
『ステレオ時代」・ネット情報とは違う唯一無二の「オーディオ同人誌」
ひとことで申さば、その他メディアと完全に違う世界です。編集は真似するものがないオリジナリティ。
メディアが発信する「ネットとは異なる」情報として価値があります。
80年代・90年代の国産オーディオ名機を実機テスト
ほとんど自主制作に近いところがあり、早々に廃刊するかと思われましたが不定期で続いている。
メインは80年代から90年代のオーディオ紹介です。
編集はちょっと変わっている
- 当時の現物を今改めて実機テスト
- 開発者(引退済み)から暴露話を聞き出し、そのまま載せる
語りは評論家と開発者が半々です。
ベストバイや比較ではなく「好きなオーディオ」を一方的に書く
ある意味一番マニアスピリットをギラギラ放つ雑誌です。
出てくる人、そして評論が全て「自分は全盛期のオーディオコンポが好きでたまらない、その理由とは・・・」という一方的ともいえる主張で埋めつくされています。
ここまで「好き」に振ったメディアは本誌だけです。
そのせいあってか、登場する機器の故障しやすい箇所やメンテナンス上の注意点など中古ユーザーにとって興味深い情報が多い。
「おすすめ」「ランキング」なし・広告に依存しない「インディーズ」オーディオ誌
しかし音質評価は鋭い、明らかな理由があります。
機材は全て自費調達
登場する機材をメーカーや広告主に依存しない。
全て記事ライターの自費購入かインタビュー相手の所有物、または有志の持ち寄り
というインディーズ系といいますかほぼ同人誌。書き手がプロというだけです。
ある意味怖いものなし
好き放題・書きたい放題をやります
とっくの昔に会社と縁の切れた当時の開発者を引っ張り出し、洗いざらいしゃべらせる手法など。
書きたい放題を書き暴露話多数・カセットテープ情報は屈指
広告や機材提供をメーカーに頼る他誌では絶対マネできないのでは。
しかも暴露内容はメーカー関係(しかも下請け)というアタシの仕事から見ても、なるほどと思う話が多い。
- そりゃあのメーカーならやるだろうな
- あの造りなら赤字だったろう、というより会社が潰れるだろ
という。あの編集方針ならではです。
なお本誌の特徴としてカセットテープ関連情報の豊富さがあります。現役当時にはなかった内部情報も含めると質、量ともに前例のない構成です。
Nakamichi(ナカミチ)情報は例のない豊富さ
いい例がNakamichiです(本誌のナカミチ系の情報は過去にもないほど詳細です)。
50μm厚の薄膜合金を重ねて作ったというテープヘッド。現在にいたる「超」長期間のメンテナンスを可能にしている高精度の金属部品。
当時一般のプリアンプより強力なアンプを搭載していたことなど。
ナカミチの与信情報を仕事で見ていたアタシにとっては変に納得できる記事であります。
なお基本的にKindle Untitled読み放題キャンペーン(期間限定)ですが、これに関しては本かKindleを必ず購入でいくことにしております、全部手元にある。
なんていいますか、究極の自費出版に近い。
決してセンスがいいとかそういうことではないのですが集める価値がある。
メーカーの体質や良い設計は昔から変わらないので書いてある内容はこれからも通用する。
情報が古くならないのです。
(1/26追記)贔屓倒しの告知・3月3日に新刊(Vol.20)発売予定
なんというか贔屓でありますからこれはささやかな告知です。
久しぶりに新刊リリースです。
Vol.19が2021年9月2日発売ですから実に半年ぶり。
- Vol.20
- 発売予定日:3月3日(木)
- 内容:全く情報なし
ささやかながら3月の楽しみができた。
現時点では紙媒体のみの予約受付ですが、電子書籍の予約準備が出来次第更新したいと思います。
『トランジスタ技術』・デジタルアンプ、DAC系の情報
- 内容紹介(GQ出版公式ウェブサイト”https://toragi.cqpub.co.jp/magazine/202110/“)
直接オーディオのトピックを語っている雑誌というわけではありませんが、最近のデジタルアンプやDAコンバーターの情報は当然ながらオーディオ誌よりもはるかに詳細です、役に立つ。
自作アンプだけでなく、最近のDAP等でされるオペアンプ交換などで役に立つ特集号が多数あります。
『トランジスタ技術 SPECIAL』・CQ出版
- 内容紹介(GQ出版公式ウェブサイト”https://www.cqpub.co.jp/trs/trsp156.htm“)
●セール情報・電子書籍/紙ともに(更新日:2022年6月10日)
紙の本もセールキャンペーン対象ですが、やはり電子書籍が多い。これらは半額や百円セールなど割引率も大きいことが特徴です。
後述しますが紙の本との大きな違いに「新刊でもセールできる」ことはKindle以下電子書籍のそれまでにないメリットです。
- 丸善ジュンク堂が開催するオンラインイベント情報
- スマートフォン/パソコンで参加
- 終了後も一定期間のアーカイブによる視聴可能
●その他特集書籍・初版のみ、または絶版が近い単行本
単行本に関するリリース情報です。今後増えてくると思われますので適宜レビュー専門ページを作り、そこへのリンクに切り替えたいと思います。
永瀬 宗重『暗い低音は好きじゃない・ダブルウーファーズ会長のオーディオ探求』
本・ムック暗い低音は好きじゃない! ~ダブルウーファーズ会長のオーディオ探求~ (CDジャーナルムック)
- 著者:永瀬宗重
- 発刊年次:2019年12月
- 出版:CDジャーナル
- ISBN:978-4909774088
- 定価:¥2,420
ハイエンドユーザーとして有名な永瀬宗重氏による豊富なオーディオ体験を、正確でしかも気負いのない文章によって紹介している本です。
多くのハイエンド機材を実際に使ってきたリスニング体験とレビュー。
そして本格的なリスニングルームの施工と、その後のシステム構築まで圧倒的な情報量です。
とにかくグラフィックが豊富、また各機種の製造時期による仕様の違いなど年季の入ったオーディオファイルならではの情報があります。
資料的な意味でも価値が極めて高い。
しかもとにかく優れているところは気負いがないこと。
CelloのSuiteを使いながら大昔のSONYやYAMAHAの機器を「これも気に入っている」なんてまあ言わないものです。気負わないだけに正確であります。
世評も高い本ですがこういう良書が絶版になりやすいのがオーディオ。
そもそもCDジャーナル自体が全ての出版物で電子書籍に前向きではなく、Kindle化されていないことも先行きの怪しさを思わせます。
すでに発売から時間を経ておりますので未読の方は一度ご検討下さい。
(こういう言い方はまったく好きではないのですが)絶版時には間違いなくプレミアがつく内容です。
転売の話ではなく、読めなくなるという意味です。
柳沢 巧力『再生悦楽 ~ぼくのオーディオ回想』
本・ムック再生悦楽 ~ぼくのオーディオ回想
- 著者:柳沢功力(やなぎさわ いさお)
- 発刊年次:2020年4月
- 出版:ステレオサウンド社
- ISBN:9784880734446
- 定価:¥2,750
Sonusfaberを(おそらく世界で)初めてレビューした評論家
季刊ステレオサウンド誌で長年オーディオ評論を続けてきた柳沢 巧力(やなぎさわいさお)氏による評論・オーディオ歴の紹介。
知る限りご本人にとって初の単行本ではないかと思います。
戦後国内に輸入されたほとんど全てのオーディオをレビューしてきたであろうキャリアは価値ある記録です。なにより、
無名のソナスファベールを初めて見出した評論家です。
時期を考えるとおそらく世界でもっとも早く注目した方。
なお今でこそ世界的に知られ、欧米においてもデザイン性の高いオーディオの代名詞のようなSonusfaberですが、初期は日本がメインマーケットでありました。
同社の基礎は本邦で築かれた。
80年代という時期を考えると、当時Electa Amatorを購入したユーザーは相当のセンスの持ち主だったと思います。
ステレオサウンド社が刊行する単行本は初版だけで絶版になる傾向が強い。理由は売れ行きだけではないようですが、とにかく継続重版は稀ですからあるうちに手当するのが無難です。
嶋護『嶋護の一枚 The BEST Sounding CD (SS選書)』
本・ムック嶋護の一枚 The BEST Sounding CD (SS選書) ムック
- 著者:嶋護(しまもり)
- 出版:ステレオサウンド社
- ISBN:978-4-88073-316-6
- 発刊年次:2013年11月
- 定価:¥2,619
先に申し上げますと筆者の嶋護 氏はたぶん音楽・オーディオ双方の評論分野で最も高度だと思います。
極めて信頼できる著者です。
本書は優秀録音盤の紹介文というオーディオ書籍の中でも最も地味なもの。
しかもステレオサウンド社は重版をなかなかしません。
つまり絶版率の高い分野ですが、内容は高度。
ここは強調させていただきますが、すごく高度です。
音楽配信のデメリットは「録音情報」がないこと
該博といっていい知識をもとに、作曲・演奏・再生装置の3点で高次元にバランスの取れた評論をしております。
しかも簡潔、趣味分野の評論にありがちなくどい表現がありません。
快感を感じるほどの文章ですが、それとともにこの本が資料として手元にあるかないかで音源の選び方は変わるといっても差し支えない。
音楽配信は便利かつ高音質ですが、CDと異なり「曲や録音に関する解説」がありません。
これは困る、今聴いている音の原因がわからないからです。
機器が悪いのか、それとも「録音が悪い」のか。録音の悪いCDを良くしようと機械やアクセサリーを買い換え続けるループに入ります。
ここだけは配信になってから困る点です。
録音情報やレコーディング時のアーティストの様子など、更にはハイレゾ向けにリマスタリングしたのか、それともCD音源と同じマスターを使い回したのか。
そういった情報は皆無です。
レコードやCDの時代、ライナーノーツの筆者はネットには無いような情報も熟知してあの解説文を書いていました。
それがなくなってしまった。
解説のない音楽配信こそ音源選びの基準が必須
マニアが陥りがちですが、オーディオは録音された音以上の再生はできません。
録音が悪ければどんな高価なオーディオも音は悪くなる。
むしろシステムが高性能であるほど悪く聴こえる。録音を正確に再生するからです。
そしてネット上の録音情報は根拠・出典さだかでないものが多いのです。
オーディオは録音の良し悪しがなかばを決めるところがありますが、本書は「高音質の録音」を選ぶ上では必携の、ほとんど辞書に近い価値です。
しかも辞書と違うのは内容が実に楽しいということ。音楽的な魅力をシンプルに伝えています。
実際に制作まで携わった経験と再生側であるオーディオの音質評価ができるという両側面から、冷静に「レコーディング」を俯瞰できる見識は得難い。
個人的にはデータ配信が主流になるにつれて、こういう情報はますます価値が増すと思っております。
故 長岡鉄男氏の優秀録音レビュー書籍(絶版)は高額取引
たとえば同じく資料的価値の高い優秀録音の評論として、有名な故 長岡鉄男氏の「長岡鉄男の外盤A級セレクション」があります。
長岡氏の録音評は
- 測定する施設が桁違いに巨大
- どのディスクに対しても再生する機材が完全に同一条件
という条件で測定ならびに試聴がなされたディスク批評集です。
このような取り組みは世界的にみても例がなく、時間が経つほど価値が増すデータといえます。
それゆえあってか、版元の共同通信社が復刻する以前のオリジナル書はわりと簡単に1万円を超えるプレミアムがつきました。
とても買えない。
復刻されていない「Vol.3」はいまだにそんな調子です。
音楽配信であってもCDであっても録音されたオリジナルそのものは同じ。
媒体と手法が変わるだけです。
さまざまなフォーマットで聴くわけですが、上記の録音評は録音の出来について詳細かつわかりやすく解説しております。
それこそ何十年経っても選ぶ指標になるという好例です。
嶋護『ジャズの秘境 今まで誰も言わなかったジャズCDの聴き方がわかる本』
本・ムックジャズの秘境 今まで誰も言わなかったジャズCDの聴き方がわかる本
Kindleジャズの秘境 今まで誰も言わなかったジャズCDの聴き方がわかる本
- 著者:嶋護(しまもり)
- 出版:DU BOOKS
- ISBN:978-4866471129
- 発刊年次:2020年1月
- 定価:¥2,420
いわゆるJazz評論や雑誌のJazz入門特集のようなものとは全く違います。
この本からJazzに入ったほうが楽しめます。
ディスクユニオンのイベントで突然発売のいわくつき
それまでステレオサウンドで続いていた同氏の連載が突然に終了。
その後関連のないディスクユニオンのイベントで突然発表されたため物議を醸した著作。
Kindle版があることは安心ですが、発刊にいたる経緯とJazzという分野からいって、定価で売っているうちに買っておいたほうが無難です。
内容はそれまでと同じく、正確でわかりやすいけれどエモーショナル、それでいて抑えが効いているという良書。
Jazz関連の著作は「素人お断り」か「ちょっとオシャレでその代わり誰でも知ってる」かの2択ですが、これは違います。
高津 修『星空の音を聴きたくて スピーカーを七台つくってみた』・絶版可能性大
本・ムック星空の音を聴きたくて スピーカーを七台つくってみた (SS選書)
- 著者:高津 修(たかつ おさむ)
- 発刊年次:2015年4月
- 出版:ステレオサウンド社
- ISBN:978-4880733586
- 定価:¥1,628
すでにステレオサウンド社公式では販売終了の告知・在庫のみ
現在活動されている評論家のなかでも最長キャリアである高津修氏の著作。
サラウンドに造形が深く、現在はHiVi系での評論中心です。
同氏にとっては知る限り唯一の(オーディオ関連はこうなりがちですが)単行本となります。
先に申し上げますと、本書は現在の流通在庫で絶版化するものと思われます。
すでに出版元であるステレオサウンド社の販売サイトでは販売終了の告知がなされています。
高津修という評論家・音楽好きにオーディオを語れるひと
自作スピーカーの作例集という編集でありますが、国内の評論家では異端に属する高津氏の「音の聴きかた・感じかた」を読む本。
- 音楽好きの度合いが強い方
- またはオーディオ評論家やマニア特有のねちっこい表現が好きではないかた
- いい音か悪い音かで判断しようとすることに疲れかた
ならば本書の面白さをお感じになると思います。
なお高津 修氏の評論スタイルについて少しだけ付け加えると
- ハイエンドの音の良さを的確に指摘するスキルを持ちつつ、普及機種の音の良さを説く
- 新技術、特にサラウンドについては相当早くから次世代のオーディオとしてきた
早くから空間オーディオ的アプローチを提言してきた
庶民派オーディオ専門と思われていますが、ハイエンドに関する知識と経験は実はトップです。
ご本人がそういう雰囲気を出すのを嫌っている模様。
また今でいう空間オーディオを30年以上前に再生のスタンダードになるとしてきた。
本書の作例もサラウンドスピーカーが主体となります。
高津氏にとってオーディオがハイエンドかどうかという基準は、そのコンポーネントが前知識なしに聴き手を感動させるかどうかです。
アクの抜けた語り口・特に英国オーディオ評論など再読希望
なお氏の表現は「洒脱」「肩の力を抜いた」というべきもので、いわゆる一般的なオーディオ評論とはまったく異なります。
多分オーディオジャンルの独特な表現・評価基準に面くらうかたほど、高津氏の評論を楽しめるのではと。
個人的には各誌に掲載された評論を一覧できるような企画・著作があるととても嬉しい著者です。
●廃刊情報(定期刊行誌)
オーディオ・ビジュアル関連の廃刊が続いています。
随時更新のほか、後継メディアについてもご紹介します。
『AVレビュー(AV REVIEW) 』・音元出版
長く続いた季刊誌でしたが「Vol.37・2021年Spring」(発売日:2019年1月16日)をもって休刊。
後続の情報は音元出版社公式ウェブサイト”Phile-Web”へ統合されるとのこと。
- 創刊年次:1987年
- 休刊年:2019年2月/3月(vol.272)
雑誌(広告・Amazon)AV REVIEW Vol.272 2019年2/3月号 雑誌
Kindle(広告・Amazon)AVレビュー(AV REVIEW) 272号 (2019-01-17) Kindle版
AV(Audio Visual)誌の最盛期は、ブラウン管テレビとVHS・betaのビデオテープが存在した1990年代であったようです。
数十万円を費やしたビデオデッキでも今のmp4動画よりはるかに画質は低かったのですが、とにかくローエンドとハイエンドビデオデッキの差は大きかった。
ドルビーの提供するサラウンド形式が変わるたびにAVアンプを買い替えていた時代です。
その後ホームシアターという言葉は広まりましたが、DVDと液晶テレビはかつて考えられないほど簡単に高画質を実現できるようになったため、マニアのかかわる余地が減った。
趣味の対象とはいえなくなっているのかも。
なにかがきっかけで中国メーカーが液晶テレビの画質競争でもはじめない限りこの分野は難しいかも知れません。
『Net Audio(ネットオーディオ)』・音元出版
季刊誌でしたが「Vol.37・2021年Spring」(発売日:2020年1月21日)をもって休刊。ネットワークオーディオ再生はある時期まで音が悪く、今あればまた違ったのではと思います。
なお後続の情報は音元出版社公式ウェブサイト”Phile Web”へ統合されるとのこと。
雑誌(広告・Amazon)Net Audio(ネットオーディオ) Vol.37
Kindle(広告・Amazon)Net Audio(ネットオーディオ) Vol.37
『PROSOUND(プロサウンド)』・ステレオサウンド編集部
39年の長きにわたるPROSOUND誌がついに休刊です、事実上の廃刊であります。
- 創刊年次:1984年(5月)
- 休刊年:2023年6月(vol.235)
ステレオサウンド社発行のプロユースオーディオ情報誌。
同じプロ向けでも「スタジオ固有の音」をあらゆる角度から分析するという唯一無二の特徴であった雑誌。
Sound & Recording Magazineと比べるとかなり地味です。
しかし掘り下げが深い、いかにもステレオサウンド社らしい編集。
掲載スタジオによっては初版在庫が無くなった時点で定価を超えるプレミアムがつくなど中古にはかなりの希少性が生まれる本です。
買う側もわかっていたディープな愛好家向けの企画であっただけに残念です。
現在(2024年7月)株式会社ステレオサウンドはこれまでの路線を見直し、オーディオ以外の分野へ傾斜を強めています。
音楽配信が主となる現在、録音評への注目ははっきり言って低い。
好編集であっただけに残念ですが、録音にフォーカスしたメディアの再登場はしばらく我慢かと。
『レコード芸術』・音楽之友社・「クラシックは頭がいい」という問答無用のスタンス
おそらく2023年の雑誌分野で一番の話題はレコ芸の廃刊でしょう。
その発行期間は実に71年におよびます。
- 創刊年:1952年
- 休刊年度:2023年
最盛期は10万部を売り上げた実績は休刊前は3万部まで落ち込んでいたそうです。
クラシックのCD批評が中心でしたが、そのクラシックCD自体、新譜はかつての1/4になったとか。
根拠はないながら休刊する日が来るとは思っていませんでした。
なにしろ「クラシックを聴くものはインテリである」という問答無用のスタンスのもと、むつかしい評論を中心に営々と続けた音楽雑誌でしたから。
オーディオ向けというか音楽向けというか、とにかく買う人は絶対買うという大定番だった。
実はレコード芸術の愛読者にオーディオ愛好家はあまり多くなかったのです。
なおレビューにものすごい酷評がつく号があり、それがまたきちんと売れているという不思議な編集でありました。
誰が買うのかわからないながら本屋さんやAmazonに並んでいて当たり前、それが私にとっての「レコード芸術」。
お察しのとおり、本誌の編集に何の興味もなかった。
でもそれは私自身の問題、こういうものがないと世の中よろしくないとも思うのです。
音楽は別に教養じゃないと思ってますが、文化として残したいというアプローチは必要です。その場合「録音」技術はとても大事になってくる。
なおレコード芸術はその後ムック化やクラウドファウンディングによって再刊させようという動きが見られます。
その意気やよし、と言いたいところですが少々無理がある。
音楽配信全盛の今、録音に注目する価値を説く話が抜けている。
昔と違い、音楽も難しいもんです。
●【リンク情報ご利用について】対象・フォーマット・更新ルール
基本は定期(あるいは不定期)刊行誌の最新刊が対象です。
初版のみで販売終了しそうな特集本も併せて掲載しております。
可能な限り予約リンク公開時点から更新していきたいと思います。
オーディオ、ヴィジュアル、ヘッドホン/イヤホン関連書籍全般
ゆくゆくはオーディオ以外も、たとえばオーディオとコラボしたクルマやインテリア本なども内容を確認の上で順次ご紹介予定です。
(ご注意)
◉本の画像が表示されていないものは、販売サイトにまだ準備がないことによります。
予約時点では画像の準備がなく購入リンクのみとなっております。
◉リンク先ECサイトによっては最新号の予約販売開始が遅れていることがあり、やむを得ず現行号のみ紹介している場合があります。
◉買い間違えを防ぐためリンクは頻度高く更新しておりますが、出版社によるリンク元情報の予告なき変更については関知できないことをご了承ください。
◉「その他特集書籍」については発売時定価を記載してあるので購入価格を確認してください(出品業者によるプレ値購入を避けるため)。
◉出版社によっては紙媒体と電子書籍のリリース時期が異なる場合があります。
継続して重版されているバックナンバー・単行本・ペーパーバックは除く
なお以下の条件のものは基本的に除外しております。
- 最新号より前のバックナンバー
- 定期的に重版、またはAmazonペーパーバックのように安定供給されているもの。
●電子書籍は趣味・ホビー、つまり自分の時間が増える
なお、アタクシはオーディオ含め趣味系雑誌を電子書籍でおすすめするものです。
買っては捨てを数百冊繰り返し(段ボール数十箱分です)、なんとか暇なしのなか趣味の時間を増やしたいと思ってきたものが行き着いたところであります。
これほどの便利があるのか、というのが正直な感想です。
電子書籍はどこでも趣味の時間にできる
本は紙がいい、読みやすいし何より所有する喜びがある、それは本当です。
そして季刊「Stereosound」を買ったとします、これ重さが1kg弱です。
「いつ、どこで読めますか」ということです。
この際置き場所の話は別として。
そんな重いものを通勤カバンに入れることはできません。出張なんていったら更に無理でしょう。
家で読むほかない、そして基本的には仕事で外の時間が圧倒的なのです。
買っても読めない本というのはいかにももったいない。
Amazon Kindle・電子書籍は読みやすい端末多数
しかし電子書籍ならば読める、行き帰りの通勤電車で趣味ができます。
100冊ぐらい楽に持っていける。大画面スマートフォンで小さいならFire HDで充分。極めて安いです。
アタクシはiPadで楽しんでおりますが、実はFire HDのほうが軽量。
Amazonはサービス普及のためハードウェアの利益は諦めました、中身からみて完全な赤字じゃないかと思うぐらい安いです。
なお電車でのTOEICは諦めました、ある程度は書かないと覚えられない。ならば通勤時間は趣味で気持ちを楽しくさせたほうが建設的です。
「本をセールする」のが電子書籍・Amazon Kindleほか
しかも「本のセール」がある。紙は特別なものを除いて定価販売です。
本Blogでもめぼしいセールは取り上げたりしますが、最新刊に10%のポイントなどは返本リスクのない電子書籍ならではです。
オーディオ・ビジュアルともなれば紙の本を割引で買うことは不可能でしょう。
電子書籍は「捨てない」「我慢しない」断捨離
こういいながら実は最初に注目したのは「断捨離」の効果でした。
1kg弱の本が数十冊あると場所をとります。どうなるかといえば数誌を読んでいると2-3年で簡単に本棚3本分ぐらいたまる。
大変なストレスです、本の収納もずいぶん手間がかかるし、何より引っ越しで見積を取ると青くなります。(本当に驚くほど高額です)。
買い直したほうが安いと気づいて何回か買取処分しましたが、考えたらお金の無駄でした。
今はそういうことがない。断捨離というとちょっと修行めいたところがありますが、我慢しなくていい。
サブスクリプションはホビー雑誌に必須サービス・Kindle Unlimited
定額読み放題もAmazon Unlimitedほかいろいろありますが、とにかく楽しめる。上記でご紹介した雑誌バックナンバーの多くは読み放題対象だからです。
これは人によりましょうが、できればオーディオやイヤホン・ヘッドホンに予算をまわしたいもの。先立つものには限度があるのです、そして趣味はとかくお金がかかる。
オーディオ絶版本が高額の理由
困るのは出版社側がバックナンバーや単行本を電子化せずに絶版にしたりすること。
いいことばかり言っても仕方ないのでネガティブ・欠点の部分も。
既刊の本で電子化されているものが少ないのです。バックナンバーならばここ7〜8年分しか電子化されていない。
単行本に至ってはオーディオはほとんど全滅です。
長岡鉄男・菅野沖彦といった一般紙にもある程度知名度があった著者すら電子版はほぼありません。
先般発行された「菅野沖彦著作集(ステレオサウンド社)」も買っていません。
とにかく紙の本は個人的には困るのです。
オーディオ系の出版社は電子化に関心が低い
かといって重版しないので絶版化が早い。オーディオに興味がない方が読んでも面白い長岡鉄男氏の著作も絶版書は定価の数倍で取引されています。
ものによっては1万円近くと本来そこまでの価値があるかは不明ですが、無いとなれば買い手がつくもの。
考えれば「オーディオブック」なる読み上げサービスすらある時代であります。
出版不況というわりには我から断捨離本を出版したり、一方で過去の資産を電子書籍化しなかったりと。
オーディオ誌は軒並み数十年の歴史があるのにまるで創刊数年目のような認知です。
そのぐらいしかさかのぼれないのですから。
アタシはステレオサウンドのバックナンバーを何度も買っていますが(同じ号を手放しては買う)はっきり苦行です。
●電子書籍化は「ステレオ時代」が休刊しない理由
仮に「ステレオサウンド」や「Stereo」ほかバックナンバーが全て電子書籍でリリースされたら、こりゃ楽しい。
まず間違いなく、アタシが月々本に遣うお金は倍以上になるでしょう。数十年分の記事がよりどりみどりです。
今オーディオは中古も大きな楽しみになっています。
でなければ誰が30年前のプリメインアンプを使いましょうか。オンボロだなんてとっくにわかってやっているのです。
「ステレオ時代」にちょっと贔屓な理由でもあります、上記のネガティブポイントに関して頑張っています。
本当ならばとっくに休刊しておかしくないジャンルで続いております、実際話が面白いし入手しやすい。
欲しいと思った瞬間、買えますから。
ネットにもカタログにもない「名機」情報を掘り出す
なにせ不定期誌、その上母体であったネコパブリッシング自体の経営が安定していなかった。
メーカー貸与の試聴機もない。
試聴室すらない。
しかもありきたりの話ならタダでネットに流れている時代。
言い方は申し訳ありませんが廃刊候補の筆頭です、中古モデルの再レビューという内容もありアタシも最初は全く関心がなかった。
しかし一読してからは毎号読むようになった、続く理由がわかりました。
かなり努力している、「情報」があります。
ネットにもこれまで雑誌にも載らなかった情報を掘り出してくる
かつての開発者など「現場の人」からたんねんに聞き出しています。
確かにこの本でなければ読めない情報です。
単なる音質レビューではなく、音の根拠となったオーディオ製品のつくりについて現役のエンジニアならば到底書くことのできない突っ込んだトピックに言及する。
積極的にKindle化・読者のユーザビリティを最大限に追求
媒体も紙に電子に、と手段を選びません。積極的です。
Amazon等のセールでも「どのセール対象か」「どう買えばお得か」を一番わかりやすく表示している雑誌です。
他誌は第三者が紹介リンクを作らないと買い手が損をする組合せが出てしまう場合さえある。
うっかりカートに入れられない、対象商品に何の説明も入っていないんですから。
こういう基本的なところから出版はダメなんです、陳列の無茶苦茶なコンビニのようです。
「ステレオ時代」の踏み込んだ編集、そして読者のユーザビリティを追求する姿勢は他誌にも参考にしてほしい。本を通販で買うことが多くなってから感じる部分です。
出版業界は長く不況のため返本を嫌います。書店もずいぶん少なくなった。
出版側としても諸事前向きになれないのかもしれません。
だからご興味ある特集があって売り切れを避けたいとき、上記リンクがお役に立てば幸いです。