ピュアオーディオDACとしてのKhadas Tone2 Pro。
ここからはスピーカーで音出しです。
SOULNOTE A-0との組み合わせ中心で聴きますが、しごくまっとうなピュアオーディオ。
DACではなくアンプレビューのごとしですが、A-0は複雑な音づくりより「そのまま出す」ものとの相性がいいようです。
そしてKhadas Tone2 Proはまさにデータそのままに出てくる。
デジタルからアナログまでロスなくシンプルなシステム
Thetaが見せた音色の演出はなくなり、しかし広く高く深く拡がる。
出口たるスピーカーは、
- Royd Sintra・JBL control 12SR中心
- 疑問の音源はVictor SX-V05で補足
まったく廉価版ですが慣れもあり、高音低音ともに細かくとらまえます。
Aura VA-50、CREEK 4240、そしてSOULNOTE A-0・シンプルさに定評あるものを選ぶ
アンプは
- SOULNOTE A-0
- CREEK 4240
- Aura VA-50
CREEKとAuraは正規メンテナンス済み。
音離れはよろしい、この際ダイナミックレンジの広い聴きかたでいってみます。
特にA-0は音楽に「波」がございます、メンテナンスをしたらAuraの表現が増えたのも予想外でした。
回路、システム構成ともにシンプル・最短距離で音楽が流れる
デジタルからアナログまで音の流れはシンプルです。
- クレジットカードサイズのD/A変換
- アナログ増幅は特にシンプルな回路(シングルプッシュプル)のプリメインアンプ
- 反応のよいスピーカー
最短距離で音楽信号が流れます。
ロスのなさだけのせいではないでしょうが、
情報の多さそしてダイナミックレンジ(音楽の強弱)表現はわかりやすく良くなります。
このA-0は相当の変わり者なので改めますが(良い意味でかなりユニーク)、ともかく解像度というより表現が細かく、音というよりどうにも音楽です。
Khadas Tone2 Proとの組み合わせは、少なくとも悪い方向ではありません。
ひと昔まえからデジタルは確実に変わった。
SOULNOTEとの組み合わせはアシダ音響やFinalに似て「音楽向け」
SOULNOTEで聴く音はアシダボックスやFinalとの組み合わせにちょっと似た傾向です。
音として聴こえるか音楽として聴こえるか。
明瞭さでFinal的とでもいえばいいか、あくまでたとえですが。
音を作りすぎるとダメというわけでもないのでしょうが、情報の多さはシステム全体の色をよく出すという定石どおりのDAC(というよりポータブルアンプですが)であります。
念の為、アタクシは演出たっぷりの音が大好きなのです。いまどき後生大事にThetaを持っているほどですから。
ただA-0を通して聴くKhadas Tone2 Proの情報量は、単に解像度が高いというだけでは言葉が足りない。
Finalについては別途、リリース予定の新型「MAKE4」のことが気にかかって仕方ないからです。
CREEKとAuraアンプで大きく違う「英国調」
CREEKとAURAについて以下はおおまかに、個性豊かでありますから。
両方とも増幅終段はMOS-FETのシングルプッシュプル。シンプルな回路です。
CREEK4240のきつい高音が見えて驚いた
面白いのはCREEK4240、何故か高音が耳につく。
なんといいますか、高音だけ音圧が上がったようです。
言い訳が思いつかない「きつい音」
驚きました。
通り相場通りの暖かい音と思っていましたが。
申し上げた通り、ハイファイジャパンでメンテナンス済みであります。
予算のリクエストはせず、できる限りというお願いもした。
つまりこれで本来の音らしい、メンテで変わった。
艶のある高音とか迫力のある低音とか、そういう音は今回あえて避けています。そのためのメーカーメンテナンスでもある。
録音はオーディオ的にはあまり良くないものが大多数ですから、スピーカーやアンプのせいで艶が出るならむしろ後にいいことがありません。
余計な演出がないもので腰を据え時間をかけて音を詰めたい。
Creek4240はKhadas Tone2 Proで初めてわかった音があった、つまりは今まで聴こえなかったものが聴こえているということです。
組み合わせるCDプレーヤーやスピーカーは思っていた以上に限られていたアンプのよう。
いわゆる「暖かい英国的な」スピーカー前提でありRoyd Sintra向けではない。
4040とは音が変わったと言われるゆえんかもしれない。創業者(マイク クリーク)が会社を取り戻してのちの第一作目です。
こういうときかえって力みすぎることがある。
Aura VA-50は小音量で変化が多彩に・良質メンテナンスのオーラデザインジャパン
Aura VA-50はCREEKとは相当に違い影が濃くなる。
といえば何やらわかりませんのでもう少し。
小音量のとき、強弱がはっきりつくように。
これは楽しいです、ボリュームにかかわらず強奏より弱奏の変化がよくわかるようになった。
演奏の移り変わりがわかるようになります。
主にSintraと合わせてきたアンプですがKhadas Tone2 Proは当たりの組み合わせです。
VA-100 EVO2比較で感じましたが、VA-50はVA-40とともに歴代Auraでも一風違う音です。
ミニコンポかと思うような部品しか使っていないアンプからこういう音は小気味がよろしい。
オーラデザインジャパン殿のメンテナンスサービスも質が高く、思い入れが深まった。
なお、いかにもわかったかのようなことを書いて恥ずかしいので正直に申し上げますと、
かねてこのVA-50とJBL control12SRの組み合わせがどうにも好きだったり、あまりアテにならない耳ではあります。
得意なコスト分野で組み合わせおすすめ・「アナログアンプ」+「USB-DAC 、ポータブルDAC、オーディオインターフェース」
今回システム再構築するにあたっての目的でありますが、アタシはプリメインアンプ+ポータブルDACの構成をおすすめするものです。
DAC内蔵プリメインアンプでなくセパレート化はコスト効率が高い
この場合プリメインアンプとはDACを内蔵しないもの。
それぞれの一番得意な機能で、合理的なコスト配分を狙えます。
- プリメインアンプ
:アナログ機器としては生産量は多い。デジタルデバイスとしては生産数が少ない - USB-DAC/ポータブルDACアンプ
:アナログ部分が少なくおおかたは不得意。しかしデジタル回路部は膨大な生産量
お互いに生産量が多い得意分野だけを使えばいい。
Khadas Tone2 Proの成り立ちはポタアンですらなくサウンドカード、つまりオーディオインターフェースです。製造コスト差は桁違いに安いです。
ついでにいえばデジタルのアップデートにも楽についていけます。
しかもどちらかが故障しても使い続けられる。
デジタル/アナログ/電源を分ける・互いの影響を排除
ポータブルアンプ・DACの電源についてはより大容量で試したいと思っておりますが、今回の組み合わせは
- デジタル部(DAC)
- デジタル用電源(USB-C ACアダプター)
- アナログ部(プリメインアンプ)
これらを分けていることになります、ノイズによる相互干渉、そして微小な信号を扱うDAC部の電源がアンプの電源変動に振られることも少ない。
それぞれがメジャーなカテゴリですから機種も選べます。
フルサイズのRCAアンバランス・バランス出力は必須、そして光デジタル端子は避ける
ひとつ注意すべきは、
フルサイズのRCAまたはバランス出力端子を持ったUSB-DAC/ポータブルDACアンプのほうが明らかに音質は上
だということ。
3.5mmアンバランス・2.5/4.4mm/XLRバランスからの出力は避けたい
まずヘッドホン・イヤホン用の
- 3.5mmアンバランス
- 2.5/4.4mm/XLRバランス
こちらからの出力はおすすめできません。
プラグ構造自体がオーディオ的な前提でなく、変換プラグやケーブルに質が高いものは少ないため。
しかもほとんどはDACのボリュームを通る回路となるからです。
Khadas Tone2 ProのRCAアンバランス(そしてバランスでもある)はボリュームをバイパスしております。
光デジタル端子・HDMIはどちらも音質はよろしくない
そして光デジタル端子よりSPDIF(同軸デジタル)のほうが確実に音はいい。
なおHDMIは、音質うんぬんには少し無理があります。あくまでケーブルの本数が少なくなるという利便性です。
SACD、というよりDSDフォーマットの発展を妨げた大要因であります。
無論他の良さから選ぶという妥協はありますから絶対排除ではありませんが、可能ならばこの2つからの出力は避けられたほうがよろしいです。
30年前に流行ったDAC内蔵プリメインアンプはそのほとんどが残存していません。CREEKやAuraと同時期のものです。
アナログ部が修理できても、デジタル部は修理不可能だったからです。
DAC単体が高度に発達するというモバイルオーディオは、掘り起こせばさらにピュアオーディオに魅力的なものがあるはず。