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加藤秀樹氏プロデュース『SOULNOTE』は正真正銘の世界水準ハイエンド

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東京インターナショナルオーディオショウで『最もいい音がしていたブース』はどこか。

SOULNOTE(ソウルノート)であります

スピーカーがYG AcousticsのHailey 2.2だったからではない。

加藤秀樹氏のもとで様変わりし、世界水準で語られるべき堂々のハイエンドオーディオとなりました。
それにふさわしくプレゼンテーションは最高にパッションのあるものでした。

なおご本人は嫌がるかも知れませんが、「あること」を見てしまい(これは私だけではないので)それは製品を現していると思えたのであえてお伝えします。

(なお文章の構成上、一部敬称略につきましては何卒ご容赦ください)

フルシステムは本家デモ以上にYG Acousticsをドライブ

YG Acousticsは本家ブースよりも気持ちよく鳴っていた。

主観ながらこう申し上げてお叱りを受けないと思います。並み居るハイエンド(というよりトップエンド)のデモの中、わかりやすく一段上でした。

あの悪条件下で輸入元のデモより格上サウンド(東京国際フォーラムの会議室)

まず当日のシステムはといえば、一言で申せば

「SOULNOTEオールシステム」+YG Acoustics Hailey2.2(¥8,690,000)

あえてプラスYG Acousticsとしたのは、SOULNOTEシステムがYG Acousticsを支配下においた音でありましたから。

はっきり本家のデモより上だった。

Hailey2.2ってこんな音も出るんだと

YG Acousticsの高音質に頼ったデモではない。
オーディオ、というより音楽好きがのけぞるような噴き出るパワーが出ておりました。

いままでYG AcousticsってMAGICOと比べると少しクールめに思っておりましたが、SOULNOTEのそれはかなりの熱量。

別物のイメージがありました。

このスピーカーを「聴いたことがない音」で鳴らした

同じ演奏をさまざまな音で楽しめるのがオーディオの魅力と思っていますが、その意味でいえば「極熱(ごくあつ)の音」。

ただしこれはきちんと申し上げないと、極めてしなやかな、なめらかな音です。
中級クラスのヒラ押しパワー感とは根本から違う。

Prince(プリンス)のカセット録音がどうしてあんなリアルに

若き日のプリンスがテレコ録音(つまりカセットテープ)したという音源は、「シャー」というヒスノイズからすでにリアルが始まってしまい戸惑ったほどです。

そこにプリンス特有の繊細で力強い声(ほとんど歌というより)が鳴り響いた。

条件の悪い会議室、壁も天井も床も共振しております。
でも「美味しい部分」を飛ばしてきました。

少ない経験ながらHailey2.2であんな音が出るとは思えないほど。

語るに言葉がありませんが、「ものすごく音のいいSP盤」のごときボーカルでした。

すべて良すぎて新型パワーアンプM-3の音質がわからない

今回のデモンストレーションは

  1. 新作のトップエンドパワーアンプM-3
  2. 昨年までに発表されたプリアンプP-3とSACDプレーヤーS-3 ver2
  3. デジタルはDACのD-3とクロックのX-3
    そして本年初めにリリースのネットワークプレーヤーZ-3(送り出しはバッファロー「DELA」

昨年オーディオ関係のフェスが全て中断された影響から一気に揃い踏みとなりました。
本ブランドに限らず今年のオーディオショウがゴージャスだった理由であります。

システム全てが高音質・新型の音だけを切り分けできない

ただあの音についてパワーアンプM-3がいいとか、ネットワークプレーヤー、特にD-3がいいとかの判断ができませんでした。

フルシステムです、その水準が高すぎた

あの条件でアタクシに切り分け、聴き分けは不可能です。

オールシステムで鳴らしたとき、他を圧するリアルさを表現した。
しかもパワフルだけでなく繊細です、つまり最高ってことです。

それしか申し上げられない。

曖昧な前提で、恐らくプリアンプは後代語りぐさになる音だろうなということ。
確実な前提で、SOULNOTEのフルシステムで鳴らないスピーカーはまずないということ。

「無帰還アンプ」嫌いを忘れて聴きこんだ

なお前置きしますと、アタクシは無帰還アンプが好きではありません。
経験した限りでは綺麗なだけで音に力がない、下手をするとぼやっとしているという印象しかなかった。

ネガティブフィードバックがあろうがなかろうが音を創れる設計者

真空管のOTLみたいなもので、素人好みの理論倒れと思っていました。
最初このブランドにほとんど関心がなかった理由でもあります。

しかし加藤氏のプレゼン中、彼が無帰還アンプを良しとする設計者であることを完全に忘れた。

それほどの音です。

アンプとプレーヤー、そしてDACと全方位でハイレベルですから、加藤秀樹氏はおそらく何を使ってもいい音を出すスキルをお持ちのはず。

ただ熟練エンジニアほど好みがあります。加藤氏の場合多くのご経験から無帰還アンプの優秀さを確信し、そして選んだ。そう考えるのが正確かと。

無帰還アンプ・バランス接続・A級アンプ「だから音がいい」は誤解

なお無帰還アンプというワードが出たのでこの際申し上げます、気になっていたことです。
このブログはモバイルオーディオで見てくださる方々が多く、そちらの皆様へ。

(SOULNOTE以外)バランス接続・無帰還アンプだけでは高音質にならない

最近ヘッドフォン・イヤホンで認識されているバランス接続/バランスアンプ
あるいはピュアオーディオにおける無帰還アンプなど

「バランス接続・バランスアンプは高音質」
「無帰還アンプは音が良い」

というご判断がありますが、これはおやめになったほうがいいかもしれません。

それ以外の工夫がないまま、イメージだけで高音質をうたうブランドが多いからです(昔からです)。

もしかするとA級アンプもそこに入るかも。

なお念の為、SOULNOTEは上記とは全くの別物であります。こちらは「完全無帰還」というだけでなく、そもそものアンプ技術が控えめにいって本物です。

同社においては机上の理論ではありません、その代わりハイスキルのエンジニアが長期間にわたり検証を繰り返しています。時間とお金が掛かっている。

ここがことさらに申し上げます理由でして、回路設計の裏付けなく、たいして手間も掛けず、言葉のイメージだけで良し悪しを語られることが多いのもオーディオのよろしからざる特徴です。

特にモバイルオーディオ系におけるバランスアンプなどはその傾向が強い。
こんなことを申し上げるのはアタシ自身、オーディオ言語のもつ「語感」に弱いという自覚がありまして。

「アンバランス」「ネガティブフィードバック」に良し悪しの意味はない

バランス接続・バランスアンプ・ノンネガティブフィードバック・A級アンプ
実にカタログ映えする、なんとなく「高音質」っぽい。

でも上記を判断の第一基準として、かつてのアタクシはいくつか駄物を掴みました。

お笑いください、「いい音・・・のはずだ」と自分に言い聞かせながら聴いたのです。それも含めての趣味体験ともいえますが。

こういった始末でありましたから、他人様のレビューをみたりお話を伺うにつけ似た気持ちには気づく。

ネガティブフィードバック
帰還
アンバランス

という言葉だけで文字通りネガティブな印象を持たれている方が多い。

製造業の立場からいわせていただくならば

  • ネガティブフィードバック
  • アンバランス回路

これらは回路設計において

性能として良い悪いの意味が全くありません。

本来はセット全体からみたときの回路の安定性や、セットのGND(グランド)をどうとるかといった観点から選ぶ設計手法の違いにすぎません。

良し悪しの理由がまったくないため、わかりやすく例を挙げることが難しいのですが
たとえていえば

電池のプラス極(+)の電気は高音質でありマイナス極(ー)の電気は質が低い、と言っているのと変わりがない

とでもいえばよいのか。
おかしな表現ですが、現実にそれに近いレビューはあります。

SOULNOTEはそもそもアンプの全体設計が優れている

結果として音がいいものはある、
しかしそれはその他の要素によるところ極めて大です。

あるブランドを短期間のうちにハイエンドまで押し上げるには、へんぺんたる要素技術が優れているだけでは到底無理です。
そしてSOULNOTEは「その他の要素」が大変に優れている、全体が経験とアイデアの集大成であり高度です。

今回作り手のひととなりが気になる理由であります。現在のSOULNOTEを現しているものだからです。

黒子に徹した「加藤秀樹」というデジタル・アナログ両刀使い

その加藤秀樹氏、本当に最近まで存じ上げなかった。
随分前のStereo誌に出ておられたような気がしますが、とにかくほぼ露出はなかった。

どうしてなんでしょう、アナログからデジタルまで相当のキャリアです。
それも凄腕のエンジニアとよんで差し支えない。

NECやPHILIPSのプリメインアンプは鈴木哲氏だけのものとばかり

鈴木哲という方の名前には馴染みがあります。NECそしてPHILIPSのアンプ・プレーヤー群(LHHシリーズ)で著名だからです。その後Marantzのモデルも手がけておられます。

プリメインアンプのA-10(NEC)はある意味語りぐさです。アタクシも「Ⅲ」「Ⅳ」「Ⅴ」「Authentic A-10XX」と使ったので。
音はドライでしたが駆動力があるので重宝したのです、OnkyoのGS-1をともあれ鳴らした。

ただ正直申し上げて、音色は大して感心しなかった。いつも価格対比の大パワーという基準で買っておりました。
逆にNECはCD-10が好ましく、鈴木哲という方はプレーヤーでセンスを発揮する方かなと。

そのせいあってかSOULNOTEはある時期までノーチェックでありました。黒ボディの頃の低価格DACを使った程度。
「A-2」プリメインアンプも好み以前に関心がなかった。

A-2・S-3の「剛性」強調・なじめないSOULNOTEのデザイン思考

このブログはSoulNoteの良さを伝えるのが目的で書いております、本当に良かったのです。
しかし以下もおなじく正直な気持ちです。

SOULNOTE、なによりデザインがピンと来なかった。
これは鈴木哲 氏が関わっていたときからです。ファンダメンタルのデザインも好きではありません。

A-2のあのリブはいただけない。
NECのころからそうでした。高剛性コンストラクションが売りで、ごっついカッコでしたが変わらないなあと。

いや、あれでコストダウンになっているならいいんです、納得できます。
でも到底そうは思えない

A-2やS-3の筐体はかなりコストが掛かっているようなので、同じ外注ならもっと他の仕上げがあるのではないかとは今でも思っています。

それやこれやでCSR発足そして新SOULNOTEの開始まで、アンプを聴こうとは思いませんでした。

誰も知らない「加藤秀樹」という凄腕エンジニア

そのSOULNOTE、発足当時は鈴木 哲氏と加藤秀樹氏のご両人によるスタートでした。

鈴木哲氏は有名、Fundamentalそして初期SOULNOTEも彼の名前で知った

鈴木哲氏のキャリアは華やか。多くの製品の開発中心とされ現在は自身のハイエンドブランドである「Fundamental」主宰の人物です。

メディアの露出も多く、他メーカー製品の監修や、はてはセミプロミュージシャンとしてオーディオ誌以外にも登場しています。

しかし繰り返しますが「加藤秀樹」氏についてはほぼ情報がありませんでした。

完全な黒子役に徹してこられた。

現在のSOULNOTEですら、多くの人は鈴木哲氏のイメージで捉えていたはずです。

鈴木氏で有名な製品の多くに加藤秀樹氏が関わっている

しかし加藤氏もまた鈴木氏と道を同じくしております。

それどころか各製品において、加藤氏が重要なキーパーソンであったことが一昨年あたりからちらほら見える情報でわかりました。

上記のとおりA-10はオーセンティックまで何機種か使っておりますし、Philips・MarantzのA-200/P-700も聴いてきた。
旧SoulNote自体はdc2.0Bぐらいしか予算がありませんでしたが。

これには雑誌メディアに少々不信感を持った、あれは加藤氏の作品だったのかと。

昨日今日の新人ではない、それこそ数十年の大ベテランです。

どうしてこれだけのキャリアをもっと紹介しなかったのか。

こんな気持ちになったのは以下の理由もあったためです、情報皆無ゆえに危うくソウルノートというブランドを誤解しかけました。

DACを「オーバーサンプリング無し」で使うという掟破り

無帰還アンプというだけでなんとなく興味がありませんでしたが、

SACDプレーヤー「S-3」はノンオーバーサンプリング

つまりDAコンバーターにオーバーサンプリングを全く掛けていない

驚くべき手法、しかも難物のESS9038PROです。

鬼面人を驚かすのたぐいと思ってしまった、聞いた直後はますます興味が失せた。

マニア専門のガレージメーカーと誤解した

しかし現実はまったく違いました。
極めて経験豊富かつ堅実なエンジニアがさらに試行錯誤、そして試作と自問自答を繰り返したすえに考え出した手法でした。

経緯を知った時、この人すごいなと心から思うとともに、加藤氏のキャリアについて雑誌メディアの取材力に疑問を感じた次第です。

いきなり「オーバーサンプリング無しが高音質」なんて、加藤氏のキャリアとスキルに明確な説明がないとケレン手法だと思われてしまう。

ここは大事ですから繰り返しますが、加藤秀樹氏はアナログとデジタル(それもミクスドシグナル系半導体)を熟知したエンジニアです。

オーディオはメーカーや設計のセオリー無視をやりがち

しかしながら背景について情報がない。

ですからアタシも最初は興味がなかった、失礼ながら最初はマニア系エンジニアの方だと思いました。
自分で聴いてよければ回路設計の基本セオリーは無視という。

残念なことにオーディオではそういうメーカーや設計があります。
スピーカーを焼き切っても平気だったり、数年で実用に耐えないほど部品を劣化させる高負荷の回路設計だったり。

事実上修理のできない設計を採用するメーカーもあります。

「NOS(Non Over Sampling)」の話を初めて聞いたときは信じられず、初期のアナログフィルターあたりを「量産性を犠牲にして得た新方式」とか言って持ち出してきたのではないかと勝手に推測しておりました。

デジタルをアナログ信号に復調する際のオーバーサンプリングは常識です。外していい音がするなんてうっかりデジタル設計者に話せないほどです。

これをよしする以上、

「激変」
「部屋の空気が一変」
「目の覚めるようなリアリティ」

といった例のアレと同じだな、とアタクシが最初に思ったとしても許していただけるのではないかと。毎回激変はもうたくさんです。

個人的にミクスドシグナル系のデバイスはあまり経験がないものの、少なくとも世界中のエンジニアでこれを思いつく人はいないと言い切れます。

「ノンオーバーサンプリングは常識外れ」と自分を疑うところが素敵

加藤氏が素敵なのは、設計時にこの手法に至ったとき「自分は間違えているかもしれない」という自問自答を続けたというお話です。

それであの音です。

「広大なダイナミックレンジ」なんて言葉を久しぶりに連想しました。

なにしろ音の強弱表現が普通じゃない。解像度も大したもので無論ノイズは皆無です。
繰り返しますがチップはあのESS9038PROではありませんか。

数十年「加藤秀樹」の情報皆無だったメディアは取材力が低い

それ以来

どんなキャリアをお持ちなんだろうか
どんなセンスをお持ちの方なのだろうか

という興味を強くもっておりました。

マニア専門メーカーをハイエンドブランドに変える力量を見抜けない

こういってはなんですが、雑誌は相当読んできたほうです。

繰り返しますがNEC・Philipsマランツの頃に紹介してくれていたら大いに違っていた。
なにせ実機を所有して聴いているんですから

あえて繰り返しますがメディアはそれを伝えることが出来たはずです。
ご本人に直接取材する機会があった

これこそがネットではなく、メディアから知りたい「情報」であります。

このあたり取材力がないというか、そもそもの視点が偏っているとしか言いようがありません。

ブランドのハイエンド化は至難・B&WのFormationが好例

旧来のSOULNOTEははっきりいってガレージメーカー好きマニアからの支持だけでした。

しかし加藤秀樹氏が単独で活動しはじめた途端、世界レベルのハイエンドブランドに様変わりした。

目指してまずやれないことです。

B&WのFormationシリーズがわかりやすいでしょう。

あれほどのブランドをもってして、親会社が破産するほどの資金をつぎ込んでも、市場からそっぽを向かれるところがオーディオの厳しいところです。

会っても「人物」がわからないなら取材とはいえない

一方で加藤氏には能力があるわけですが、ここ4〜5年でスキルを身につけたエンジニアではない。長いキャリアにもかかわらず、しかも作った製品を何度も取材しながらも何も感じなかったわけです。

オーディオメディアは「カタログ雑誌」なんて毀誉褒貶は全く気にしなくていいと思っております。

しかしこういう情報に対して感度が低いことはおおいに問題ありです。

あえて強調するのは罪深くもあるからです。

加藤氏のキャリアについて何の説明もないまま「ノンオーバーサンプリング」なんてことを普通のエンジニアが聞いたとしましょう。
間違いなくSOULNOTEというブランド、ひいてはオーディオ全体を「怪しい」と誤解する内容だからです。

メーカーにいるとわかる、特に半導体関連では「デジタルケーブルで音が変わるんだって?」とからかわれたことが何度もありましたから。

SOULNOTEは抽象と具象を往復しつづける「正統派」オーディオブランド

現実のSOULNOTEは極めて理論的です。

しかも辛抱強い、確信を得られるまで理論と検証の往復を何度も繰り返しております。
加藤氏個人はおそらく労基が知ったら勇んで駆けつけるような勤務もしているでしょう。

たとえばZ-3もユニークなもので機器間の接続に映像用のDVIケーブルを用いています(ZERO LINK)。無論流れる信号は音楽のデジタルデータです。

多分、同期信号の安定性、そして長期の入手性を考慮してではないかと想像しているのですが理由はわかりません。

あのプレゼンでご質問できる雰囲気があればそのあたりの工夫も伺いたかった。

このようなことを申し上げてきたのは

ガレージメーカーにありがちな独りよがりは、SOULNOTEとは無縁だと申し上げたかったのです。

アイデア勝負の軽さはない、どころか極めてオーソドックス

堅実にキャリアを積み、アナログとデジタル双方を使いこなすスキルを持つ、ハイレベルのエンジニアが細部まで目配りをしているオーディオブランドであります。

手抜きなしA-0・A-1は「手段が違うだけ」のプリメインアンプ

実はある程度ブランドを知るようになってからは、

こういった要素が全ての製品できっちり落とし込まれているとわかり、とても気になっております。

A-1・A-0はローエンドというより「A-2以上とは手段の違う」アンプ

部品選定や放熱・ノイズ対策、そしてプリント基板の回路パターン(アートワーク)も実にきれいで配慮が細かい。

しかもSOULNOTE全般にいえることですが、各モデルの特徴が極めてはっきりしている。

価格ではなく、部屋の大きさや使うスピーカーで選んでくれとでもいいたげに感じるほどです。

勢いに乗った今ハイエンドラインが注目されていますが、実はコスト制約が大きいローエンドのプリメインアンプでベテランの工夫がみえます。

何気なく15万円程度の価格がついておりますが、A-1はリレー切り替え式のディクスリートアッテネーター(ボリューム)。

セパレートアンプでもまずやれません。
しかもここだけ突出させたのではなく、基本部分を手堅く仕上げた上でのフィーチュアです。

A-0に至ってはユニークすぎてエントリーモデルというより「目的実現の手段が違うだけのモデル」と呼びたいほど。

アタシごときがこういってはなんですが、あれは相当です。

旧ソウルノートのsa1.0を少々いじった程度ではありません。

モデルを選ぶ基準は部屋の大きさのみとでもいえばよいのか。
デジタル関連でもD-3の良さが言われながら、D-1Nのファンがジリジリ増えている理由だと思います。

実はアタクシも今回のデモンストレーションが良すぎて大いに気になっている。
引っかかるのはあのデザインだけでしょうか。

アタクシのA-09も末期でしょうし、iPhoneもiPadも欲しいしでいろいろ物要りの身にはうれしく悩ましいライン展開であります。

加藤氏はプレゼン中に(ちょっとだけ)声を詰まらせた

この章について最初にお詫び申し上げます。
本来は人がこういう状態だったと書くべきではない、止めようと何度も思いました。

あえて申し上げることとしたのは、門外漢ながらご胸中は察するにあまりあると思ったからです。

感無量のあまりかと・来し方を思えばそれもうなずける

加藤秀樹氏はプレゼンの終わりでちょっと声を詰まらせました。
感無量のあまりとお察し申し上げます。

あの熱の入った説明の末、恐らくご自分のブランドとしてここまできたという思いが自然と出てしまったご様子でした。

ひたむきさと技量・SOULNOTEは完全に「加藤秀樹プロデュース」

多分長いオーディオショウの歴史で初ではないでしょうか、正直言えばこちらも驚いた。
少々居心地が悪くなったことも隠さず申し上げます。

でも家に帰る途中考えておりました。

長くこの分野ひとすじに取り組まれ、他が一目置くほどまで製品のレベルを高めた。

今このブランドを語るとき

「加藤秀樹プロデュース」SOULNOTE

という言い方に疑問をもつ人はいません。

その技量はほとんど紹介もされず黒子に徹した数十年のキャリアが成したもの。
その間ずっと静かに情熱を保ち続けた。

ひたむきだが「ニュートラル」を見失わないバランス感覚

涙は美しいという風潮のおりから最近はなにかといえばすぐ泣く男が多いのですが、お軽い感動マニアでない証拠に加藤氏のキャリアは「忍」の一字です。

しかも自分の発想を設計のセオリーと比べて疑い悩むというバランス感覚を持ち合わせておられる。
基本はあくまでニュートラルなセンスなのです。

ですからこの方、一点モノのカスタムパーツで満足するタイプではありません。
音だけでなく「安定した品質」の難しさを肌身で知っておられる。

上記であえてローエンド機種の良さを申し上げた理由です。

加藤秀樹氏の本領は奇想天外なアイデアではなく、
熟練とセンスが高度にバランスしていることをお伝えしたかった。

アナログとデジタルの両方を分かっておられるだけでも設計者として充分高度ですが(メーカーが常に欲しがる人材です、しかもなかなかいない)、加えて「コンセプト決め」に必須のバランス感覚に長けておられる。

メーカーでは本業と異なる部門は肩身が狭い

そもそも会社(CSR)の本業はピュアオーディオではありません、そこで「SOULNOTE」を続けている。
これは日本のメーカー商売においてきつい話です。

たとえば本業と違う事業部門が社内で一定の理解を得ていたとしましょう。
それでも見る目は厳しい、コストも売り上げも。製造業とはそういう世界です。

はっきりいえば肩身が狭いのです。
本業と違う分野に取り組まれるご苦労は余人にはわからないものでしょう。

比べるべくもないアタクシながら同じサラリーマンですもの、針の筵(むしろ)の日々もあったでしょうことは察するにあまりあります。

その状況下で孤独に作り上げたSOULNOTEは以前とは全くの別物。
よくぞご堪忍をされてここまでブランドを高められたとほとんど驚きです。

ソウルノートは録音された音楽を「名演」に変える

結果として成したものは大きい。

YG Acoustics Hailey2.2をあれほどに鳴らすシステムは、世界のハイエンドでもさほど多くありません。

ご本人は「あるがまま」を強調されますが、あえて語弊を恐れず申し上げるなら

SOULNOTEを通った音楽データは「名演度」が数段あがります。

海外のデモンストレーションではかなりの反応があるようですが、そりゃそうでしょう。この音に耳をそばだてないはずがありません。
通りがかって無意識に歩みが止まるレベルです、数年に一度ぐらいあります。

なお「故人の演奏を今に取り次ぐことができる仕事」、そうおっしゃっておられましたがなるほどと。

人間の軽いアタクシも、音楽再生は常々「楽しく死人と会える趣味」と思っておりますので。

改めて、SOULNOTE加藤氏のブースは2021年東京インターナショナルオーディオショウのプレゼン中、白眉であったと申し上げます。

たとえばアキュフェーズなどのセパレートクラスを検討しておられるならば
あるいは逆に10万円台で良質なプリメインアンプを探しておられるならば

是非とも機会を探されてソウルノートの製品を聴かれてみてください。
時間を割かれるだけの価値は充分にあります

今回の音は大変に印象的でした、アタクシもいずれ(分相応な)ローエンド機種でせめて片鱗なりと確認したいと思っております。

2021 東京インターナショナルオーディオショウ記事リンク

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