B&Wはヘッドホンでおなじみです。P3S2からP9sigまで。
使って感じさせるのはBowers&Wilkinsではどんな製品も800D3が基準だということ。
ヘッドホン・イヤホン共に。ワイヤレスも同じです。
全ての製品は「800D3」が頂点・リファレンスはヘッドホン・イヤホンではない
スピーカーはOriginal Nautilus以来ほとんど試聴していますが、特に800D3は近年の大傑作です。
他のオーディオメーカーがこぞってリファレンススピーカーとして導入するほどの強烈な影響を与えました。
この存在がヘッドホンとイヤホンの音を決めたようです、色濃く感じます。
当然ですがカリカリしたハイチューンは全くありません、B&W独特の音のよさです。
ワイヤレスのPi5・Pi7も同じテイスト・リファレンスが同じだから
この会社が作るのはクルマでいえばあくまでGT、それも古典派です。
速いが快適。
しかもドイツ車のようなこれみよがしの合理性アピールはなくしっとりしている。
もちろんスポーツカーでは全くない。
ヘッドホン・イヤホンはスピーカー以上に密着しますからここの感覚は重要だったりします。
- 柔らかさとしなやかさ
- 鋭い反応
- モードを入れた、でも落ち着くデザイン
使い古された言い方ですがジャガーのDouble Sixのごときシルキーなパフォーマンスの見せかたです。
ローエンドからハイエンドまで使ってみて、ここらあたりは共通して感じるところ。
面白いことにP3S2・P5S2・P5wireless・P9signatureは音にはっきり差があるにもかかわらず基本のキャラクターが全てに共通です。
ワイヤレスイヤホン(しかも左右TWS)のPi5・Pi7ですら同じですから嬉しくなります。
コンティニュアムコーンとダイヤモンドツィーターの鋭敏な反応と音色をモバイルでも表現しようと苦労しているのがわかります。
Finalはトガっている・ホーンスピーカーに投資した理由がわかった気がした
話がそれますが、B&Wのシリーズを順に聴いているとFinal audioの音が良いわけがなんとなくわかったような気がする。
好きなメーカーです、ここもまたリファレンスはヘッドホンではなくスピーカー。
アナログの頃から続く社歴の長いオーディオメーカーですが、あの会社は売りもしないのにとんでもないホーンスピーカーを作っている。
イヤホンの会社であるにもかかわらずです。
会社として音の基準に投資しているんだと思います。
1,000万やそこらは「音を知る」ために遣っていいとか本気で思っているんでしょう。
海外でもみないほどトガったブランドです、音はいい。
多分ここも社内リファレンスはイヤホンではないんじゃないかと勝手に思っております。
Via”音楽に真摯に、原音に忠実に - イヤホンの新境地を拓くファイナル オーディオ デザイン「FI-DC1350M2」”(PHILE WEB official website https://www.phileweb.com/review/article/200912/18/85.html)
音質・デザインともに800シリーズが全ての製品の基本
B&Wはトップエンドのノーチラス800シリーズを決めてから下位グレードのモデファイをするのが伝統です。700・600シリーズの音は800が出た時点でおおかた決まっているようなものです。
この手法でヘッドホン・ワイヤレスイヤホンも作られている。
しかもこの800シリーズには「業界標準」「世界最高」という緊張感が常に伴います、激しい追い上げを受けている。
評論家もユーザーも容赦がない。「意欲作」とか「可能性を感じさせる」というレビューはB&Wのスピーカーに関してはありません。
現ラインデザインはモートンウォレン・Native Design絶頂期
遠慮のない評価は音だけではありません。デザインにも容赦ない評価が降ります。カッコが悪いとなると現在メインの顧客である海外の富裕層は買わない。
その点では現在のラインナップの基本形はほとんどがモートン ウォレン(Morton Worren)率いるNative Designの手によるものです。
デザイナーは旬の時期が短いものですが、その点でいってもNative Design絶頂期のデザインです。
Via”Behold! This is the world’s thinnest laptop”(INSIDER official website https://www.businessinsider.com/hp-spectre-photos-2016-7)
Via”Behold! This is the world’s thinnest laptop”(INSIDER official website https://www.businessinsider.com/hp-spectre-photos-2016-7)
Zeppelinでワイヤレスの音づくりに巨大な実績を築いた
モバイルオーディオはピュアオーディオ向けスピーカーよりもはるかに制約が多い。しかしB&Wにはヘッドホンを作る前、既に巨大な実績がありました。
「Zeppelin」です。
これはある意味でピュアオーディオを超えた大傑作ですが、B&Wはこれで制約の多いモバイルガジェットで「クリアでしなやかな音」を出すかんどころを掴んだと思います。
Via “Bowers & Wilkins Intros The Zeppelin Air And Z2 Wireless Speakers With iPhone 5 Owners In Mind”(TechCrunch official website https://techcrunch.com/2013/03/18/bowers-wilkins-intros-the-zeppelin-air-and-z2-wireless-speakers-with-iphone-5-owners-in-mind/)
小者感あふれる・P3からP9sigまでB&W購入は常に死ぬ覚悟
個人的には最初のP3を買うときが一番ハードルが高かった、ヘッドフォンで2万円もするなんてと。気に入った音が出なかったときのことを考えたら憂鬱になりました。
P9 signatureのときは食欲がなくなった。もう2年ぐらい高い買い物はやめようとすら。
それがP5S2は有線・無線両方あるしまつです。
なおP7シリーズがすべて手元にございません、フルコンプする気でしたが忙しすぎて忘れた。
買わなかったことは未だに後悔しております。
あれを選んだかたはお目が高い、ほんとうに高い。
P5S2・P3S2は不要にならなかった・P9sigとは違う音色
P9を買った時、すでにP3S2・P5S2・P5Wirelessの3種がありました。P9sigがきたら他は処分するんだろうなと思っていました。
ワイヤレスだけはもしかすると残るかもというぐらいでした。
しかし結局全部が手元に残った。
P9signatureを聴き続けた後、P3 series2を通勤で聴いていたらなぜか気持ちがいいのです。
理由は全シリーズに共通するしなやかさ、そして反応・感度の良さでした。スピーカーでホメられている特徴そのまま。
その上でキャラクターを明確に変えてきている。ここらしい手法です。
反応の早さとしなやかさ・コンティニュアムコーンとダイヤモンドツィーターのテクニック
P9sigがきてから最下位から最上位機種までじっくり時間をかけて聴き比べてきました。
B&Wがモバイルでやっている音づくりがわかる。
迫力ある低音や高音を伸ばすなど、よくあるどこかの音域を強調してきかせることはありません。
かなりのフラットしかもナチュラル
ただ、音楽の反応が速い、相当にはやい
つまり入力信号に対して全体域で感度が鋭く応答速度がとても速い。
このおかげで解像度を上げても音がしなやかでやわらかいのです。
考えたらコンティニュアムコーンとダイヤモンドツィーターを搭載して以来ここのスピーカーはずっとこの傾向です。
他社は解像度を上げるとキンキンしがちになって苦しむのですが、克明・緻密な描写でありながらしなやかをやすやすと可能にしてきた。
800D3あたりからは音離れの良さが普通ではなくなりました。
B&Wに関しては下位グレードのスピーカーを聴いても全然不幸にならない。
600・700シリーズは「下のシリーズ」と感じるところが全くない。レスポンスが早くて音が柔らかいんですから。
ぼやぼやしていたら競合のより高いスピーカーのほうがギスギスしてみすぼらしく聴こえるぐらいです。
(邪道)805D3は3万円のプリメインアンプでも良く聴こえた
これはマニアの友人に言うとバカにされるので言わなかったのですが、ブログですからいいでしょう。
あるところで805D3に3万円のプリメインを当てて聴かせてもらったことがあります。
普通にいい音した。
本当は800D3でやりたかったんですが、3万円のプリメインとは展示フロアが違っていたのでさすがに持ってきてくださいとは言い出しかねた。
しかも音源の送り出しは持ってたiPhone、Linghtning変換アダプターからRCA入力にアナログ接続。そもそも音源はAACですからある意味805D3からみたら最低の条件です。
どんな音がするんだろうかと。
805D3からひでえ音は聴いたことありませんが、ある意味「どこまで堕ちるか」実験です。
なんですかねえ黙ってしまった。
きれいで迫力があって音楽を楽しいと思えた
無論最高の音ではありません、全くない。
アンプもプレーヤーも合ったものじゃないこともわかる。
ハイエンドアンプ、それこそモンスター級を繋げれば別格のいい音はします。B&Wの800シリーズは特に底なしですから。
それはわかる、ただある意味ハイエンドの組み合わせはどのショップでも聴ける音です。
最低価格帯のアンプでもこれとは、懐の深さがすごい。
B&Wのハイエンドの音が好きで好きで、全予算をスピーカーに注ぎ込むならこれは完全にありだと思いましたね。
もう帰りの交通費まで注ぎ込むぐらいの勢いで買うってことも趣味ではあり得る。
なんといいますか気持ちのいい買い方といえるんじゃないでしょうか。
なお音は主観ですから上記について言い張りはしません。「そんなものは話にならん」というご意見は極めてまっとうです。
ただ805D3と3万円のプリメイン(とiPhone)が出したあの音について、聴くに耐えないと言う人はよっぽどすごいシステムをお持ちか、あるいは目の前のビジュアルを生理的に受け付けないかのどちらかではないかとはちょっと思ったりします。
B&Wのスピーカー技術は(とりあえず)3万円から200万円以上のアンプまでカバーします。音楽信号への反応が鋭い。
同じことをヘッドホンやイヤホンでやっている。
これを申し上げたかった。
P3S2からP9 signatureまで聴き比べると、いろいろ制約の多いモバイル分野では重要なテクニックではないかと思えるわけです。
電源の大きさを含めたアンプの駆動力やケーブル・ノイズなど、はたまたワイヤレス・BluetoothやTWSなど一見ネガティブ条件が盛り沢山ですから。
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ワイヤレスの音質限界を知った音づくり・しなやかさと反応
800D3やZeppelinの成功から続くこの辺のセンスは、今でもヘッドホンやワイヤレスイヤホンの音を決めていると感じます。
ひとつ具体的な比較を申し上げると、P5S2は有線。そしてP5 WirelessはBluetooth。
有線と無線、この2つで明らかな優劣を感じさせない。どちらもそれぞれいい。
ここのヘッドホンは皆そうですが。
(前提)Bluetoothとノイズキャンセリングは原理上の音質劣化がある
音のいいノイズキャンセリングワイヤレスイヤホン・ヘッドホンを作っているブランドが共通して認識している前提があります。
- Bluetoothとノイズキャンセリングは原理上かならず音質劣化するということ。
- 有線のほうが確実に高音質であり超えることはできないということ。
繰り返しますがヘッドホンやイヤホンはスピーカーに比べると原理上の制約が多い。
そしてBluetoothはそもそもCDと比べてもはるかにデータ量が少ないです(LDAC比較)。
たぶん何年かしたら「Bluetoothイヤホン・ヘッドホンにハイレゾマークがついていたのはありゃ間違いだった」と確実にいわれると思います。
またTWSは間に障害物(人の頭)があるせいで劣化が避けられない。
ノイズキャンセリングは
打ち消す音に関して
音楽信号と生活ノイズを完全に区別することができません。
消される音楽信号は少なくなってはいますが、確実にあります。
ある程度の劣化は不可避です(それでもメリットのほうがはるかに大きいと思いますが)。
これらのデメリットに対して単に高域を伸ばしたり低音を強調したらアラばかりが耳について聴けたものではありません。
しかし応答性や感度を高める手法、そしてそれらをまとめるセンスがあれば、音源から違う次元のリアルさを出すことができる。
ハイレゾ対応のために無理して高音をキンキンさせる必要がない。
B&Wワイヤレスの音はZeppelin Airですでに完成していた
ここでZeppelinの音を思い出しました、大名作です。
あのサイズのワイヤレススピーカーは今でも「サイズを超えた低音」「クリアな高音」が決まり文句ですが、Zeppelinは全く違っていた。
しなやかで柔らかく、しかもリアルでした。
明らかにB&Wは限界をわかっていて音造りをしていました。
低音から高音までのレンジが広いはずはないのに気持ちいい音楽。
英国人らしい可愛げのない手口です。
現デザインを決めたのはMorten Warren
そこにあのデザイン、もう非の打ち所がありません。
Nativew Designの手によるものです。
Native Design最盛期に生まれたデザインライン
いずれもモートンウォレン(Morten Warren)の作。
インダストリアルデザインでは今や大ベテランの、しかも彼が率いるNative Designが更にかっ飛ばしはじめた頃です。英国レトロモダンは大得意であります。
個人的に大好きで、PCなどでデザインが気に入って、後に調べたらNative Designだったってのがあります。
B&Wのヘッドフォンやワイヤレススピーカーが出た時期はMorton Warren自身がノリきった時期ですもある。
スピーカーについてもローレンスディッキー(Laurence Dickie)が完成させたNautilusスタイルを更に現在の800系に押し上げた後でした。
そもそも背面にメタル配置(ネットワーク内蔵)とかシブすぎます。
これで音が各社のリファレンスですから、もうどうにも手がつけられん。
だいたいリニアフェイズ(ユニットを低音/中音/高音とずらして取り付ける方式)なんて本来は気持ちの悪い格好しか作れないはずです。
ケネス グランジやローレンス ディッキーのオリジナルが大したもんだったってこともあるにせよ現在の800シリーズはインダストリアルデザインの先端です。
実はオリジナルノーチラスは何故かあんまり好きなかたちではなかったので、ちょっと贔屓であります。
このラインがリリースされて以来、正面切ってB&Wにデザインで喧嘩を売る競合他社はとりあえず消えました。
英国レトロモダンで選ぶなら今のところB&Wしかない
英国クラシックをきっちり入れてなおモダン、ギリギリ重くありません。
一時期Apple Storeの店先を占拠しましたし。このテイストはB&Wという以上にモートンウォレン・Native Designそのものです。
金属やカーボンを鋭く見せつつ更に革のような素材を組み合わせてモダンブリティッシュを創る。
マリオベリーニとか好きなので、ここのヘッドフォンみたいな革の使いかたに弱いです。
現時点はカーボン/ファブリックのコンビで少々モダン度強めですが、つまりはD800など最上位スピーカーと同じ素材構成です。
この手の英国モダンを求めるなら今でもPX7しかありません。
この時期はハイエンドな顧客もどんどん増えてBang & Olufsen ・HP・Audi・Bentreyと全方位でしたから。
フィット感はいわゆる「英国サルーン」的
このモートンウォレン (Native Design)のおかげでしょう、つけ心地はしっとり柔らかです。
この点に関してはSennheiser(特にHD598)は最高だと思いますが、B&Wもよろしい。
ドイツ車的じゃないと書いた理由であります。
革とメタルをあしらった「英国サルーン」といえば言い過ぎかも。しかしゆったり着けさせます。
英国人のスノッブなところです。
音楽をつくることはできないが、楽しむ方法はオレらのほうがわかってる
とでも思っているんでしょう。
ほとんど感動したのはP9 signatureのハウジングメッシュです。振動板の背圧を抜くためのスリットがそのまま角度調節のダンパーを兼ねている。
ここ10年でこのぐらいスマートを機能は見たことがない、しかもカタログに書かないところなんざさすが英国人。可愛くないです。
「クリアでしなやか」ならB&W
ありきたりな結論ですが、もしクリアでしなやか・柔らかい音ならばB&Wでしょう。
800D3にあたるものは今ならばPX7かと。
実はB&Wは直近4年ほど経営上のトラブルを抱えてしまい、そのせいかハイエンドヘッドホンの開発は事実上P7・PX系のチューンドモデルが続いていたのです。
音はまぎれもないB&WでP7を逃した経験からアタクシも気になっております。
ただもし最新型が欲しい向きにはPI5・PI7はかなり良いものと申し上げます。ノイズキャンセリングにままある音の曖昧さがない。音ぎめのセンスがあります。
ジェームズボンドとドクターストレンジが使ってる・ダニエルクレイグと一緒は嬉しい
これは本当に個人的な動機ですが、ダニエルクレイグ(Daniel Craig)やベネディクト・カンバーバッチ(Benedict Cumberbatch)のパーソナルユースであります。
これは素直に嬉しい。二人とも英国ど真ん中、しかもボンド兄貴のお気に入りとは!
なおダニエルクレイグはPX7、ベネディクトカンバーバッチは初代P5です。
Via “Daniel Craig cuts a casual figure while jetting out of JFK Airport as Bond 25 filming gets underway in Norway”(Daily mail online official website・https://www.dailymail.co.uk/tvshowbiz/article-6868323/Daniel-Craig-cuts-casual-figure-jetting-JFK-Bond-25-filming-begins-Norway.html)
英国人は可愛げがねえ、なんて言っておきながらしっかり降参なわけですが、Bowers and Wilkinsならもう仕方ないかなと。