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ハイエンドヘッドホンと比べる「ていねいな」6,600円・ST-90-05の音

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その存在に驚いたアシダヴォックスST-90-05、知ってすぐ購入してしまいました。
我慢できないほどユニーク、そしてアタクシのヘッドホンリスニングは今どうなっているかといえば。

最初はP9で音楽を聴きはじめますが最後はなぜかアシダボックスに落ち着く

という予想しなかった流れが日常となりつつあります。

ST-90-05の音質をハイエンドヘッドホンと比べた大人げない話です。
アシダボックスは稀に見る丁寧さで作られているからです。

Bowers and Wilkinsとの違いを知りたくなるアシダ音響の音質

結局Bowers and Wilkins P9 Signatureと聴き比べてしまった、そういうのは好きじゃなくて。P3series2の代替という方向性も我ながら子供っぽい、でも違いを聴かずにいられなかった。

端的にいえば録音状態をききとるだけのモニター性能がある。

ただそれは解像度やワイドレンジといった単一の良さだけではありません

何か一部だけ突出しているのではなく、全方位でバランスが高い。だから音楽的です。

それでいてこのデザイン、シンプルで出来の良い「イヤーモニター」であります。

最初は作りとおしゃれが目的のアシダボックス・それで済まなくなった

最近こんな気持ちは珍しい。
ピュアオーディオすらロクに聴かずに買うことがあるほどで、もともと試聴は面倒くさいと思う性格です。

だから単純にヘッドホンを変えるだけ、ただしエージングは入念に行った上で。
時間をかけていろいろな曲を何回も聴いてみたくなりました。

なお付け加えればこのアシダボックスST-90-05、最初はメーカー関係としての興味でした。このご時世にずいぶん手の込んだ造りだなと。

コンセプチュアルな音質・流行を基準にしていない

アシダボックスとB&W、どちらも極めてコンセプチュアルな音です。明確な主張がある。
作り込みも流行りで決めてはいません。
つまり、

売れそうな企画を立ててお金と時間をかけました、
そうしたらとにかく良くなりました。

ほどほどコストは掛けましたからこのへんの値段で買ってください。
ではありません。

「ウチの考える高音質はこれ」という主張がある

B&Wのスピーカーがそうです、結果としてメジャーではありますが造形も音も他社とは違う。

いかにもモダンな顔をしながらグローバル化なんてカワイイことはカケラも思っていない。
一皮むけば大ブリテン流の「スカしているくせに頑固」がきちんと残っております。

ですから「ST-90-05は10万円のヘッドホンに勝った!」とかそういう単純な話でなく、いろいろな角度から2つのブランドの「いい音の基準」を。

最初に結論・B&Wの代わりになったモバイルヘッドホン

成り立ちと造りが完全に違う、しかし完成度の高さという点で似ております。
これほどの好対象はちょっとない。

P9 Signatureと比べても「リファレンス」「標準機」の実力

B&Wとの比較で一番感じたことはST-90-05音のバランス。
「標準機」「リファレンスモニター」そんな言葉を連想しました。

ハイエンドヘッドホンであるP9 Signatureと鳴らし比べると、ST-90-05の音質は演出ではなくあくまでバランス勝負とわかります。標準機でもモニター調ではない。
テイストは全く違いながら、この姿勢がB&Wと似ております。

アシダボックスST-90-05はB&W P3の代わりに

モバイルヘッドホン探しでお急ぎの方向けにもうここで結論を。

P3 series2の代わりはST-90-05になりました。

これでP3が修理不能になっても安心、悩みがひとつ片付いた。

たいしたもんです。
軽く、頑丈で、しかもこの音質。極めて高次元のモバイルヘッドホンです。

その音についていえばアシダ音響はベースモデルから50年間、基本を変えずこの製品をリファインし続けた。
同じものを長年改良し続けると中身が濃くなるという、ありそうでないヘッドホンです。

なお対応とは一言も書いていませんが、

同じ音源でもハイレゾとそうでないものは明確に鳴らしわける。

製造コストだけをみればまったく違いながらもどうしてこうなるのか。
比較試聴していくうちに理由らしきものもわかりました。

とにかくニュートラルなST-90-05

とにかく派手さがない。

強いて比べれば聴こえはむしろP3 series2のほうがワイドで華やか。いっぽうのST-90-05、これは地味ながら音の変化を実によく拾う。
単に高解像度だけではありません。

全く同じ条件でデータを測定したら、もしかするとST-90-05のほうがワイドレンジかもしれないと思っています。

高次のニュートラルと反応の良さ
いよいよもって「リファレンス」的音調です。

高級機とのちがいは演出の無さ、制約が高音質に

あれほど録音状態をはっきり聴かせるのですから、アシダボックスの特性はいいセンいってる。

しかし聴こえは明らかにP3がワイドです、これはアレンジ、つまり演出の妙です。
B&Wの美音調と独特の低音がそうさせる。

この2機種はどちらも制約だらけ、ざっと見ても

  • P3は大きさ(ハウジングが小型、つまり低音がでない)
  • ST-90-05はプロの要望と低価格

制約だらけです。

オーディオでは制約が「いい音」をつくるきっかけになる

大きさとコストからくる制約だと思いますが、B&W P3はワイドっぽく聴かせようと苦労したのがわかる。
これは買った時から感じていました。

よくよく聴けば、低音は割と高めで持ち上げてそれより低い帯域をストーンと落としてます。
ただ、これは面白いのですが、P3は特定のファンがついている機種です。

P3 series2に「演出厳禁」という制約はない。B&Wはこの点を最大限に活かした。
B&Wはヘッドホン・イヤホン全般でそうですが、特にP3は独特な美音が一部に受けました。
濃いめの低音となめらかな高音が絶妙に混ざった音色、オーディオの面白さです。

しょっぱい話ながら、シリーズ中でも一番値崩れせず、生産終了まで定価通りだっただけのことはあります。

あたかも『HARBETH』ライクなアシダボックス・古典的サウンドデザイン

ST-90-05にその美音はない。
はっきり断言できますが洗練とかスムース・クールという音ではありません。

『道具』です。使うプロが求めるのは正確さ、モニター性能です。

それこそスピーカーでいえば最新のB&Wから「最新のHARBETH」に変えたような印象。

ただ全く別の切り口ながら反応の良さと厚みで迫ってくる。

値段をさておいても今のところP3の代わりはST-90-05しかないというのが結論です。

「アシダボックス⇄B&W」の試聴サイクル

試聴環境そのほかのご説明はあと。
音源もハードも完全に同じ送り出しですから比較試聴の結果を先に。

2週間聴き比べ続けた、というより楽しみました。
以下のサイクルをぐるぐる回して聴いた、幸い同じアルバムを何度も楽しめるほうです。

  1. ST-90-05
  2. B&W P3 series2
  3. (ときどきP5 series2)
  4. B&W P9 signature
  5. またST-90-05へ戻る(繰り返し)

数日で1〜5のサイクルを繰り返す。試聴は順番が後のものほどよく聴こえるからです。
本来比べる意味のないP9をいれておりますし。P5 series2を挟むのは時々です。

100時間エージングと素人聴きは時間があるのが唯一のよさであります。

また先入観を入れたくなかったのでこの時点でカタログスペックは一切見ていません。

ヘッドホン4種類で同じ曲でもすべて違って聴こえる

しかし上記4機種で聴くと同じ曲でも「こんなに変わるか」と。

ST-90-05で感心したのは、

録音自体が優秀かそうでないかを明確に聴かせ分けることです。

いかにもワイドレンジという聴こえではない、派手さもない。
ただ反応が早いのに厚みがあります。それと音の強弱・音程が正確、これは気に入りました。

ライブで好きな部分です。

B&W P3 series2に変えると音が拡がる・ただし「ワイド感」

ST-909-05からB&W P3 series2に変えます。

簡単にわかるぐらいスッと音が広がる。

同社のイヤホン・ヘッドホン全般がそうですが、800系スピーカーに通じるB&W節です。

ヘッドホンという条件でもB&Wのスピーカーユーザーに不満を言わせないようにした。
ただし、P3の場合これはワイドレンジ「感」。

少々冷たい言い方をするなら、高音と低音のチューニングにアクセントをつけてそれらしく聴かせるもの。

P3S2の「高音が伸びる」「低音が出ている」かのようなチューニング

例えばスピーカーによくありますが、

CDの高域限界(20kHz)より少し低い音域をちょっとだけ持ち上げ(ピークを作る)、それ以上をスパッと落とすとかえって高音が伸びて聴こえるというアレです。

もちろん20kHz以上なんて出てはいませんが「高音が伸びている」ように聴かせます、結構多い。低音も比較的高い音域(100〜150Hzあたり)を盛り上げる、その下はスパりと落とす。
「重低音」というやつです。

むろんB&Wは玄人です、こんな一般論ではなくもっと玄人。つまりP3S2は巧みなアレンジといいたいのです。

P9 signatureはワイド&フラット・極上のナチュラルさ

そしてP9 signature、絶品の表現です。ST-90-05より上です。

ワイド&フラットが際立つ、音がドバッと広がる。
しかも密度が高いのにトゲトゲしさはゼロ。

細かく、濃く、滑らかに拡がる。

特にフラットさは秀逸です。

音楽が波打つようなうねりや抑揚をダイナミックに出すのに、
醜いノイズっぽさは絶対出さないという極上の滑らかさ。

ただこれをアシダボックスがやったらプロの現場からは怒られるでしょう。
ST-90-05の「異常な部分」につながります。

ST-90-05を聴くと「B&W節」演出に気づく

P9 signatureから再度ST-90-05に戻して2周目ぐらいから、B&Wはなにかやっているように思い始めた。

アシダボックスは化粧っ気がなさすぎるのでかえって目立つ。

アシダボックスは『演出』『アレンジ』はしない

P9からアシダボックスに変えたらもっとナローに聴こえるかと思えばそういう感じがしない。
ただP3 series2に感じたワイドレンジ感はやはりST-90-05にはない。

むしろST-90-05がフラットさや滑らかさで劣ることが気になった。

結論をいえばアシダボックスの音が粗いのではなく、そういう録音でした

ST-90-05は録音通り、ザラついた音も聴かせます。
Bowers and wilkinsはザラつかせない。

アシダボックスは録音にもないワイド&フラットであるかのごとき聴こえかたは追っていません。

録音を「作り直さない」・あるがままの音源で出そうとする

比較対象であるB&Wにとってのリファレンスはスピーカーです。

ここまでの滑らかさとワイド、そして全帯域でフラットに聴かせるのは、標準が800シリーズであるため。

B&Wのフラット感や滑らかさ、これは「演出」「アレンジ」です。

しかもアシダ音響と違いそれを積極的にやる、それこそスピーカー作りで会得したテクニックを駆使します。

対するST-90-05は演出を避けたサウンドデザイン、録音に忠実であろうと努めている。
ただし、音楽のうねりを見せてくる。

レスポンスが速く、強弱は正確。
素のままに聴かせるだけの音ではないです。

B&Wイヤホン・ヘッドホンの美音は同社スピーカーオーナーのため

なおB&Wは制約の大きいヘッドホンやイヤホンでスピーカーのトーンを再現しようとして、しかもある程度成功している。
流石ハイエンドで保守本流の看板を張る連中です。

何回目かめの試聴サイクルの時、P9になぜ折りたたみ機構とポーチがついているのかぼんやりながら初めて理解できた。

B&Wヘッドホン・イヤホンの目標はスピーカーのユーザーに文句をいわせないこと

特に800系のスピーカーを持っている人(ハイエンドで仕事が多忙なひと)が旅行やら仕事やらでスピーカーから離れる時、

「充分ではないけれどお持ちになって代わりに楽しんでください、800シリーズに近づけた美音ですよ」

ということらしい、

持ち運べるB&Wってことがあの悪趣味なポーチの理由らしいとわかった。
(全然話がそれますが、英国ファッションてなどうしてああも個々のアイテムはダサいんでしょう)。

欧州でも英国人のバカンスや旅行ってゆとりがあるとそういうところに凝る部分がある。
みるからにまずそうなもんを食べるくせにコーヒーじゃなくてお茶で、しかも紙のカップはダメといった。
イタリア人がバカンスに山ほど服を持っていくのに似たものを感じます、イタリアと比べたらさぞ怒るでしょうけれど。

貧乏暇なしのアタクシには旅行はおろか生活全般に「優雅」の要素はまるでない。あのポーチの出番はP3からP9まで数年間ついに一度もありません。

旅行ではなく「出張」(大体早朝か最終の新幹線)、しかもスピーカーはB&Wどころか偏屈なRoydとガサツなJBLホーンときている。

「本来P9を必要とする人の理由」がわかるわけはない、いろいろと違いすぎました。

と、それはさておき極めて高度なB&Wですが、

録音やマスタリング状態は正確に聴かせつつも、きっちり味付けしなおす。

薄味に見せて素材の味は完全に変わります。

アシダボックスST-90-05のボーカルはありのままだが暖かい

対するST-90-05は「あるがまま」
ただし単なるワイドレンジや高解像度とは完全に違います。

ST-90-05は生成りの暖かさ

音源がワイドレンジならそう聴こえるし、ナローなら狭くなる。
響きが滑らかに録ってあれば刺激が少なく、逆ならうるさい。

マイクセッティングで大きな音を録ったものとコンプを掛けたものの違いさえわかる。

ST-90-05はヘッドホンで色をつけない、録音そのまま。

たとえばテイクを重ねたり前の曲とテイクが違うことがよくわかる。

しかし肌触りはいい、何十年もかけてそういう音にしてきた。
音楽が波打つようなうねりを出す、生成りの良さとでもいうのか。

単に放送用だから、だけでない素敵なヴォーカルが聴ける。

「ハイレゾ強調」の刺激感がない・老舗のモニターライク

このあたりがアシダ音響が50年掛けたサウンドデザインでしょう。ハイレゾにこだわるあまり、高解像度をアピールしすぎたヘッドホンがやるトゲトゲしさはない。

このヘッドホンについて

「これでいいんだ」

という感想がとにかく多いことが実感できました。

演奏のテンションの高さやレコーディング後にマルチテイクなどさまざまなテクニックが使われていることはよくわかるのに、聴いていて馴染む気持ちいい音。

モニターライクはあまり好きじゃないのですが、こういう音は珍しい。
紙数の都合から分けますが、「中域のクオリティを徹底的に高め、上下に拡げた」設計だからかと。

お金を掛ければ出る音ではない、時間が必要。

EA-HF1も暖かく、それでいて細部をきれいに描くトーンで評価されています。
これがASHIDAVOXのチューニングセンスのようです。

試聴準備のご説明・アシダ音響ST-90-05は100時間エージング

そのST-90-05、Amazonで発注した直後からワクワクしておりました。
久しぶりに置き配にせず待った。

エージングの理由・新品ST-90-05と数年使用のB&Wでは比較レビューできない

  • B&WのP3の代わりになるのか。
  • P9 signature比と比べたらどのぐらいのパフォーマンスなのか

これはおおいに楽しめそう。何しろ「昭和の佳品・良品」がそのまま現代に飛び出してきたようなものです。

でも比較は難しい、そもそも雑誌みたいな筆もなし。

アタシにできるのは、可能なかぎり同じ条件下で差を明確にすること。

何より準備であります、アシダボックスをエージングしないといけません。
対するB&Wは数年鳴らしていますから新品そのままは比較にならない。

普通の試聴記事はメーカーの貸出機です、なんでも使えるかわりに時間に制限がある。
素人にいそういうサポートはありませんが、準備の時間だけは山ほどあります。

大音量で100時間放置

とりあえずST-90-05来てすぐ鳴らしました。10分ほど聴いて不具合がないことを確認したら、

100時間ほど大きめ音量で鳴らし続けました。

後述しますがアシダヴォックスは特にエージング必須でした。前後でかなり変わる。

ちょっとうるさいので布団をかけときました。お道具はこんなものです、

引退したiPhone SEにACアダプターをつけて曲をリピート。
大きめ音量で100時間ひたすら流し続けます。

小音量では1ヶ月でもエージングが進まない。

エージング音源はクラシックがいい(思い込み)

音源はこちら

ゲルギエフ指揮「リムスキー=コルサコフ: 交響組曲《シェエラザード》」

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シャルル・デュトワ指揮「フレンチ・コンサート」

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知られた名演でしかも名録音。

低音から高音までまんべんなく入っていることがわかっているものを選んだ。

全帯域で振動板もケーブルもほぐしてくれるでしょう。

あくまで念の為、人の声とパイプオルガンだけは今回避けています。
一番ダイナミックレンジが大きいものは流さない、大音量なので。
あくまで万が一ですが、例えばリミッターギリギリで録ったものはスピーカーを飛ばしたりしますから。

上記の音源2点は何度も聴いてますからピークはわかっている。大音量でもヘッドホンを壊す心配は低いだろうと。

Youtubeのエージング音源は中身不明、ちょっと怖い

なおネットにあるエージング音源を使っても効果はあるし、たぶんですが問題ないとは思います。
ただ「たぶん」です、アタシは怖いから使わない。

理由は、とんでもないおかしなノイズ(高調波歪みに近いもの)が瞬間的に入っていても製作者もわからないであろうため。

ノイズ音源を最後まで耳で聴いて確かめるなんてしていないでしょうから。

ヘッドホンのボイスコイルは細い。

ハイレゾとCD音質差は通信環境の切り替え(Amazon music)

さて試聴にあたり肝心のフォーマットはどうしましょう。

録音もマスタリングも全く同じままに

◉「ULTRA HD」
◉「HD・CDレベル」
◉「それ以下」

と変化させたい。

差がわかりやすいほど、ヘッドホンとしては優秀なわけです。

Prime Musicは75,000曲、聴く曲に不自由はしませんが方法で悩んだ。
完全に同じ録音のまま、ハイレゾ/CD音質/それ以下の3種が準備できればいいのですがマスターがわかりませんから比べられない。

最終的には「同じ曲を通信方式切り替えで聴き比べる」ことにしました。

アプリの設定を通信速度が落ちるほど省データにしておけば音質も切り替わるわけです。

比較試聴の大原則・完全に同じ音源をクオリティのみ切り替えたい

そもそも音楽配信はハイレゾ音源でも本当にハイサンプリングの音源を作ったのかどうかわからないものが結構ある。録音に関する情報はほぼ皆無なのです。

CD録音時の音源のまま、配信規格だけハイレゾ(Ultra HD)で流しているものも多い。

初期のハイレゾ配信はほぼそれでした、中には「MP3じゃないか」と思われるものすらあった。

指摘されて減りつつありますが全曲が完全に再マスタリングされるにはまだ時間がかかる。
音源製作側の責任です。Amazonのカタを持つわけじゃありませんが、製作側の申告がなければさすがにわからない。

優秀録音のUltraHDをストリーミングしつつ通信方式を切り替えた

そこで安直ながら曲をストリーミングしたまま、Wi-Fi/モバイルデータ通信と切り替えることにしました。
データ量が少ない設定ほど音が悪くなる仕組みにすればいいと気づいた。

Amazon musicの設定を

  • Wi-Fiは「HD/ULTRA HD」
  • モバイルデータ通信は「データ通信節約モード」

あとはコントロールセンターでWi-Fiを切ったり入れたりするだけ。

アプリの設定をWi-Fi時は最高音質、モバイルデータ通信時は低音質にしておいて、通信を切り替える(Wi-Fi⇄モバイル4G)と聴いている曲のデータ量が変わります。

単純に高音質ほどデータ量が大きい、実際音質に明らかな変化があります。

音源の良し悪しを聴くわけではありませんからこれでいい、あくまでヘッドホンの変化を聴く。

結果は、

アシダボックス・B&Wともにデータ量の少ない音源はひどくプアに聴こえることがよくわかった。

ULTRA HDと「データ通信節約」設定時の音は同じ音源でも別物でした。

なるほどサブスク音楽配信はピュアオーディオでも主流になるはずです。

ST-90-05は老舗のつくりそのまま・「慣らし」で音が伸びやかに

なおST-90-05にとって100時間はエージングの初期段階にすぎません。
先に申し上げるとその後はもっと良くなりました。

アタリがつくと伸びる・古典設計のエンジンと同じ

その100時間エージング後は箱出し直後より明らかに音がはっきりしました。
上下もわかりやすく伸び、より滑らかに。

ST-90-05の原型が設計された時代のもの、特にスピーカーでエージング不要のものはないです。

なにしろいまどき「ハイコンプライアンス」をうたうあたり筋金入りの時代モノ

この頃の「動きやすい振動板」とは当時のエンジンと同じです。慣らしが必須であります。

その代わりアタリがつき始めるとグィーンと伸びる。

B&Wたちは買った直後からすぐある程度で鳴った、今風・モダン。
何からなにまで対照的です。

映画でいえばアート系(B&W)とドキュメンタリー(アシダ音響)

アシダ音響/Bowers and wilkins共にリアリズム追求です。
これは共通、わざと低音をギラギラさせたり、逆に暖かくしたり柔らかくすることは一切しない。

ただ「リアルの理想」が全く違う、おもしろいです。

「極上の滑らかさ」アート系B&Wと「ありのまま」ドキュメンタリー系アシダボックス

いつも思うのですが、B&Wはイヤホンもスピーカーも

極上の滑らかさ、鋭いのにしなやか
それでいてハイレベルの解像度です。

だからBluetoothであってもハイレゾ音源をそれらしく聴かせる、絶妙の演出です。
絵画的とでもいうのか。

対するST-90-05は

トゲトゲしさはないものの、滑らかさではB&Wに明らかに劣る

その代わりに「ありのまま」

映画でいえばドキュメンタリータッチ。
対するB&Wは美音、明らかにアート系です。

このように相反するB&Wとアシダボックスですが、リアリティという点で共通しています

ただし彼らが考える「リアリティ」です、だから2社で違ってくる。

テイク違いがわかるモニター性能・でも長時間聴けるST-90-05

ST-90-05は録音のテイク違いがよくわかります

トラック毎のテイク違いや音をかぶせた作業がわかるほど。
滑らかさからは少し遠い。

しかし長時間聴いていられる音、絶妙な部分です。

暖かくともモニターできる・「モニター調」とは一線を画すしなやかさ

録音時の歪みを聴かせながらも、刺激感にギリギリ手前で寸止めです

実はアタクシ、刺激感のない音づくりというやつがあまり好きではないのです。
しかしこればかりは認めるほかなかった。

息遣いがマイクに吹きかかる僅かな風切音が聴こえるのに、コンプを掛けまくって録音の歪んだハードな演奏も結構な音量で、しかも長時間楽しめる。

原型のST-90は仕事で毎日何時間も聴かなきゃいけない道具です。
音響制作の現場では「高解像度」だけでは仕事の妨げになるらしい。

刺激感があったらやってられないでしょう。

ΜDR-CD900STの試作機は「刺激感」の指摘で作り直し

実際、SONYのΜDR-CD900STのファーストプロトは現場のプロたちから指摘を受けて再試作しています。

放送・レコーディングの現場に持ち込んだところ「音が鋭すぎて長時間聴いていられない」という指摘を受けてチューンし直したそうです。

こういう生い立ちが道具としての性能を決めるのかもしれません。

何十年も時間を掛けた・アシダ音響とB&Wの共通点

B&Wはヘッドホンもコストをかけた。
その分、特にP9 signatureはST-90-05より完全に良かった。

アシダボックスST-90-05は「時間」をかけた。

B&Wの音はスピーカーで鍛えられた・800シリーズを数十年開発して得た「センス」

もちろんB&Wも時間をたっぷりかけています。
あの音は数十年も続けたスピーカー開発こそが最大の理由です、特に800シリーズ。
事実上の業界標準とするだけの練り上げを続けた。

開発費と製造コストをかけただけでこの音は作れません。

実際コストをかけパッとしない、ピュアオーディオではそういう製品が沢山あります。

「チューナーの技術と感性」
「調整にかけた時間の長さ」

ただ最近経営面でガタガタしたことがちょっと心配なんですが。
こういう会社は人が辞めると怖い、過去6年ほどリストラがあったんですよ。

それはさておきアシダ音響も実は同じことをしてきました。
ST-90-05の原型モデルは1970年代、つまり昭和40年代に登場しています。

アシダ音響はST-90を50年近く改良

50年近く「時間と手間を掛けて」きた。
少しづつこの機種をリファインし続けた、おそらく会社としての音への感性も上がっているはずです。

全てがそうとは言いませんが、高音質の実現にはどうやら時間と手間、そして「人」が必要らしい。

ST-90-05についていえば、フォロワーはもう見た目ぐらいしか真似できないでしょう。追いつけないレベルまできております。むろん2万円ぐらいで作れば別でしょうが。

「おすすめ」「ランキング」とは無縁のヘッドホンのリファレンスとなるアシダボックス

なお以下はヒマ話、飛ばしてください。

イヤホン・ヘッドホンは「おすすめレビュー」「人気ランキング」が満ちあふれています、読めばよむほど迷う。

基準は「人気」「ランキング」「コスパ」だけのレビューはつまらない

面白いなと思うのは

どれだけ読んでも、ヘッドホンやイヤホンで基準となる「リファレンス」「標準機」というものがよくわかりません。

しかもレビューをよく読むと「・・・ハイレゾ対応だから」とか。
レビュアーの好みさえわからない。

おすすめ、人気がある、お買い得、ランキング、これしかない。

B&Wを買った理由でもありました、何をみてもおすすめばかりで結局理由が価格比較しかないんです。
スピーカーなら知ってるし買うか、ぐらいな判断しかできなかった。

「いい音とは何か」の話が楽しいのにもったいない

「今、基準の音とはどのようなものか」
「ハイレゾを再生するためのスタンダードとは」

という主張がない。

(相手が偏屈でないかぎりは)この話が面白いのに、もったいない。好きな音楽があれば好きな音があるはず、自分の部屋にアーティストが来てくれるような趣味です。

(AD:Amazon・Prime music )Fink “Hard Believer”

自分と他人の個人差もわかって、むしろ自信をもって選べるようになる。

なおピュアオーディオ系雑誌で評論家がやるといつも人気の企画になります。

ハイレゾのように技術が大幅に変わった時期ほど「理想の音とは」という話は白熱するし面白いです。

一例をあげれば以下のステレオサウンドはその議論が見える特集です。ときどき見返しても実に面白い。

「理想の音」論を読むのもオーディオの楽しさ

「季刊ステレオサウンド」ではバックナンバーで常に人気のものがあります。
端的にいえば相場が高い古書です。

評論家が「自分にとっての理想の音」について語る特集であります。
対談形式というところが面白い、「それは違うんじゃないの」という反論も入るからです。

いいと思う基準って自然と「その人のスタイル」と「時代の流れ」がわかる。

新世代フォーマットはリファレンス(標準)が変わる

人によってずいぶん違うということがわかる。

  • CD(デジタルサウンド)が登場したとき
  • CDからSACDに変わったとき
  • ファイル再生そして音楽配信でハイレゾが始まったとき

新しい技術を聴き取るポイントとは、実際にどんな手法があるのか
メーカーの技術的なアプローチとは

こういう話がくる。
もちろん自分のシステムはそのレベルに遠く及びませんが、会話・議論は読んでいて楽しい。

リファレンスとはなにかがない「ヘッドホン、イヤホンおすすめレビュー」はいらない・アシダボックスが見えない

いっぽうヘッドホン・イヤホンのレビューは2種類しかない。

ベタほめか、全部気に入らない(カネ返せ)かのどちらかだけです。

大手メディア・個人レビューともに共通で、全部「おすすめ」とありますが

「比較差」かそれとも「絶対性能」か(あるいは好みか)

どの話をしているのかすら不明です。

ものを買うときにアタシはネットやAmazonほかのレビューをあまり見ませんが(面倒で見た目で選んじまうことが多いということもありますが)、これが理由です。

毎回なんでも「激変」「私は息をのんだ」人や
逆に「評論家がホメるもんは全部インチキ」と両極端で困る。

自分の尺度はこれだという話がないと。
アシダボックスST-90-0なんて見えてきやしません。

メディア標準機はJBL4344そしてB&W・好きになれくても理由は理解できた

ピュアオーディオ分野ではメディアのリファレンスは4344中心に長くJBLでした、その後はMatrix801あたりからB&Wです。

チョイスに賛否はあります。しかしとにかく「ウチは議論の末にこれを標準機として評論しています」という説明がある。それを基準に語ってくる。

アタシ自身は4344もMatrix801も大嫌いな音でしたが、メディアがあれを選んだ理由を理解はできた。

その時点では水準以上の品位・性能があり、なにより低音から高音まで音のバランスが整っていた。

一番大事な新旧フォーマットの違いを聴き分けることができるという性能に長けていました。

ヘッドホン・イヤホンと違い、各メディアの試聴室はこれらを導入した後、更にセッティングを詰めて調整していました。

設置から2年は掛かるかと、ですからリファレンスモニター選びは慎重でした。

MDR-CD900STにならぶST-90-05のリファレンス性能

ここから本題にもどります、リファレンスに必要な最低条件は「新旧のフォーマットを区別して鳴らす」ことです。

6,600円で「新旧フォーマットを鳴らしわけ」・プロの現場でアシダ音響がやってきたこと

低音・中音・高音の帯域バランスが良く、そもそもの性能である

  • 解像度
  • ダイナミックレンジ(強弱)の広さ
  • 応答性(反応の機敏さ)

こういった要素で水準以上のパフォーマンスがないものはダメです。新しいフォーマットと古いものの区別がつかない。考えたらアシダ音響はずっとやってきたのです。

名機MDR-CD900STをはじめさまざまなモデルがありましょうが、今回ひとつ

アシダヴォックス ST-90-05

これは「標準機」として通用するとわかりました。

基本的なパフォーマンスを充分備えていて、バランスが良く、しかもヘッドフォン側で演出が少ない。リファレンスモニターと申し上げてよろしいかと。

現代ハイエンドヘッドホンと比べてわかる「正統派のリアル」

わかりやすく言えばP9 signatureと比べた場合、演出が少ないぶん、録音の状態をつかむという点で優っているということ。

録音がそのとおり聴こえるほどリアルです。
これがアシダボックスの「リアリズム」、ハイレゾの昨今も正統派です。

数千円が10万円に勝つというような話をしたい訳ではありません。
ただモニターする道具、そしてB&Wとは傾向の違う音楽解釈という点では、互角か条件次第でそれ以上ということです。

現在のポータブルオーディオの潮流からいって「古典的正統派」のヘッドホンであることは明らかです。

B&Wと比べてすら際立っている。

これみよがしの解像度アピールもない。
ひたすら高次元のバランスをベースにリアリティを表現してくるとは。

今後の他社新製品が明らかにこれを超えることは(特に1万円以下では)ちょっと難しいのではないでしょうか。

(ファンとしての弁護)美音のP9 signatue・趣味として代わるものがない

誤解されると困るので一応。
B&W、特にP9 signatureの美音は、あれは得難いものでアタシはもう手放せません。

たとえ演出であろうともです、いわば「名録音を作るマシーン」のようなもの。
名演でしかも優秀録音なんてほとんどないですから。

名演で、でもちょっと録音がイマイチな音源もこいつを通すとご機嫌です。

B&Wを通せばここまでスムースかつ美音になる。オーディオにはそういう選び方もすごくありだと思います。

ということで今回はあえてスペックを見ずに音のみを比較したお話です。
仕様についてはのちほど。カタロスペックではなく「メーカーの目で観た造り」について。

いろいろ細かく見て参りますといよいよもって

「まるで少し前の英国スピーカーを見る思いがした」

ということだけまず申し上げます。
日本のメーカーにヘンなほめ言葉ですが、なんとなく音もそれっぽい。

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